高市政権の地熱開発

世界のエネルギー戦略
以下は、高市早苗政権における「地熱開発(地熱発電を含む地熱エネルギー活用)」の現状と論点の整理。
✅ 現状・政策枠組み
- 経済産業省(経産省)は、2050年までに国内118地域で「次世代地熱発電」の開発を進める計画を取りまとめている。これには、従来の地熱に加えて、マグマ付近の高温高圧熱水を用いる「超臨界地熱」、水を循環させ蒸気を得る「クローズドループ」、人工的地熱貯留層を活用する「EGS(Enhanced Geothermal System)」といった技術を含む。
- この計画によれば、2035〜2040年代にかけて地熱発電容量を大幅拡大させる予定。超臨界地熱で約 3.6GW、クローズドループ+EGSで約 4.1GWの導入を目指す。現状の地熱設備容量が数百 MWにとどまる中で、大幅な拡大となる。
- 地熱の利点として、発電時のCO₂排出量が火力発電に比べて非常に低く、発電後の熱水を農業(施設園芸)や熱利用(温泉、暖房など)に活用できる多目的性がある。国産エネルギーとして、安定供給のベースロード電源になりうる。
🔎 高市政権の立場と政策変更の文脈
- 高市政権は、再生可能エネルギーの中でも特に「地熱など、日本が資源で優位な再エネの活用」を明記。原子力再稼働や次世代炉・核融合炉の開発と並び、地熱を国家のエネルギー戦略の柱に据える意向。
- これまで国内では、再生可能エネルギーの代表として太陽光発電が注目されたが、パネル大量設置による景観破壊・自然破壊・廃棄物問題・外国製パネル依存による安全保障の懸念などが指摘されており、高市氏は太陽光への過度な依存に否定的。これが地熱重視につながる。
⚠️ 課題・懸念点
- 従来地熱は「高温の熱水+高温岩盤」が揃った限られた地域(主に温泉地や火山地帯)でしか利用できず、適地が非常に限定されてきた。これが、地熱普及の足かせとなっていた。
- 次世代技術(超臨界地熱・EGS等)は適地を拡げる可能性をもつが、地質調査、掘削コスト、環境影響、周辺住民との合意形成が依然としてハードル。実用化・拡大には時間とコストがかかる。
- 一方で、高市政権は原子力を重視する姿勢を示しており、再エネ全体へのウエイト配分や、再エネ業界への政策支援のバランスがどうなるかは不透明。ある専門家は「原発推進派で、再エネ業界にはマイナスの影響もあり得る」と指摘。
📈 意義と可能性
- 日本は火山列島であり、地熱資源量は世界有数。潜在力が大きく、次世代技術で適地拡大、安定供給型再エネへの転換が可能。
- 温暖化対策、エネルギー安全保障、地域振興(熱利用、地元雇用、地方再生)など多面的なメリットが見込まれ、今の政策流れは地熱にとって追い風。特に、高市政権のように「脱・太陽光一辺倒」で多様なエネルギー源を目指す姿勢は、地熱の再評価につながる可能性がある。
🎯 今後の注目点
- 経産省の官民協議会による技術実証、予備調査、掘削スケジュールの進捗。2030年代初頭の実運転開始を目指す。
- 地域の合意形成と環境影響評価。特に温泉地、火山地、観光地での理解をどう得るか。
- 原子力・核融合とのエネルギー政策のバランス。再エネとしての地熱の扱いがどこまで優先されるか。
- 地熱関連インフラ・産業育成・投資の流れ ― 民間資本の参入、地元振興、地熱利用の多様化(発電以外の熱利用など)。

