真の優秀さ

【真の優秀さ】

くだらない事に意味があったと感じた瞬間があります。
ある会社で実際にあった話です。

その若者Aさんは、難関大学をトップの成績で卒業し、英語も中国語もネイティブレベル、自他共に認める優秀な新入社員として、鳴り物入りで配属されてきました。

ある日、上司のBさんが彼に会議の設定を依頼します。具体的に、出席メンバーの日程調整、部屋の確保、資料のコピー、プロジェクターの準備、テレビ会議システムの準備のやり方を指示しました。

Aさんは指示通りに順調に進めていました。途中までは・・・。

次の日、次々資料が印刷されてくるコピー機の前で、突然叫んだのです。

「情けない!僕はこんなサル仕事をするために入社してきたんじゃないのに!」

フロア中に響き渡ったその声に、周囲は驚き、会話が止まり、空気が凍り付きました。

「Aくん、ちょっといいか」

声をかけたのは上司のBさんでした。会議室に入っていった二人を見届けるや、フロアが一気にザワつき始めます。

結果、彼は落ち着きを取り戻し、業務に取り組み始めました。それも前よりもいい顔で。翌週の朝礼で、彼は自ら手を上げ、みんなの前で謝りました。

「先日は大変失礼しました。Bさんにお話をいただき、自分の愚かさに気づきました。」

Aさんは、Bさんからこのような話を聞いたそうです。

「確かに今やってもらっているのは、Aくんにとって簡単な仕事かもしれない。でもどうだろう。ただやるよりも、どうやったらもっと早くできるか、ミスなくできるかということを考えながらやったら、ちゃんと得られるものがあるのではないかな。そういうことは、やりこんだ暁にようやく見えてくるものなんだ。まだ君はその境地に達していないだろう?実はあらゆる仕事が、こうすればもっと良くなるというポテンシャルを秘めているんだ。それを見つけるために取り組むのと、ただダラダラと作業をするのでは、得られるものが全く違うということはわかるか?成長するやつとしないやつの違いはこういうところにある。

もう一つ、Aくんがこのままこの仕事をやらずに過ごしても、いつか後輩ができ、部下もできるだろう。つまり君は先輩として、上司としてこの仕事をやる側からやらせる側になる。しかしもし、やらせた相手がうまくできなかったとき、相手がサボっていたからできなかったのか、実力が足りないからできなかったのか、君は判断できるのか?万が一、君が無茶な依頼をしたのにも関わらず、それを責めたのだとしたら、君は上司として、いや人として信頼を失うことになる。そして彼ができるようになるための有益なアドバイスも君はできない。なぜなら若いときにその仕事を嫌がり、経験を積んで来なかったからだ。いいかAくん、この仕事は今しかできないんだ。

君がどれだけ優秀なのか、まだみんな半信半疑だ。まだ信用がないんだ。そんなやつに重要な仕事を任せられるわけがないだろう。ましてや、あんな発言をしてしまったのだから尚更だ。いいか、これからは心を入れ替えて、与えられた仕事はすべて期待通りに、いや期待以上の成果を出し続けろ。そしてそれを誰よりも早く正確にできるように工夫し続けろ。それを続けて信用を築き続けろ。これをちゃんとやれば、すべての結果は後から必ずついて来る。安心しろ、おれが保証する。」

上司Bさんのようになりたいです…。