10万人の社員株主のモチベーションに支えられて驀進するファーウェイという中国深圳の世界企業について
おはようございます。
令和元年(2019年)5月のビルメン王(@shinya_ueda)によります世界経済のダイナミズムに少しでも触れるブログ配信記事です。
中国に香港が返還される前、海を隔てた深圳(シンセン)は何もない寒村、田舎の漁村であり、豊かな香港へ海を泳いで渡ってたどり着く不法入国者が絶えないところでした。
それならば、ということで中国政府は隣の発展する香港に対抗すべく、この深圳の地を経済特区と定めて、かつて織田信長がやった楽市楽座のごとく、豊かになれるものから豊かになれとけしかけたのです。
それに応えるように、中国10億人超の民は、ひたすら働き、この地はやがて、米国西海岸のシリコンバレー、イスラエルのテルアビブに並ぶ、いやそれをしのぐスタートアップ育成都市として世界に号令し、瞬く間に香港のGDPを軽く抜き去ったのです。
この深圳をベースに、急速に世界に向けてその勢いを増している企業、そして米国トランプ政権の頭を最も悩まし、彼らによる攻撃にも晒されている企業、それが今回紹介するファーウェイ(HUAWEI)です。
ファーウェイの売上高は、約11兆円、これは電子製造メーカーとして日本のどの企業よりもすでに大きく、社員は10万人を数えます。
深圳の中心部に、まるで東京ディズニーランドを彷彿とさせるような行楽地が現出していますが、これがファーウェイの本社です。
同社は、非公開の非上場企業ですが、なんと全社員が唯一の株主となっているという、社員株主会社なのです。
従業員持株会、というものから、その株主としての経済的利得を、現役社員と現役傾斜のみが受ける、退職するときは会社(もしくは持株会)が強制的に買い上げて、株式が現役社員や現役経営者の外に流出して問題ファンドや悪徳ブローカーに渡ることを防ぐ意味があるのでしょう。
こうすると、会社の現役従業員と経営者がそのまま株主ということになりますから、変な代理人コスト(会社と経営者間の利益相反)や人件費コスト(会社と従業員間の利益相反)の調整をはかることは必要でなくなります。
おそらく、従業員の労働組合といったものも「ない」のではないでしょうか(未確認ですが)。
このように、究極の所有と経営と事業推進の分離ならぬ統一を図る経営手法で、創業者もファーウェイの株式はわずか1.6%しか所有していないという状況ながら、同社は他の世界のどの会社よりも強力な内部推進力を持って世界経済に号令しているのです。
次世代通信規格という、現在の4G規格の100倍以上の速度で繋がる5G規格では、米国クアルコムが多数の特許を保有していると言われていますが、実はファーウェイの方が実質的に「進んで」いると言われており、それゆえに米国トランプ政権は、同社を目の敵にして、同社が米中貿易戦争の主役に躍り出ているというわけです。
社員株主会社という仕組みについては、興味があるのでもう少し調べて、筆者のまわりでも応用できないか検討してみようと思います。
5G通信世界が待ち遠しい筆者からの独白は以上です。
(2019年5月4日 土曜日)
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