民法第21問

民法 第21問 2022年6月22日(水曜日)

第1 小問1について

1 A及びBのCに対する請求は、甲建物の共有持分権(民法249条1項)に基づく返還請求としての甲建物明渡請求である。

 一方で、CもA及びBとともに甲建物を等分で共有しており、甲建物につき共有持分権を有する。そこで、少数持分権者が共有持分たる共有目的物を単独で占有している場合に、多数持分権じゃが目的物の返還請求をすることができるか問題となる。

2 確かに、別段の合意がない限り、共有者は単独で当該共有物を占有する権限を有するものではない。しかし、各共有者はその持分権に基づいて共有物全体を占有する権原を有する(民法249条1項)。

 したがって、多数持分権者といえども、当然に当該共有物の明渡請求をすることができるものではない。

 ただし、多数持分権者が共有物の明渡しを求める理由を主張立証した場合はこの限りでないと解する。

 本問では、A及びBが多数持分権者であったとしても、当然には少数持分権者Cに対し甲建物の明渡請求はできない。

 もっとも、A及びBは、特に持分尾価格の過半数を有しており、議を行いCの利用を認めない旨を決定するなど、共有物の管理に関する事項を定め、明け渡しを求める理由を主張立証すべきである(民法252条1項前段)。この決定には、現に甲建物を占有するCも拘束される(同項後段)。

4 以上より、A及びBのCに対する請求は当然には認められないが、上記決定の存在等の共有物の明渡しを求める理由を主張立証することにより認められる。

第2 小問2について

 共有物を使用する共有者は、別段の合意がある場合を除き、他の共有者に対し、自己の持分を超える使用の対価を償還する義務を負う(249条2項)。

 本問では、CはA及びBに無断で甲建物を占有しており、別段の合意はない。

 よって、Aは自己の持分割合に応じて、専有部分に係る使用の対価としての賃料相当額を請求できる。

以上

780文字(用紙スペースは22字×22行×4枚=1,936文字)

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