「毎日塾長」発刊に寄せて

毎日塾長、祝!発刊!!

毎日塾長という、毎日心に残る名言を見せていくカレンダーを作ったらいいという話を鈴木愛さんにしたのは、わたし(塾長と呼ばれる)がサーティーワンというアイスクリーム屋のアイスが大好きだからです。そんな高尚な話ではありませんでした。

本当は、365日のマーチというくらいに、一年分の名言を集めて年間カレンダーにしようかとも思ったのですが、それでは同じような言葉ばかりになるので、31日分ということにしました。毎月、毎日違った言葉に触れておけば、次の月に戻ったときにも新鮮な気持ちで振り返ることができるであろうと思いました。

さて、そのような構想をお伝えして、最初は盛り上がったのですが、その後上梓するまでには困難の連続でした。

キンドルでの出版という簡単なオンライン出版ができるという話を聞いて、とにかくアカウントを作ってみたのですが、やっぱり電子書籍の形だけじゃなくて手に取る紙のカレンダーにしたいという欲望が湧いてきてしまい、最低ページ数74ページという制約をみたすため、急遽あとがきやら著者の鈴木愛氏のインタビュー記事などでかさ増しを行ったのですが、まだまだ足りないということで、急遽わたし(塾長と呼ばれる)の巻頭言も載せてくれという話になったのです。

ということで、この毎日塾長を通じて、一番言いたいことをつらつら書いていこうと思います。

とにかく、今の日本の最大最強の課題は、少子化を止めることに尽きます。有史以来、持続的に人口が減っていく社会というのを人類史上初めて、もちろん日本史上も初めて経験していく我々は、そこから抜け出す方法を早急に編み出さなければなりません。

多産が奨励され、女性の地位を向上させる。その昔は、人口増大は至上命題だった時代は、女性は太陽のようにあがめられていたようです。下腹部が異常に大きい土偶が縄文時代に多くつくられ、多く出土していることからも、生命を生み出す女性は神秘的な地位にあったのでありましょう。

そして、日本神話の中でも、最高神はアマテラスという女神であり、古来の皇后、天皇、そして次の天皇の母として君臨した、斉明天皇や推古天皇や持統天皇や称徳天皇などの存在も、この証左でありましょう。

これが、江戸時代、日本列島の人口が3,000万人くらいまで増えて安定するところまで続きました。

しかるに、明治維新後、日本の人口は生産能力の急激な向上と世界市場に打って出た対外進出政策により、一気に1億人まで増えるのです。

この時代においては、女が子供を産むのは当たり前、ということで、その地位は著しく低下した、と考えています。

さらに、敗戦を経ても、その傾向がやむことはなく、確かに選挙権の平等など形式的には女性の権利が進んだと思われますが、やはりほおっておいても増える人口動態の中、ベビーブームなどの状況を背景に、子供を産み育てる女性の地位は不当にないがしろにされたのではないかと思うのです。

しかるに、状況は一変しました。

2021年、去年1年間に生まれた子どもの数は全国で84万人余りで、過去最少となったことが分かりました。

一方、死亡した人の数は145万人余りで、戦後、最も多い数となりました。

差し引き60万人の減少です。

日本において、60万人といえば、鳥取県や島根県全体より多い人口です。

毎年、鳥取県レベルの都道府県が消滅していくインパクトなのです。

厚労省によりますと、去年1年間に日本国内で生まれた子どもは84万人余りで、前の年からおよそ3万人減り、過去最少を更新しました。また、婚姻の件数は、51万4000組余りで、戦後最も少ない数となっています。

一方、去年1年間に死亡した人の数は145万人余りで、前の年から6万人以上増え、戦後最多となりました。厚労省は、死亡者が増えた原因を巡って、コロナの影響については引き続き調べる必要があるとしながらも、現時点では高齢化が主な要因ではないかと分析していますが、はっきり言って危機感なさすぎです。

子どもが生まれる数は第二次ベビーブームだった1973年以降、減少傾向が続いています。

去年はコロナの影響が危惧され、自殺者も跳ね上がりました。

厚労省は「減少幅としては例年並み」などと他人事のようですが、高齢者の年金予算をすべて出生のための予算に振り替えるくらいの措置を施さないと、日本は滅びるのです。

今こそ、多産をブームに、すべての政策は、将来日本に生まれるべき人数を増やすためという物差しではかられるべきでしょう。

そこで、二つの大きな方向性を示します。

一つは、高齢者の年金を多産政策に全振りすることです。年金支給開始年齢を現在の65歳の倍、つまり130歳にするなどがよいでしょう。そこで浮いた財源を、子供を産んだ女性に対する年金として支給するのです。つまり、子供を産むことが仕事になるというものです。

そしてもう一つは、公務員や議員の数を、人口数に連動させるというものです。公務員や議員は、ほっておいても増えていきますが、これは国民全体が増えている世の中で理屈がつく話でした。もうそのような時代は数十年来ません。ですので、今後は、その年に生まれる出生数に連動して議員数を増減させればよいと考えます。そうすれば、政策当事者も、自らの仕事を確保するために、少子化ストップに取り組むようになるでしょう。

以上で、あとがきに代えさせていただきます。

この毎日塾長を一人でも多くの人が手に取っていただき、著者の鈴木愛さんを励ましてあげてくれることを、切に祈っています。

おわり