(2021/03/01)みずほ銀行ATM等大規模システム障害(10年ぶり3回め)

▼記録のために書いておきます。みずほ銀行(旧第一勧業銀行、旧富士銀行の大手都市銀行(当時)2行と、長期信用銀行(当時)最大手の日本興業銀行の合併、統合により2002年4月に誕生)のATM(Automatic Teller Machine、現金自動預け払い機)が日本全国各地で利用できなくなったシステム障害が発生しました。2021年2月28日の日中に発生したこの障害は、同日深夜から2021年3月1日未明にかけ、「同行によれば」復旧作業が終わったとのことです。続いて、同銀行は2021年3月1日朝からATMを通常どおり稼働させる予定だとしています。

▼みずほ銀行では、28日午前、システムに障害が発生し、28日夜7時半過ぎの時点で、全国各地に設置している5395台のATMのうち、半分以上の2956台が利用できない状態になりました(銀行発表)。預金を引き出そうとキャッシュカードや通帳を差し込んだ際に、ATMにキャッシュカードなどが取り込まれたままになり、どうすることもできずに長時間待たされた利用客からは「対応が遅い」といった声があがっていました。虎の子の決済系預金通帳やキャッシュカードが、ATMに取り込まれたまま戻ってこないというのは、恐ろしいことです。また、影響はインターネットバンキングの「みずほダイレクト」にも及び、一部の取り引きができなくなりました。

▼同銀行によりますと、システム障害は定期預金に関するデータの更新に伴って起きたということで作業を進めた結果、28日夜のうちにネットバンキングも含めシステムの障害は復旧したということです。みずほ銀行は、ATMに残ったキャッシュカードや通帳を取り出す作業を進め、1日午前7時からATMを通常どおり稼働させる予定だとしています。

▼歴史を振り返りますと、みずほ銀行を巡っては、①3つの銀行が合併して営業を始めた2002年の4月と、②東日本大震災が発生した直後の2011年3月の2度にわたって大規模なシステム障害が発生しいずれも金融庁から行政処分を受けました。こうした重大インシデントを起こしたみずほ銀行は、再発防止に向けて、2019年、基幹システムを刷新しましたが、再び③ATMから通帳、キャッシュカードが戻ってこずにデットロックに陥るという致命的な顧客に迷惑をかけるシステム障害を起こしたことになります。10年周期の3回めのトラブル、銀行法という極めて特権的な地位を金融当局によって認められる代わりに高い公共性を発揮しなければならない、銀行の組織体制や運用開発体制に、大きな疑問符がつく出来事となりました。