少子化の根本原因

【少子化の根本原因】010投稿目
お盆の前に、自分の今後の永遠のテーマである、少子化の根本原因として普段考えていることを文字に出してみました。いきなり書き始めましたのでまとまりはありませんがお読みください。自分も働くとは何かと考えることがあります、というか常に考えて来たので少し自分の考えを置いておきます。
家業を持たない家族(両親や稼ぎ手の親が、サラリーマン(勤め人)や公務員、といった労働者であるという意味)の子弟や子女は、親からは一定の自由な時間を与えられて教育を受けるという幸運に与ることになります。これは、中小企業の家業の子供だと、誰かがその事業を継がないといけないので、その職業訓練も込みで教育されるのとは違って、一面自由だとも言えます。
つまり、自身が、事業や家業の二代目や三代目として、何らかの事業基盤を引き継ぐという負担や面倒さがない代わりに、教育終了後は自分一人で世の中に対していかなければならないという心細さもあるわけです。
で、たいていの人はいわゆる大卒(学部卒)まで親の庇護で進んだ結果、何らかの芸能としての就活を行い、どこかの企業にサラリーマン(勤め人)として入社するなり、資格を得て業務に入ったり、教職や他の一般公務員として奉職するという道を選びます。これは、積極的に選ぶというより、自分の身を立てて経済的に自立するためにやむなくそうするという面が高いです。ここで、大きな親子家族間の断絶が起こります。兄弟姉妹間の断絶も起こります。それもそのはず、一族郎党で一つの「家業」を盛り立てていくという合理的な拠り所がないから仕方ないのです。
または、全員を家業で養うのはもともと不可能なので、二番目以降子供や、特に女子は外に出す、外に出して花嫁修業としてどこかの家業の家に入るか、もしくは同じような無産階級のサラリーマンと一緒になって共働きをする、という世の中の流れになってしまいました。自由を踏み台にした放り投げ状況とも言えます。
高度経済成長期には、一家の大黒柱のパワーエリートとして、奥さん(専業主婦)及び子供数人を余裕で養うことができるだけの報酬を得られる一部上場企業のパワーエリート職というのが実際あって、その専業主婦及び子育て核家族制度というのがある程度ワークした時代もありました。しかし、現在の令和の就労環境は、IT化の進展により、そんな若くして他の役職員の上に乗って一人だけはるかな高給を得られるパワーエリート職というのはほんとに少なくなりました。
かつての総合商社や巨大メーカー、都市銀行の本社採用なら、その栄光のよすが、はまだあるかもしれませんが、今はそういうのはやりませんよね。学部卒の学歴序列でその後のサラリーマン人生30年以上がそのまま決まるみたいな幸せな状況ではないわけです。いくら大手の企業でも、簡単に傾き下手すれば潰れる時代です。さらに、巨大ベンチャー企業という存在もそこかしこに出てきました。
これ書いてる筆者が社会人になったのは、1997年。アマゾンの創業は1994年。グーグルに至っては創業1998年です。私の社会人生活よりも、グーグルさんの社歴のほうが短いんです。そんな時代。
そんな時代なので、雇用は安定しないので、私は旧来の大企業筆頭の日本型大手銀行にいながら、社内の一般職の人と結婚するという一般的な道を踏み外して、共働きで複数の子供を持てる相手と結婚しました。そして、東京で結婚して第一子を得たところで、この地、福岡での上場不動産設立プロジェクトという新規事業に呼ばれて、20年前の2004年に、この福岡にやってきたというわけです。私の出身は北九州市八幡であり、福岡市ではありません。東京と横浜、梅田と三宮以上に気質も人間の言葉も違うこの異国の地福岡で妻も転職し、潜り込み、子供も3人に増えて、めずらしい両親ともフルタイムで働く総合職で子供3人保育園に預けるという生活でした。
このように、お互い家業を持たない0代目の無産階級でありながら、結婚して家族を持ち、かつ両親それぞれがそれなりにやりがいを得られる職場について健康で働き続けるというのは相当の困難を伴う運ゲーな面があります。
ほとんどの、とりあえず就活はしたけど数年後、どのように自分のキャリアを持っていきたいか、というところで、ほとんどの男女が立ち止まっている点、それがズバリ結婚と出産だと思っています。男は直接出産しませんが、この問題は大ありです。昔は、大企業につとめて、まじめに働き数年たてば少なくとも奥さんと子供数人は養えるくらいの収入と地位は約束されていました。しかしながら、その幸せな時代はとっくに過ぎてしまいました。
男としては、最後は俺に任せておけ、と言いたいのですが、どうしても、そう言い切れるほど安定して収入を得られる職というのが限りなく少なくなってきている、あるとしたら、しがらみだらけの「家業」であり、農家の嫁とか漁師の嫁とか、鉄工所の経理の嫁とか建設業の奥さんとか、そういう縛り付けられた職しか残っていない、というジレンマがあります。つまり、0代目の我々無産階級が得られるサラリーマン職、の魅力が格段に下がって、一人の人間を養うのが精いっぱい、子供を持つなら間違いなく夫婦共働きをしないと家計が持たないという貧乏な状況になっているのが本質的な問題なのです。つまり、この50年にわたり、日本は一貫して貧乏になってきた、と私は思っています。
その、年は30歳手前までになってきたけど、将来の収入や地位の安定が担保されないから結婚に踏み切れない、女性側も、出産や子育てというキャリアを中断しても任せられる太い(経済的)幹になりうる適切な男性がまわりに全くいない、という状況が、いたずらに婚期を遅らせ、結果少子化がここまで進んだ元凶だと思っています。
決して、女性が社会進出して、男性を見る目が厳しくなったわけではなく、男性側も、もっと自信があれば結婚に踏み切り家族や子供を持ちたいのに、養えるという自信がないから独身を続ける、さらに実家も出ないままパラサイト、ということになってしまっています。すべて私の個人的意見(偏見)ですが、個々人の趣味趣向が変わって多様化したから少子化したわけではありません。つとめて、原因は、将来の収入の不安。これに尽きます。
したがって、特に女性側には、スキルを高めて稼げるという自信と教育を与え、男性側には、共働きへの理解と共同して子育てする意識を早くから持ってもらうように教育することが肝要で、これをおせっかいにやれる企業や組織が本当に生き残れると私は見ています。
個人の成長と、個人のキャリアアップと昇進と待遇の向上だけを謳うほとんどの企業について、ある程度のキャリアを積んだところでほとんどの社員が疑問を持つのはむしろ当然のことだと思っています。一部の超・エリートコースを外れた人にとってみれば、会社は一人で家族全員を養うだけの給料を出してくれるところではないから、付き合い方を考えないといけないと思い始めるのは自明だと思っています。多くの若手の独身のサラリーマンの男女がなんとなくもやもやしている点と、「直接」関係するところではないかもしれません。ただ、多くの若手の社員や若い勤め人たちは、自分のキャリアや働くことについて悩んでいる原因を自分自身のみに求めすぎているかもしれないとわたしは思っていますので、かような論を提示してみたものです。
これまでの会社員モデルは、確実に、サザエさんモデルです。実は、あの大家族で勤め人、海山商事に勤めるのは浪平とマスオさんだけです。この2人の収入だけで、あの一軒家と専業主婦のフネさんとサザエさんと、カツオワカメ、そしてタラちゃんと三毛猫を養うって、海山商事どんだけの給料支払ってるの、もらってるの?ということなのです。そうです。昔はそうだったんです。都会のサラリーマンをやっていれば、一家4人や5人、平気で養えたのです。
今は全く違います。子供を2人以上、大学までやろうとしたならば、一人のサラリーマンの収入や待遇では相当無理があるでしょう。この福岡で最も給与が高い名門第一地方銀行でも、せいぜい2人を大学学部までやるので精一杯でしょうね。それくらい、ある意味日本は平等になり、等しく貧乏になってきた、ということになります。そりゃ業務スーパーも100円ショップも流行るわけです。
キャリアを語るとき、必ずこの新しい家族を持つことへの不安や経済的抵抗というのが立ちはだかります。わたしは、従業員の興味関心集中をこれだけ集めながら、ろくな生産性を上げられず、給与も売り上げも上げられない企業側のほうこそ、大きな問題があると思っています。
それが無理なら、従業員側からの労働供与は一定に抑えて、残りの時間は積極的に副業を認める、創業させる、他の会社でもボリバレントに業務委託の形式やバイト形式で働く、それでも余った時間は夜中の吉野屋バイト(ワンオペ)や夜警バイトやウーバーイーツなどを駆使して、十分に働きに見合う報酬を貰うように個々への労働規制を外すこと、これこそが最も重要な改革だと思っています。
いったん最後に無理やりまとめて書きます。今の若い従業員の人たちは、これから人生上、結婚して、夫を持ち、子供をつくる、というところのイメージがつかずに不安があって、まわりを見ても適切なモデルが見当たらない、というところなのではないかと思います。
同様の情況にあるように見受けられる、独身の男女をよく見ていますので。そして、これは私の死ぬまで解決したい課題である少子化対応策、につながる話です。ですのでわたしは考え続けようと思っています。
個人の趣味趣向に原因を矮小化しようとしているすべての政府や調査機関、コンサルティング会社の言うことは嘘だと思っています。すべて経済的事情です。まさに、衣食足りて礼節を知る、衣食足りて少子化は解消する、と思っています。いくらカネを積んでも仕事をしても、人間は増えません。
以上、と書きたいところですがこのテーマは根本原因なので、さらに続く予定。