日本航空新社長

日本航空(JAL)は17日、都内で定例会見を開き、第13代目の新代表取締役社長に鳥取三津子代表取締役専務執行役員(59)が4月1日付で昇格する人事を発表した。日航の社長に女性が就任するのは初。赤坂祐二代表取締役社長(62)は代表取締役会長に就く。  鳥取氏は福岡県出身。日本初の女性閣僚(厚相)として知られる中山マサ氏と縁のある長崎市の活水(かっすい)女子短大を卒業後、1985年に東亜国内航空(のちの日本エアシステム=JAS)に入社し、客室乗務員(CA)としてのキャリアをスタートさせた。1951年の日航設立以来、短大、CA、2002年に日航に経営統合された旧JAS出身者が社長に就任するのも初。日本を代表する航空会社の慣行をいくつも突き破る異例の人事となった。  新社長就任にあたって鳥取氏が強調したのは「安全運航」の重要性。鳥取氏が航空業界に足を踏み入れたのは日航機123便が群馬県の御巣鷹に墜落する事故が起こった1985年。これまで一貫して客室安全推進部長など客室内の安全とサービスを担当してきた経緯もある。この日の会見では「当時を知るものとして安全運航の大切さを継承していく強い責任感を持っています。揺るがない信念として取り組んでいきたい」と決意を口にした。  今月2日には羽田空港で海上保安庁の航空機との事故が発生。「お客さま全員を救出しようという強い使命感があったと思います。もちろん、お客さまのご協力あってのことですが、あの9人(乗員)のことを誇らしく思います」と、乗客・乗員397人が命に別条なく機外へ逃れた奇跡の脱出劇について語った。  周囲を力強く引っ張り、後輩に慕われる「あねご肌」の一面もあるという鳥取新社長。4月からグループ3万6000人の先頭に立つ。  ◇鳥取 三津子(とっとり・みつこ)1964年(昭39)12月31日生まれ、福岡県出身の59歳。長崎・活水女子短大英文科卒。学生時代はバレーボール部に所属。85年東亜国内航空入社。2002年の日航との経営統合後、客室安全推進部長、執行役員客室本部長などを経て23年6月に現在の代表取締役専務執行役員、グループCCO(最高顧客責任者)に就任。女性の代表取締役就任は2人目だった。