(2021/03/16)戦前日本に合名会社鈴木商店というものすごい会社がありました

▼かつて合名会社鈴木商店という大商社が日本にありました。三井三菱を凌駕し、瞬間ながら日本のトップに君臨した総合商社です。大番頭金子直吉が興して発展させました。鈴木商店のオーナーの鈴木よねは、金子の博才を買っており少々の投機の失敗は意に介せずブルドーザー金子と呼ばれた辣腕に経営の全てを任せました。1914年(大正3年)、第一次世界大戦が始まったとき、戦争はすぐに終結し戦争被害による影響で物価が下がるというのが大方の見方であったところ、鈴木商店は海外電報からの情報を駆使して戦況を集め物価は高騰すると読み、世界中で投機的な買い付けを行いました。鉄、小麦、船などについて日本を介さない三国間貿易を始めるなど独創的な手法で売り上げを急拡大し、金子は「この戦乱を利用して大儲けをなし、三井、三菱を圧倒するか、あるいはその二つと並んで天下を三分すべし」と記しました。恐ろしい商才とビジョンです。そしてその全盛期、鈴木商店の売上は16億円(当時の日本のGNPの約一割)に達し、三井物産や三菱商事を遥かに上回ったのです。当時のスエズ運河を通過する船の一割は鈴木商店所有といわれたものです。台湾銀行との強力な関係を梃子に、ほぼ無尽蔵の資金供与を受けられる体制にあった鈴木商店は、第一次世界大戦での塹壕の土嚢も供与するなど世界中で羽振りを利かせ、この世の春を謳歌するに見えました。

▼しかし、鈴木商店の絶頂は一瞬でした。第一次世界大戦後の反動で株価、工業製品価格、船舶運賃は軒並み下落します。株式を上場せずに銀行からの借り入れのみで運転資金をまかなっていた鈴木商店は大きな打撃を受け、折しも関東大震災で大量の焦げ付きも被りもともとの経営体力で優位に立つ三井三菱にその取引領域をますます侵食されていくことになります。ついに昭和恐慌のあおりで日本中の銀行に取り付け騒ぎが起こる中、後ろ盾であった台湾銀行という実質当局監督下の銀行も鈴木商店を見放し、実質的に急遽グループ傘下に収めてきた地方銀行では鈴木商店の巨体は支えられず、鈴木商店は事業停止、清算に追い込まれました。その後、鈴木商店の関連会社の殆どは当時の商売競合であった三井財閥系列に統合されていきましたが、唯一、金子の部下だった高畑誠一を中心に鈴木商店の子会社本流だった日本商業会社を日商と改め再出発を図り、日商岩井、双日を経て今に至ります。鈴木商店の流れを組む会社は他にも神戸製鋼所、帝人、太平洋セメントなど沢山あります。財閥系を瞬間でも凌駕し世界に雄飛した商売人の溢れ立つエネルギーを受け継ぐ企業群です。栄光なき天才たちだった金子直吉を始めとした鈴木商店のスピリットに、日本人の底力を感じずにはいられません。我々もどうせ投資や事業をやるなら、夢を乗せたいものです。三井三菱に入社できなかった我々より、合名会社鈴木商店に限りない憧憬と尊敬を込めて、合同会社鈴木商店と名付けさせていただきます。

▼昨年2020年10月29日、合同会社鈴木商店は設立されました、新型コロナ感染症等の厳しい状況の中、皆様には遠路お越しいただき、お祝いの列に加わっていただきますこと、まずは何よりありがたく、御礼申し上げます。当社は、離島や限界集落の街づくりにつながる教育事業を、日本中の志ある有為な方々に紹介してその一翼を担っていただくべく日々奮闘しているところでございます。さて現在の日本の総合商社の中に双日という会社がございますが、双日といえばルーツは合名会社鈴木商店、私は学生時代に読みました「栄光なき天才たち」という漫画の中の鈴木商店シリーズがことのほか好きでして、何度も読みました。最近も古本屋で買い求め、双日の会社に人を介してに勝手にお届けさせていただきました。神戸製鋼、帝人、双日、IHI、サッポロビール、日本製粉……錚々(そうそう)たる企業の母胎となった巨大商社が、100年前の日本に存在しました。神戸に拠点を置く合名会社鈴木商店です。最盛期といわれる大正9年、1920年には、従業員三千名、年間取引高は十六億円に及び、それまで三井物産が記録していた最高額十二億六千万円を越え、日本一の商社の名をほしいままにしました。往時の日本の国家予算は13億円と言いますから、現在に換算すると、100兆円予算の日本国予算を上回る、売上高100兆円以上という途方もない規模にあたります。「スエズ運河を航行する船舶の10隻に1隻は日本の鈴木に属す」「当時のGNPの1割に匹敵」した鈴木商店を率いた大番頭、金子直吉は、「三井、三菱を圧倒し、しからざるも彼らと並んで天下を三分するこれ鈴木商店の理想とすることなり」と発しています。その栄光の歴史を持つ組織の皆様と席を同じくして親しく語りあう機会がありましたら、大変喜ばしく思います。
我々、合同会社鈴木商店は、この九州離島の対馬の地において名誉ある地位を占めるため、今一度原点を見つめ直し励んでまいりたいと思いますので、これからもますますご友誼を賜りたく、よろしくお願いいたします。最後になりましたが、本日これをお読みいただきました皆様並びに関係する全ての方々のご健勝を祈念いたしまして、お祝いの言葉といたします。このたびは、誠に、おめでとうございます。

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