外国人犯罪捜査が甘い理由

結局は、面倒だから

●日本の刑事訴訟法は日本語が通じない外国人への配慮を定めている。

裁判所では日本語を用いる(裁判所法74条)。これは法廷内だけではなく、裁判手続全般にわたって日本語を使用しなければならないことを意味する。公判の準備も含めて捜査に関連する書面、供述調書等の各種書類は日本語で作成されるのが通常である(刑訴法236条)。そのため、日本語が通じない外国人が刑事手続の対象となった場合に特段の配慮が必要となる。こういうお人好しの法令の定めがあるのです。

刑訴法は、日本語が通じない者に「陳述」をさせる場合には、通訳人に通訳させなければならないとしている(175条)。しかし、外国人に対しても刑事手続の権利を保障している国際人権規約がここに重なり、現実の公判では陳述を要する場合に限らず、手続の進行において言語の不理解で不利益を受けないようにすることが要請されている。捜査機関が取調べの身体拘束に着手したときは速やかに通訳人を通訳に通訳人を通じて告知しなければならないとする(犯罪捜査規範123項)。当該外国人が日本語を話せない場合、必要な捜査の告知を除き、通訳人を介してこれを行い(犯罪捜査規範233条)、逮捕状等の告知や処分告示も、なるべく翻訳文を添付するなどの措置をとっている(刑訴法236条)。さらに訴状や略式命令の送達に際しては、その概要を英語その他の言語に翻訳した書面が一緒に送付されている。

不法在留者など入管法に違反している外国人は、退去強制処分を受けることになるが、処分後に公判で証人として証言する必要が生じた場合には、証拠法上の問題がある。こうした外国人を逮捕した場合、入管法65条の規定により司法警察員から入国警備官に直接引き渡すことが認められており、48時間以内に検察官に送致することになっている刑訴法203条の例外とされている。

要するに、不良外人に対して、手厚過ぎる、現行法令の縛りゆえに、時代にそぐわなくなってきているのです。

ここは日本だ。郷に入りては、郷に従え。

以上