(2018/06/26)フランスの伝統的クリスタルガラスメーカーブランドの「バカラ」を中国資本が買収したという話です
おはようございます。
2018年6月の世界的に有名なクリスタルガラスメーカーでありブランドである「バカラ」の中国資本買収に関する配信記事です。
筆者はフランス語はあまりというか全然解しませんが、クリスタルガラスのバカラくらいは知っております(トランプのバカラの方ではありません)。
バカラ (フランス語でBaccarat)は、フランスのクリスタルガラスの高級ブランドとして名が通っております。
筆者も、例えば友人や後輩の結婚の時のお祝いやら、なんかのお礼に天神の百貨店(岩田屋とか三越とか)に入っているバカラの専門店から、一番お手頃価格の(というか安い)ベルーガというタンブラーのシリーズをシングルかペアかで買って、それを差し上げるといったようなことをしておりました。
映画で共演したりした近しい人に、ロレックスの特注腕時計を贈っていたという高倉健さん(高校の先輩)の振る舞いに習ったというところもあります。
だいたい、趣味の悪い筆者がいろいろ悩んで選ぶよりも、クリスタルガラスだと飽きもこないし、リチャードジノリとかロイヤルコペンハーゲンといった磁器ものに比べても、飾っても実際に使っても、割としっくりくるだろうという思いからです。
そんな、バカラのグラスは、さすが世界最高度と言われる30%もの酸化鉛を含み、鈍い光を放つ重厚なガラス製品です。
実は、鋳造された商品のうち消費者の手に渡るのは6~7割と言われておりまして、残りは品質を守るために破棄されるといいます。
設立の経緯は、実にフランス革命前の1764年、フランス王ルイ15世により、ロレーヌ地方のバカラ村にガラス工場設立が許可されたことに始まります。
王室御用達のガラス職人の村というわけです。
フランス王室はもとより、他の国の王室、我が国の皇室まで、バカラを注文している人には枚挙にいとまがありません。
イギリス王室、ロシア皇室などのヨーロッパの王室はもちろん、モロッコ王室、タイ王室、さらに日本の皇室も注文しておりまして、歴史には、1921年、当時皇太子であった昭和天皇も、欧州歴訪で立ち寄ったパリでバカラショップをご訪問されたくらいです。
バカラのクリスタル製品で、筆者が最も覚えているのは、1998年当時に東京恵比寿のガーデンプレイスでクリスマスイルミネーションのメインとして飾られた巨大なシャンデリアでした。
その設置に専門の職人が数十人わざわざフランスからやって来て、一つ一つ組み合わせて行くその様は壮観の一言でした。
その他、商品は、テーブルウェア(グラス・デキャンタ)、アクセサリー・花瓶・香水瓶・置物・シャンデリア、そして噴水一式まで、ありとあらゆる造形物をそのクリスタルガラスで製作したのです。
そんなフランスの名門高級クリスタルガラスメーカーが、中国の投資会社であるフォーチュン・ファウンテン・キャピタル(FFC)に買収されたとのことです。
香港を拠点とするFCCの創設者兼代表である、ココ・チュー(Coco Chu)氏が2018年6月21日に、バカラの買収を、およそ1億6400万ユーロ(約210億円)で完了したと発表しました。
その前に、すでにバカラは米国の投資会社であるスターウッド・キャピタル(Starwood Capital)とエル・キャタルトン(L CATTERTON)の手に渡っていたため、すでに脱欧州となっていたのですが、今般、最近急速に力をつけてきたチャイナ・マネーの傘下に入ることとなりました。
歴史あるブランドの割に、どうも買収額が小さいように思うのもそのはず、バカラは名門であり250年を超える歴史を持つものの、最近ではアジアを中心とした新興市場で高級品への需要が爆発的に増加した追い風を生かせず、逆にその輝きは鈍り、ついには2008年には世界金融危機で赤字に転落し、2016年にようやく持ち直すまで満足する利益が上げられなかったのです。
歴史を守り伝統を繋いでいくということがいかに難しいものか、非常に興味深い一件でしたので、取り上げさせていただきました。
バカラのベルーガのグラス、実は自動食器洗いに入れてしまってふちを欠けさせてしまったことがございます世間知らずな筆者(その後修理して復活)からのコメントは以上です。
(平成30年6月26日 火曜日)