(2021/02/08)墨家(ぼっか)という奇跡の集団がいた

墨攻という書物があります。
初見は筆者の高校時代ですから、はるか30年ほど前になりますが、短編ながら非常に迫ってくる筆致で非常に印象に残っています。
立ち読みで読んでしまいながら、それでも買い求めた稀有な本です。
紀元前370年、中国粱城を守るべく、一人の墨家の輩が派遣されました。
これぞ本書の主人公にして伝説上の人物、革離です。
墨家は、兼愛すなわちあまねく愛と平和を貫くために、自らは攻めずにひたすら防御に徹する、専守防衛の守城法を考案し実践しました。
また、民生の技術に優れていました。
革離はなんと10万の敵に4千人の住民の結束で守り通します。具体的には、どのようにそれを可能にしたのか未だに詳細には分かっていません。
しかしながら、そんな歴史に強烈な光を放った墨家は、その後突如として、中国の歴史から掻き消えます。
どこに去って行ったのでしょうか。
しかしながら、兼愛非攻の、その思想を自ら体現し、かつ民生に優れた手先の器用な民族が、後になって出現することは誰もが知っています。
兼愛非攻、墨家のお話でした。