(2020/01/01)2020年新年のご挨拶(昭和世代に人気の出世まんがというジャンルを科学するという相変わらずの漫画コンテンツ記事です)

謹賀新年

新年あけましておはようございます。

2020年、オリンピックの年であり、こちら葛飾区亀有公園前派出所で言えば、日暮警部が4年に一度登場するという記念の日であります。

こち亀の連載は昭和から平成を駆け抜け、おおむね40年で終了しましたが、オリンピックの年には日暮警部というのは、すでにキーワードになっておりまして、もはや日暮警部>うるう年>オリンピック、という順番の影響度といっても過言ではないでしょう。

さて、このように自由奔放に語る論調で、2020年の今年もやっていきたいと思いますが、唐突に思いましたのは、漫画ジャンルにおいて、「出世」していく「サラリーマン成長記」的なものをテーマにした長編漫画は結構あるのではないかと思い、述べてみることにしました。

なお、「ドラゴンボール」や「巨人の星」、「ダイの大冒険」といった、ひたすら強くなって強大な敵に立ち向かっていく、パワー係数オンリーに振り切ったインフレ漫画、については、個人としての成長イコール戦闘力やHPの増大、に置き換えるという意味では非常にここでいうところの成長もの、に似ている面もあるのですが、ここでは、あくまで人間的な成長の一側面である「出世」にフォーカスして述べてみたいと思います。

検証対象とするタイトルは、2つです。

まず、昭和のサラリーマンのバイブルとまで呼ばれながら、最近ではそのコンプライアンス違反ぶりやセクハラ・パワハラを助長する悪書としての評価もされており、なかなか長期間における一定した地位を保つのは難しいと言われながら、しぶとく「相談役」として2020年1月現在も連載が続いている、「課長島耕作」シリーズです。

課長島耕作シリーズにおそらく強い影響を与えている日本の漫画の古典として、のらくろ二等兵シリーズがありまして、これは戦前の作品でありますが、二等兵から大尉まで昇進していく(戦争の激化により事実上の打ち切り)、ノラ(野良犬・孤児)の黒犬・のらくろ(野良犬黒吉)が、帝国陸軍をモデルにした階級制度を持つ「猛犬聯隊」という犬の軍隊へ入営して、最初は二等卒(二等兵)としてドジなところも見せたが、やがて華々しい活躍によって徐々に階級を上げ、最終的に大尉まで昇進していくという、のらくろの活躍譚は、それこそ当時の少年少女の人気を一身に背負い、のらくろはどこかユーモラスに、軍隊という階級社会のでの戦いに身を投じていったのです。

さて、一気に時代が降りまして筆者も生身で知るこの島耕作シリーズ、初見の課長時代が非常に長いこの作品は、サラリーマンとしての充実期といえば、現場の長として思い切り活躍できる「課長」というポジションに自然と憧れが集まった、そんな昭和の残り香がする時代に生まれたものでありますが、今や課長や部長といっても、部下に対して専権を振るえるわけでもなく、それに引き換え責任を取らされリストラでは一番先に槍玉に挙がる、そうしたどちらかと言えば損な役回りであるといったような「先入観」がもたれるような、そんなポジションとなってしまった部分もあります。

令和2年となりました2020年1月の現在では、職務集団における職位の長、という言い方である課長や部長の代わりに、マネージャーだのシニアマネージャーなどといった、職位というより職能階級を前面に押し出しつつ、その代わりに組織の長といった責任ある地位というより職能であるスタッフ職という呼び方にシフトした言い方になってきているという、時代の風潮にあって、課長や部長といういい方もいささか古くなってきているという面も否めません。

それでも、この課長島耕作シリーズが連綿と続いてきたのは、まさに筆者のような昭和後期生まれで平成30年間を必死にサラリーマンとしてもがいて生き抜いた、そんな世代の世相を同時代的に写すまたとない鏡のようなストーリーであったことからでありまして、部長になり「後輩」ではなく「部下」を本格的に持つ時代となり、そこからは出世階段をさまざまな反対派の策動を潜り抜けることによって駆け上がっていくという人生を描くのが、同時代人的にとても面白かったからであります。

しかしながら、どうも、島耕作が順調に初芝電産で出世していくにしたがって、現実の日本経済の凋落は激しく、平成元年初頭には世界の時価総額のトップにNTTが君臨し、日本の長期信用銀行や都市銀行が軒並みベストテンにランキング入りしていたかつての時代はどこへやら、令和元年においては、世界の時価総額ベストテンは、1980年以降に生まれたGAFAMなどと呼ばれるアメリカのIT企業や中国企業に牛耳られてしまうに至りました。

NTTおよびトヨタ自動車は、ようやく20位から30位に位置する程度となり、日本人の減少が始まり、ついに2019年においては50万人、鳥取県に比肩する人口が消えました。

つまり、これからの5年間で、都合日中戦争から太平洋戦争に至るまでに先人が失った、犠牲者300万人に比肩する人口が、日本から消滅することになるのです。

このように、ここから、長い少子高齢化の下り坂が待っているわけですが、実は世界の方も日本に急速に追いついている、ということをファクトフルネスという本で教えてもらい、少しだけ溜飲が下がったような気もしております。

すなわち、国家や地域の発展形態を、これまでの途上国と先進国、という2つの切り分けから、少なくとも4段階にまで分けて考え、そうして第3段階から第4段階に至るところで、出生率は急速に低下するという「法則」があり、世界中がこの第4段階に至れば、自然と世界人口は100億人に満たずに現象に転じることになるという「統計上の法則」があるのです。

したがって、少子高齢化という世界が必ず近い将来直面する課題にどのように向かい合うのかという点において、日本という実験場での取り組みが先進事例として世界から注目される、そのような時代に必ずなるはずなのです。

そのようなことを考えながら、2020年1月の最初の日を課題解決の初年度と考え直して、静かに穏やかに迎えたいと思います。

それでは、今年もよろしくお願いします。

こちらからの新年のご挨拶は以上です。

(2020年1月1日 水曜日)

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