商法第5問

問題

X株式会社(以下「X社」という。)は、化学繊維の製造及び販売を目的とする取締役会を置く会社である。Y株式会社(以下「Y社」という。)は、国内にのみ本店及び支店を有し、洋服の製造及び販売を目的とする取締役会を置く会社である。
X社は、一般に流通しているものと同種・同型の洋服用の生地(以下「本件生地」という。)を製造したが、予定どおりに販売することができずに、大量に在庫として抱えることとなった。
そこで、X社はY社に対し、2020年9月1日、本件生地を1億円で売却した(以下「本件売買契約」という。)。
本件売買契約の締結については、X社及びY社の取締役会において、いずれもその承認がなされた。
Y社は、本件生地を受領した際に、その一部につき抜き出して詳細な検査をし、その余は外観上の検査をした結果、本件生地に特に異常は見付けられなかった。
Y社は、本件生地を用いて洋服を製造し販売した。ところが、Y社は、2021年2月になって、その洋服の購入者から苦情を受け、本件生地のほとんどに染色の不具合があり、数回洗濯すると極端に色落ちすることが分かった。そこで、Y社は、直ちにX社に対してその旨の通知を発した。
XY間の法律関係について論じなさい。なお、X社は本、件生地が色落ちする事実について知らなかったことを前提としてよい。
(司法試験予備試験 平成24年度改題)

解答 2022年7月20日(水)自作

1 Y社は、X社に対して、本件生地は色落ちするものであって、引き渡された目的物が品質に関して契約の内容に適合しないものであるとして、担保責任を追及することが考えられる(民法562条、563条、564条、541条、543条、415条1項)。
2 ここで、商法526条は商事売買について、 上記規定の加重要件を定めているから、この点について、検討する必要がある。
(1)まず、X社及びY社は商人であるから(会社法5条、商法4条)、本件売買契約は商人間(526条19)でなされたといえる。
(2)次に、本件では、Y社は、本件生地を受領した際に、その一部につき抜き出して詳細な検査をし、その余は外観上の検査をしており、遅滞なく、その物を検査(526条1項)しているといえる。もっとも、上記のように、Y社は、検査によって、本件生地の色落ちという品質に関する契約不適合を発見することができておらず、売主であるX社に直ちに通知していないため、526条2項前段の要件は満たされない。したがって、同項後段の要件を満たさない限り、Y社はX社に対して担保責任を追及することができない。
(3)では、同項後段の要件は満たされるか検討する。Y社は6箇月以内に上記契約不適合を発見し、通知することはできているので、本件生地の色落ちが直ちに発見することができない品質に関する契約不適合に当たれば、同項後段の要件は満たされることになる。ここで、本件生地の品質に関する契約不適合とは、そのほとんどに染色の不具合があり、数回洗濯すると極端に色落ちすることである。そして、本件生地を受領した際に、その一部につき抜き出して詳細な検査をしたにもかかわらず、色落ちを発見できていないことからすれば、直ちに発見することができない品質に関する契約不適合に当たる。
3 以上より、1記載の各規定の定めるところにしたがって、Y社はX社に対して担保責任を追及することができる。
以上
815字

問題解答朗読
解説音声

◁民法第5問

▷民事訴訟法第5問

問題と考え方と答案構成

解答 アガルート

1 まず、Y社は、X社に対して、本件生地は色落ちするものであって、「引き渡された目的物が…品賞…に関して契約の内容に適合しないものである」として、担保責任を追及するだろう(民法562条、563条、564条、541条、543条、415条1項)。
2 ここで、商法(以下、法令名省略。)526条は商事売買について、 上記規定の加重要件を定めているから、この点について、検討する必要がある。
(1)まず、X社及びY社は「商人」であるから(会社法5条、商法4条1項)、本件売買契約は「商人間」(526条19)でなされたとい える。
(2)次に、本件では、Y社は、本件生地を「受領した」際に、その一部につき抜き出して詳細な検査をし、その余は外観上の検査をしており、「遅滞なく、その物を検査」(526条1項)しているといえる。
 もっとも、上記のように、Y社は、検査によって、本件生地の色落ちという品質に関する契約不適合を発見することができておらず、売主であるX社に「直ちに…通知」していないため、526条2項前段の要件は満たされない。
 したがって、同項後段の要件を満たさない限り、Y社はX社に対し て担保責任を追及することができない。
(3)では、同項後段の要件は満たされるか。
 Y社は「6箇月以内」に上記契約不適合を発見し、「通知」することはできているので、本件生地の色落ちが「直ちに発見することができない」「品質」に関する契約不適合に当たれば、同項後段の要件は満たされることになる。
 ここで、本件生地の「品質」に関する契約不適合とは、そのほとんどに染色の不具合があり、数回洗濯すると極端に色落ちすることである。そして、本件生地を受領した際に、その一部につき抜き出して詳細な検査をしたにもかかわらず、色落ちを発見できていないことからすれば、「直ちに発見することができない」「品質」に関する契約不適合に当たる。
3 以上から、1記載の各規定の定めるところにしたがって、Y社はX社に対して担保責任を追及することができる。
以上