指名委員会等設置会社と普通の株式会社の違い

最近、特に上場企業で指名委員会等設置会社という会社が増えてきました。これっていったい何?という疑問にお答えします。

しかし、ここに書いてあることはさわりのさわりだけですので、自身の興味に沿って存分にあとはググって調べてもらえればと思います。

でも、何をググったら良いのかわからない、そんな人のためにはこの記事は非常に有用だと思います。

指名委員会等設置会社に監査役はいない


指名委員会等設置会社に監査役は設置できません。

通常の会社であれば監査は監査役が実施しますが、指名委員会等設置会社では監査は監査役ではなく監査委員会が実施します。

そのため、監査役の設置はできず、代わりに会計監査人の設置が必須になります。

会計監査人とは会社の決算が正しく行われているか監査する人のことです。会計監査人は「公認会計士」または「監査法人」以外、なることができません。

指名委員会等設置会社には代表取締役はいない

指名委員会等設置会社においては取締役ではなく、「執行役」が業務を執行します。

日常業務を執行するのは代表取締役ではなく執行役なのです。

なので、代表執行役社長といったり執行役専務といったりするわけです。

繰り返しますと、指名委員会等設置会社には「執行役」「代表執行役」があり代表取締役は存在しません。

これは、結構違和感がありますね。

特に、筆者のような古い人間にとっては、会社を代表するのは代表取締役社長か代表取締役会長、で決まり!ですので、代表執行役社長とか言われても、必殺仕事人かよ、仕置き人?みたいな軽い感じがしてなりません。

指名委員会等設置会社は海外に受けがいい

指名委員会等設置会社の最大のメリットは、欧米などの海外の投資家の信頼を得やすいことです。

欧米では指名委員会等設置会社が一般的で、指名委員会等設置会社は監査役設置会社などに比べて経営の透明性が高いと思われていて、欧米のガバナンスに近いというか彼らにとってなじみが深いため、海外の投資家に良い印象があります。

コーポレートガバナンスの強化というお題目のもと、指名委員会等設置会社では、通常の監査役と異なり、過半数が社外取締役で占める3つの委員会が監督・監視しているため、より適切な会社運営を行うことができるようになります。

それでも、日本においては指名委員会等設置会社ななかなか普及しません。

それは、そもそもそんなリスクがある人員の確保が困難であり、かつ権限を集中しておきたいと願う日本人の信条に合わないからだと個人的には思います。

指名委員会等設置会社で設置する指名委員会・報酬委員会・監査委員会は取締役会で選任されます。

3つの委員会はそれぞれ3人以上の取締役で構成され、半数以上は社外取締役である必要があります。

単純に考えると3つの委員会で合計9人以上の取締役(取締役3人・社外取締役6人)が必要なのです。

こんなの、中小企業では無理です。

各委員は兼任することができ、兼任した場合は取締役1人と社外取締役2人の取締役の合計3人でいいことにはなりますが、現実に委員を兼任することは難しく、多くの取締役の確保が必要になってきます。

社外取締役が増えれば、取締役会の議論が活性化するメリットがありますが、議論がまとまらず、さらに会社の大きな方向性について取締役間の意図にずれが生じると迷惑をこうむるのは従業員や顧客です。

社外取締役には経営や会社の事業に精通した人が望ましいわけですが、そんな人に報いる報酬を用意できる会社のほうがまれでしょう。

役員が増えれば当然報酬が増えます。監査役設置会、監査等委員会設置会社に比べて負担が大きくなります。

通常の株式会社であれば、取締役の指名や報酬は株主総会や取締役会で決定されることが多いです。

しかし指名委員会等設置会社では取締役の指名は指名委員会、報酬は報酬委員会が決定します。

指名委員会や報酬委員会は過半数が社外取締役になるので、取締役の指名・報酬は社外取締役に委ねることに抵抗を感じる人も少なくないのではないでしょうか。

ということで、海外の受けがいいとかそういうことは置いておいて、なかなか我が国において、指名委員会等設置会社は浸透しないのだと思います。

以上