[おすすめ]現代の思想家藤本タツキ先生が放つ143ページの無料読み切り漫画「ルックバック」を読め

絵のクリックでも無料読み切りに飛びます

2021年7月19日0時少年ジャンプ+にて「ルックバック」配信

最近の漫画は、単行本でも雑誌でもなく、スマホやタブレットで読むものになっています。週間漫画誌での前人未到、600万部を売り上げていた平成のお化け週刊漫画「週刊少年ジャンプ」で育った筆者のような世代が漫画界を牽引してきましたが、現在の漫画は、ジャンプ+のような、ネットやスマホでまず連載された中から、読者の人気や支持がことのほか高かった漫画について、書籍化や単行本化、リアル雑誌への「移籍」やアニメ化などのメディアミックスが起こるという流れになってきており、さながら、J2クラブから実績を挙げたサッカー選手が、いずれJ1チームから欧州海外チームへの移籍を果たすような、そのような流れができています。

そのような流れで今一番勢いのある作家をひとり上げるとすれば、藤本タツキ先生ということになりましょう。令和3年の今の代表作は、「チェーンソーマン」という作品ですが、その前の「ファイアーパンチ」といい、とにかく過去からの漫画やアニメや映画といったあらゆる文化コンテンツをなめ尽くした、編集者との二人三脚で築き上げた世界観は、すでに思想家の域に達しているような気がします。

藤本タツキ先生

かつての漫画界の巨匠、手塚治虫や石ノ森章太郎、藤子不二雄たちも、それぞれに独自の世界観を持っていましたが、現在の漫画家たちは、それらの歴史を学び、かつ画力は小さい頃からの研鑽に裏打ちされた確かなものを持っており、とにかく、人間が持つ集中力を全て画材に注ぎ込んだ恐ろしいモノに仕上がっています。どんなにメディアミックスで推し推しに宣伝されても、中身の作品コンテンツが顧客(この顧客たちも相当おかしい漫画マニアたちです)に支持されないと全く売れない、そのようなハイパー厳しい業界が、今の日本の漫画の世界なのだと思います。だから世界が注目せざるを得ないのです。日本のアニメ会社のアニメーターたちの平均年収300万円、と聞くと卒倒してしまう海外の関係者もいると聞きます。壮絶なレッド・オーシャンの市場なのです。金儲けしたいというようなさもしい気持ちでこの世界に入ると大怪我します。

さて、そんな現代の思想家である藤本タツキ先生が、143ページの「短編」読み切り作品を、ネットで無料で公開しました。公開直後から、恐ろしい勢いで読まれるこの作品「ルックバック」。作者と編集者との綿密な打ち合わせや構成の後が見られる力作です。最近の若いもんは、とかいうおっさんおばさんの理解を遥かに超えています。若いやつ、すげえの一言です。

ぜひ読んでみて下さい。筆者は、若い人に張ることに決めました。明らかにおっさんより若い人を育てたほうが、モノになるような気がします。

これ、私的には手塚治虫先生火の鳥未来編以来の衝撃でした。つまり、最高ランクの評価です。生きてて良かった。

以上