(2021/03/30)日本の古墳こそ日本人の芸風の原点だと考えた話です

▼日本の古墳文化について今の筆者で理解している範囲で整理しておきます(ご指摘ありましたらいただけますと幸いです。適宜追記訂正します)。西暦250年~350年頃に炭素年代法によって特定された時期に、現在の奈良県橿原市の隣の桜井市にある箸墓古墳という巨大な古墳が突如として登場しました。それまでは、日本列島の各地域に、円墳や方墳といった小規模な墳墓や墳丘はあったものの、このクラスの古墳、しかも前方後円墳(鍵穴型と説明されますけれどそれだと前後ろが逆になってしまいますので、今後鍵穴型とは呼ばずに前方後円墳という言い方に統一します。どうも、電流と電子の流れが全く逆になってしまうように、最初に名付けた人が前方後円墳と名付けてしまったため、後戻りできなくなったのではないかと思いますが、雑談はこのくらいにします)という、特異な形は、日本列島に住まう我々のご先祖(まだ、日本という呼称はない)が人工建造物として制作した最初の巨大モニュメントであったことでしょう。この古墳は、単に土を盛り付けただけではなく、前方墳は4層、後円墳は5層の階段状ピラミッド型であり、この前方の方墳から広報の円墳にかけて、裾野が広がるように傾斜がついており、方墳は三味線のバチのように末広がりに広がる、極めて優美な形をしております。下手な絵を付しておきますがこれでイメージの一つにしてください。

▼なお、この箸墓古墳の被葬者に関する推定は、邪馬台国九州説に立つ筆者らとしては、「卑弥呼以外」というポジショントークにどうしてもなってしまうために、ここではあえて行わない、棚上げにさせていただきます。現在の筆者らの知力では及ばないところですので、ここは今後の楽しみにとっておきたいところです。

▼さて、想像力を発揮して推定すると、この箸墓古墳の方墳部分から円墳部分にかけての緩やかなカーブを占めた部分(広場)に、この箸墓古墳建設に全国から力を貸した諸侯の代表者や技術導入集団の長たちが集って、盛大な催しを行ったのでしょう。円墳の頂上は神の座として、篝火をたいたり、祭祀用の土器(今の岡山県現在の吉備地方から伝わったもののようです)を配置し、祭祀の様式は、おそらく大陸由来の最先端なもの、そして古墳全体を白い葺石で覆って真っ白にするといった技術は、石を産出する出雲など山陰地方や瀬戸内の技術が導入され、さらに、副葬品として巨大な「鏡」を奉納するという文化や芸風は、伊都国と言われた北部九州の文化をそのまま導入している、というふうに、まさに日本列島全域の知識と文化とこだわりの主体性をこの奈良盆地の三輪山のふもとに、箸墓古墳としてぶちこんだ、我々のご先祖様の超・こだわりが見える壮大なモニュメント、作品なのです。大阪万博の太陽の塔のように、それがあってさてどうか、ということだけれども一度見たら忘れない、そのようなモニュメントを作りたい!と日本列島全国のみんな(繰り返しますがまだ日本という概念はない)の思いが結集した作品なのです。

▼西暦250年~350年に完成したと推定されるこの箸墓古墳から約200年後、この「古墳」文化は、仁徳天皇陵(大山古墳、世界遺産)という今の大阪府堺市に今もその威容を誇っているところに至って最盛期に至ります。もともと、昭和生まれの筆者らは問題なく「仁徳天皇陵」で教わってきましたが、最近は、大山古墳(仁徳天皇陵)という言い方になってきていて若干寂しい感じがいたしますが、この威容、我々のご先祖さまたちは、わずか列島に300万人かそこらしかいなかった人員体制の中(今の人口13,000万人との比較で考えてください、驚きの少人数体制です)、われわれのご先祖様たちは、日本列島に、かのエジプトのピラミッドや中国の秦の始皇帝陵よりも「大きい」威容な(異様な)ものを作り上げてしまうという、超こだわり芸風を持つ民族だったのです。

▼このクラスの「役に立たない」ものを伝統芸能として嬉々として自ら知恵と労力と手間を持ち寄って作り上げてしまう原体験を持っている日本人って、それはもう世界が驚くわけです。アッピア街道やローマの水道橋、万里の長城、これらは、一応、騎馬民族の侵入を封じるとか、ローマ帝国のすみずみまで物流網を張り巡らせ、有事の際には戦車も通れる軍事的道路となるとか、都市機能(風呂とか選択とか)に必要な水を供給する水路とか、そういった「実利」に裏打ちされた建造物でそれはそれで美しいですが、この日本の古墳というやつは、それだけでは何にも役に立たないしろものなのです。こんなのが、日本列島所狭しと、見つかっているだけで4700基も、わずか200年間の間でつくられてしまったって、これはもう、驚き以外の何物でもございません。これは、シン・エヴァンゲリオンという最終作品を、最初の公開から26年間待って観て泣いて、何回も観ているけれども公開SNSやTwitterにはネタバレになるようなのには一切触れない、そんな救えない趣味の今の日本人と全く同じ振る舞いなわけであります。こんなの、世界の人たちに分かれと言っても分かるわけ無いでしょう。

▼さらに、そもそも始皇帝陵やピラミッドで投入された人モノカネといったリソースは、強大な権力に裏打ちされた強制力によるものであるわけです。例えば、コロナに打ち勝つ、といっている諸外国の政府が、軍隊や州兵や警察力といった強制力を持って外出禁止や営業禁止を強制するといった塩梅です。しかしながら、日本においては、強制力など全く使わなくても、この同調圧力というか付和雷同というか、もっと積極的に一緒に何かを作り上げることに無常のヨロコビを感じてしまう日本人の原体験、芸風によって、自粛の一言で、市中マスク総略率99.9%を達成してしまう国民性なのです。鉄砲伝来から50年で、世界一の鉄砲生産国になってしまう日本の堺商人とか、開国から50年で、世界一の陸軍国ロシアを、満州の奥地に追い込んで大会戦に勝ってしまう日本陸軍とか、バルチック艦隊を撃滅してしまう日本海軍とか、極めつけは飛行機が開発されてから50年で、遠くハワイの真珠湾に航空母艦に戦闘機爆撃機を満載して遠征し、米国太平洋艦隊を撃滅してしまう日本連合艦隊とか、そういう歴史の節目節目で世界が驚くイカれた変なことをやってのけてしまう、そしてやった自分自身でその凄さにあんまり気づいていない、そんな日本人の原体験の中の原体験、それがこの箸墓古墳に始まる世界史上類をみない、この日本(しつこいですがまだ日本という概念がない)の古墳文化なのであります。

▼そして日本人の熱しやすく冷めやすい芸風の始まりともいえ、ブームが去ると一気にこうした巨大文明は終焉します。古墳の代わりに「神社」「遷宮」といった仕組みを整えた我々のご先祖さまたちは(まだ、日本という名称はなく、倭といわれる地域が日本列島全域を指すのか北部九州のみを指すのかも不明です)、神社というものを今度はボコボコ作り出し、そして全国に登録されているだけでも十万社以上の神社ができまくるといった世の中になっていくのです。さらに大陸、遠くインドから渡ってきた新知識、ニューヨークのフロードウェイからの直輸入といった最新知識体系である「仏教」というものも入ってきて、これまた日本人のお家芸である作り変える力(小林秀雄の名付けた概念)によって自分のものにしてしまい、これまた日本列島全土に、寺や寺院がぼこすかできまくる、ということにつながっていくわけです。

▼この日本人の芸風、というのが本ブログの最大のテーマになりそうで止まらないですが、今日はこのへんにしておきます。またお会いしましょう。

▼(追記)ですので、エヴァ観て泣いている人たち、あなたたちは正しく典型的な、救えない趣味満載の日本人なのです。日本人の最も大切にしているというか萌えるのは、皆が意識と力を結集できる何らかの面白いと思える文化や芸能、これに萌えるのであり、単なる権力とか軍事力とかカネとか力とか、実はそんなのはどうでも良いのです。ですから、日本の会社の社長は給料を増やせというより従業員との報酬格差の方を気にしますし、公という考え方がこんなに刹那的な現世においてもしっかりくっきり残っているというわけです。だって、昔も、やっぱり刹那的な世の中であって、そんな天災人災渦巻く世の中を、いかに好きに生きるか、自分たちの趣味に没頭できるか、そのことのみ突き詰めて生きてきた、我々はそんなご先祖様たちの正しい後継者であるからなのです。今の日本に渦巻いている、あらゆる芸能、あらゆる文化、あらゆる、ものの役に立っているのかどうかわからないものたち、それこそが本当に面白いところであり、日本人のこの芸風は、世界をこれからも驚かせ続けることでしょう。我々がいなくならない限り。

大阪観光局ホームページより仁徳天皇陵(大山古墳)

全長約486m/後円部径約249m/高さ約35.8m/前方部幅約307m/高さ約33.9mの日本最大規模の前方後円墳。『延喜式』は、この古墳を「百舌鳥耳原中陵」(もずのみみはらのなかのみささぎ)と命名し、現在は宮内庁が第16代仁徳天皇の陵墓に治定・管理している。墳丘は3段に築成され、左右のくびれ部に造出し(つくりだし)があり、三重の濠がめぐっているが、現在の外濠は明治時代に掘り直されたもの。明治5年(1872)、前方部で竪穴式石室に収めた長持形石棺が露出し、刀剣・甲冑・ガラス製の壺と皿などが出土した。また、アメリカのボストン美術館には、本古墳出土と伝えられる細線文獣帯鏡や単鳳環頭太刀などが所蔵されているほか、円墳周囲には、「陪塚」(ばいちょう)と呼ばれる、小型古墳10基以上も確認されている。約2.8kmの周遊路が整備されており、一周するには1時間かかる。

大阪観光局ホームページより
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