新電力事業の着地予想(株式会社ホープ)

大幅債務超過に陥り取引先への電力供給義務を放棄

新電力事業の騎手として華々しく東証マザーズ市場を飾った、株式会社ホープ。

一時期株価は7,000円、時価総額1,000億円も一瞬見えていました。

ただ、今の株価は130円程度。時価総額は13億円程度です。

そのジェットコースター的な事業の成り行きの主人公である、同社子会社のホープエナジーが、一部契約者に電力供給停止を通知したとのことです。

ホープ(福岡市)は、中央区薬院に入居している自治体向けサービス事業会社です。

東証マザーズ上場の(株)ホープ(東京商工リサーチ、TSR企業コード:872231720、福岡市中央区)の子会社で、新電力事業を手掛ける(株)ホープエナジー(TSR企業コード:137083300、福岡市中央区)は3月14日、一部(4割と言われる)の電力小売契約者(需要家、地方公共団体が多い)宛てに、「弊社からの電力供給停止のお知らせ」を通知しました。

通知によると、2022年3月15日24時をもってホープエナジーからの需要家に対する電力供給が停止となります。

需要家は電気が使えなくなるわけではないですが、2022年3月16日以降、事実上、他の電力会社と新たに契約を締結するか、一般送電事業者へ最終保障供給を申し込む必要があります。

新たな契約が完了次第、2022年3月16日に遡って切替先が電力を供給したことになるとのことです。

ホープエナジーをとりまく事業環境は非常に厳しく、昨今の電力取引価格の高騰などで、100円で仕入れた電気を15円で販売するといった状況に陥っており、厳しい事業環境が続いています。

今回、ホープエナジーに帰する理由によって、2022年3月11日付で一般送配電事業者の中部電力パワーグリッド(株)(TSR企業コード:130943827、名古屋市東区、以下中部電力PG)から託送供給契約にかかる解除通知を受け、電力供給を停止せざるを得ない状況となったと同社では連絡していますが、これは、原価が高すぎてお約束の電力単価での供給は諦めました、申し訳ございません、ということなのでしょう。

なお、ホープエナジーは東京商工リサーチ(TSR)の取材に対して、「電力供給停止の対象は中部電力PGの管轄内の需要家向けに限られている。供給停止に至った背景などについては追って連絡する」とコメントしているようです。

さて一方、中部電力PGはTSRの取材に対し、「正確にはホープエナジーとの契約は解約されていない。11日に現状の改善を申し入れ、改善されない場合は解約もあり得ると通知した」と話したとのことであり、その上で、「事実関係に基づかないお知らせに困惑している。現在、(中部電力PGに)多くの問い合わせが寄せられているが、順次回答している」といいます。これは、あくまで電力供給者と需要家をつなぐだけのブローカー的役割の同社に対していわれなき中傷であるので、需要家のみなさんは控えていただきたいと考えます。怒る相手は、あくまでホープエナジーです。

ホープエナジーは2021年12月にグループの持株会社体制への移行に伴い、電力小売部門を承継して設立されました。

新電力事業分野をめぐっては、2021年1月以降、電力調達価格の高騰によって多額のインバランス料金の支払いなどを抱える企業が続出しており、ホープに関しても2021年12月に、同年1月分の不足インバランス料金(約65億円、9分割支払い)の支払いがを完了したことを公表していました。

ところが2021年10月以降、日本電力取引所(JEPX)での調達価格が想定以上に高値推移したことで逆ざやによりさらに赤字が拡大しました。2022年6月期第2四半期決算(連結)で、80億4700万円の債務超過に陥ったうえ、2022年1月末返済予定の借入金の返済が遅延していることを発表しました。また、同決算でホープエナジーのエネルギー事業の約58億円の債務を2022年3月中旬以降、期日通りの全額弁済ができない可能性があるとしています。

これからどうなるか

さて、ここからですが、上場している親会社ホープは当該債務についての保証は行っていないということですので、これからのストーリーを考えてみます。

決算期変更ほかもろもろの会社再編の決議事項があるということで行われる2022年3月24日の臨時株主総会まで静観すべきなのかもしれませんが、同社については創業後まもなく以来ずっと注目してきておりますので、あくまで個人的な意見としてお読みください。

持株会社として、エナジー部門を分社化したのは、毎日お金が溶けていく(100円で仕入れて15円で売っていてはそれは儲からない)エナジーを切り離して知らぬ存ぜぬをしようとしたこともあるかと思います。

努力は続けました、と言っても結果的には取引先の多くに(4割と思われる)、これ以上電力は提供できません、とバンザイ降伏しているわけで、それはそれで仕方ないことではあります。

新電力もですが、今、国は地産地消、レジリエンス向上、SDGsなど、てきとうな概念を謳い文句に、地域新電力やマイクログリッド等、そもそも事業性収益性に問題があり、地域経済循環(雇用とか消費とか)にもたいして貢献しないことがわかってきたクソ事業らについて、依然として国民の血税をもとにした巨額の補助金によって無理やり推進しているようです。

自走できない、いつまでも補助金頼みの業界の先は、広告塔によるイメージ維持しかありません。

小泉親子もこの手にひっかかったのではないかと思っていますが、これは別の話です。

つまり、一度振り上げた拳はなかなか下ろせないのです。

日本の地域や地方はこういった中央官僚のきれいであざやかで、その実なんの中身もないその謳い文句と、何よりも書類をうまく書いたらもらえちゃう補助金につられて蜘蛛の糸や落ちる梯子を次々と昇っています。

まったく、本当に10年後20年後の電気事業が心配です。

旧電力もその頃には体力を消耗し助け舟を出してはくれないでしょう。

ここで、黒部ダムを尊い人命を犠牲に作り上げ、関西産業界を救った関西電力のお話を見てください。

黒部ダム(間さんの思い出)

黒四ダム殉職者慰霊碑(黒部ダム公式ページより) 間さんが話してくれた黒部ダム(黒四ダム)を臨むお話 おはようございます。2019年1月の大学の先輩を偲ぶ配信記事です。…

やはり、電力事業者を標榜するなら、むりやり営業して入札して低い価格で顧客に電力供給契約を結び、その実肝心の電力はマーケットからてきとうに調達してくる中抜き事業者の烙印を押される小売業者ではなくて、自前で電気を生産して、自力で送電線網を整備して届ける、地域インフラ企業としての矜持が必要ではないかということです。

確かにここまで、電気の卸売り価格が高騰するというのは想定外だったとは思いますが、そもそも、商品先物や金融先物取引において、価格は決まっていて仕入れ値が青天井、というのは、「オプションの売り」と言われ単体の企業が負うものではないというのが業界の常識です。

元々小売業者が自社グループ内で安定供給出来るだけの発電設備を保有や確保をしていない時点で、大きなリスクがありました。

電力小売自由化になった時、事業参入への障壁を低くし過ぎたからだと言われても仕方が無いです。

重要なインフラ中のインフラの電力業界において、電源も持たない中抜き転売屋を生きながらえさせるために多大なリソースが投下されています。

旧一般電気事業者は原発を止められた上に、電力卸市場に対して強制的に原価レベルで電気を供出させられ、火力発電を叩かれ、需給逼迫時には国から「なんとかしろ!」と怒られています。

こんな状況では、国が滅びてしまいます。

電力は旧来の電力会社でよくないかということです。

もちろん、東電のように原発事故を起こしてしまうのもありますので、ある程度の新電力といった新規参入も必要ですが、ほとんどの新電力会社は自前の電源を持たず、それでいて旧来の電力会社を新電力に変えさせておいて送電停止はないなと思うわけです。

さてホープですが、持株会社化で切り離したホープエナジーにつづいて、祖業の自治体向け広告(ジチタイアド)事業についても子会社化しているところが、この再編の肝だと思っています。

つまり、自治体広告の次年度入札に影響が出ないように、ジチタイアドを親会社とホープエナジーから切り離したかったのではないかと思うのです。

そして、この子会社のジチタイアドでも、自治体向けの広告入札ちゃんと取れた、しかも気象庁(国)だよという今回のIRなのかと思います。

つまり、こんな状況でも、国や地方公共団体は、別事業で別広告の事案なんで、他の入札も含めて取れちゃう、というところなのです。

単に、ホープエナジー事業の債務免除の話だけなら分社化する必要はたぶんないですし、もっと早く、債務超過がここまで進む前に、切り替えるべきだったと思います。

でもそうすると、ジチタイアドの地方自治体向けの広告入札に影響が出て、次年度広告事業もマイナスになる可能性もある。

だから令和3年度に入札でとった電気契約は、毎日赤字を垂れ流そうが、できるだけ事業継続して回そうとしたのではないでしょうか。

ムービングストライク型の新株発行により、株価を急落させ、既存の株主さんをどんどん犠牲にしながら、どうにかこうにか6割の自治体には電気供給ができてきました。

しかし、残念ながら低単価すぎる4割の自治体向け電力供給は、これ以上勘弁願いたい、ということなのでしょう。

結果、グループ債務は200億円に膨らみました。

続けます。

もしかしたら今年は前のように電気うまくいくかもという下心もあった。

なので、途中経過の定点観測ブログ書いてみた。

これが、ワンチャン全部うまくいくかもというプランA。

でもそれが無理そうだとなったので、上場維持だけを目標に、債務をどうにかできないか試みるというプランBへ移行。

さすがに、「子会社の責任で、親会社は関係ありません」とは言わないと思いたいですが、それもダメだったら、アドとワークスを売却して、広告事業と社員は守るプランCみたいなことを経営陣は考えてるのかなと思います。

ここで最後に、ホープ株主のことはほぼ、1ミリたりとも考えていないように見えるのが、辛いところであります。

それでも、地べたを這っても泥をすすっても、同社には頑張って欲しいです。

以上

明けない夜はない(追記あり)

株式会社ホープに投資しました 株式会社ホープ(証券番号6195)という、東証マザーズ上場銘柄の会社があります。 福岡市中央区に本社を持つ、自治体広告及び電力流通会社…

追記2 株主だけが損をしているとは

電力転売ヤーでしかなかったホープエナジーは
居なくなっても誰も困りませんが
振り返って纏めてみると
もしもJEPXとホープが無ければ
日本全国の自治体は
発電 12円 + 送電 5円=17円
くらいの電気代を支払ってたとしますと、
この、転売ヤーがいたおかげで利益を得た人がこれだけいます。

①入札最安値のホープから15円で電気を買って
 自治体は電力費用を抑えた
②JEPXは高騰したが発電費用がそこまで
 高騰したわけではないので
 発電会社は 12円のものを200円で売ることができて
 ぼろ儲けした
③マッコーリーはワラント発行で株価が何分の一になってもかまわず10%抜いた
④今回 債務不履行となっても そもそも
 原価と比較してぼろ儲けJEPX価格なので
 原価分が貰えれば 発電会社もたいした損はないです
⑤ホープ役員報酬はちゃんと貰ってる
⑥いろいろいい経験ができた(ホープエナジー責任者のK田さんも)
とすると
損したのは
⑦株価下落による株主だけ…

となります。

以上