入試の本質

入試というのは言ってみれば、母集団をうまく振り分ける、一つのスクリーニング機能です。

学校は、大学高校中学に関わらず、受験してくる生徒の母集団に合わせて、その生徒たちの学力を適切に測る目的で入試を課すわけですから、母集団の学力を評価するのに適した出題であるべきです。

という意味で、今年の大学入試共通テストは中身がどうこう以前に結果としてテストとしては「最悪」でした。

今までのセンター試験がいかに優秀なテストであったかを思い知ります。

難しくても得意な受験生がが70点で不得意な子が10点である、というのであれば、テストとして全然良いのです。

今年の共通テストの、たとえば数学は得意な子も不得意な子も30点前後みたいなテストです。ナンソレ!という感じです。

さて、お題をぐっと絞って九州の私立中学入試というものに絞ります。

以下、マニアックになりますが、ラ・サール中の算数は素直な難問揃いではありますが、青雲中や弘学館中も算数好きにとっては、うなる良い難問が出題されています。

ただしですね、この学校を受けてくる受験者の学力層を考慮すると、機能しているのはラ・サールくらいで青雲・弘学館の両者はその難問が解けなくても合否に影響ない状況になっています。これでは、出題の意味がありません。全員◯もしくは全員✕の問題を出すというのは、出題者の負けなのです。

ある種、先生方の趣味というかプライドというか、そんな気がします。

それ自体を否定はしませんが、それでも、一方、とってもオーソドックスな問題ながらも、入試としてほぼ完璧な出題なのが早稲田佐賀です。

おそらく生徒の学力と入試結果に確かな相関があり、選抜試験としてまっとうに機能していると想像できます。

早稲田佐賀の受験者層の学力に確実にフィットしています。

算数に関しては九州で出題が一番うまいのが早稲田佐賀だと思います。

さて、九州の公立高校の入試についてです。佐賀県や長崎県については、多くの生徒に難し過ぎるきらいがあります。

佐賀県や長崎県の県内トップの佐賀西や長崎西の選抜にはきっと機能するでしょうが、他の学校の受験生にはどうなんだろうという率直な感想です。

県内の全ての県立高校で同じ出題がされているのですから、問題作成者には、大学入試共通テストとまではいかないけれども、母集団を適切に把握して、この母集団を適切に格付けし、差をつけるにはどのようなレベルの出題をすればいいのか、もっとAIなりを駆使してほしいです。

全国の大学学部受験生が、またはある県内の全公立高校の試験がこの問題だ、ということです。

たとえば一般入試にA(易しい)・B(難しい)の2種あって、志願する学校がしっかり身の丈というか自校の受験者のレベルに合わせて問題を選ぶ、というような方式であれば良いなとも思いますが、それは学位が一定という建前上難しいでしょう。であるからこそ、問題作成者には、自分の趣味は横に置いておいて、データやAIを駆使して良問を作成してほしいです。

良問とは、母集団を適切に格付けできる問題のことです。全員が◯もしくは全員が✕ではダメなのです。

このように、この受験業界においては、激しい思い込みをしている筆者のようなオタクがうようよしているので、入試結果(受験者の平均点に加えた各問題ごとの正答率含めて)全てホームページにUPすべきなのですが、筆者みたいな市井のオタクみたいな人がああだこうだ言ってしまうのが恐ろしいので、うざいので公開しないのです。

一方、入試問題が難しかったことが功を奏し、たとえば浪人覚悟で受験終了日にも関わらず受験生が続々と自学学習塾に来て、次の年に向けた受験なり、または高校に入ってから早速始まる高校での勉強を、本当に自主的にスタートしたりすると、最高ですが、どうでしょう。

こういう自主学習効果を見据えてのあえての難問出題ならば、出題者には感謝しかありませんが。

とにかく、受験問題は作品なのですから、もっと広く知見を拾って、データやAI駆使して工芸作品のように作るべき!

と繰り返して、今日の記事を終わります。

以上