(2019/04/30)米国発シェアオフィス最大手のWeWorkが米国証券取引委員会(SEC)に上場申請を非公式に打診

おはようございます。

2019年4月の平成最後のビルメン王(@shinya_ueda)提供のブログ配信記事です。

記事の内容に先立ち、平成の30年間あまり、常に国民と共にあり、心を寄せられた、日本国の象徴であり日本国民統合の象徴たる天皇陛下、皇后両陛下におかれましては、本当にありがとうございましたと国民の1人として御礼申し上げます。

天皇陛下 最後のおことば 全文
2019年4月30日 17時10分
今日(こんにち)をもち、天皇としての務めを終えることになりました。
ただ今、国民を代表して、安倍内閣総理大臣の述べられた言葉に、深く謝意を表します。
即位から三十年、これまでの天皇としての務めを、国民への深い信頼と敬愛をもって行い得たことは、幸せなことでした。象徴としての私を受け入れ、支えてくれた国民に、心から感謝します。
明日(あす)から始まる新しい令和の時代が、平和で実り多くあることを、皇后と共に心から願い、ここに我が国と世界の人々の安寧と幸せを祈ります。

さて、海の向こうの米国にて、WeWorkブランドでシェアオフィスを全世界で運営するThe We Companyは、米国証券取引委員会(SEC)に上場申請書を非公開で提出したと同社プレスリリースで発表しました。

2019年の米国新規上場企業においては、配車アプリサービスの米国2位のLIFT(リフト、上場時時価総額200億米ドル)、および世界最大手のUBER(ウーバー)が、現在上場を控えて機関投資家へのロードショーと呼ばれる説明会に回っているタイミングですが、こちらの上場時の時価総額は1,000億米ドル程度が見込まれ、なんと新規上場した瞬間、10兆円企業が誕生し、日本でこれ以上の時価総額の企業は、トヨタ自動車ただ1社のみ、同程度の時価総額の企業にソフトバンクグループやNTTといった企業に並ぶという状況に、アメリカの資本市場、証券市場のダイナミズムを感じます。

WeWorkは、2019年1月までに、株式と借り入れを併用して、470億米ドルの会社評価額で累計総額84億米ドルもの巨額の資金を調達してきています。

ユニコーン(10億米ドル企業)を多数生んでいるテクノロジー業界でもAdam Neumann氏とMiguel McKelvey氏によって2010年に創立されたWeWorkは、100億米ドル級という飛び抜けた評価額で市場を席巻しています。

そして、このWeWorkへの大口の投資家は日本のソフトバンクグループが設立して運営しているソフトバンク・ビジョン・ファンドで、2018年11月には30億米ドルという巨額の出資を受けました。

さらに進んで、ソフトバンクグループは、同社株式の過半数の取得を目指したようですが、それは最後の瞬間に見送ったようです。

この見送った判断の一番の理由となったであろうこと、それこそが同社の収益性であり、報道された数字を簡単に列挙しますと、

2017年の収入は8億8600万米ドル、純損失は9億3300万米ドル
2018年の収入18億2000万米ドル、純損失は19億米ドル

という、天文学的数字となっています。

つまり、ざっくり書くと、年間の収入が2,000億円で、費用が4,000億円、損失が2,000億円という一年間の損益計算書の数字ということになります。

こんな財務上情報では、株式上場時に新しい投資家が魅力を感じて株式を買ってくれそうな感じは、少なくとも筆者のような零細小心投資家にはありません。

しかも、2018年のWeWorkの入居率は90%であり、登録メンバー数も116%アップして40万1000社となっているというのです。

これだけ、入居率が上がっているのに、収益構造にほぼ変化がなく、売上を上げるために2倍の費用がかかるという事業構造ということなのです。

「WeWork」はシリコンバレーのITジャイアントのような、テクノロジー企業ではなくて、建物サブリース契約上で会員を獲得して運営するシェアオフィス事業、すなわち不動産賃貸業をその本質としています。

残念ながら、シリコンバレー界隈のスタートアップ企業の価値が、実態を乖離して異常な高値で、すなわちインフレ評価されている典型、として取り上げるメディアも多くなってきました。

WeWorkは上場できるのか、その前に事業を継続し続けることができるのか、新時代令和におけるIPO界隈の最注目のポイントだと思っています。

薄口零細投資家の筆者からのコメントは以上です。

(2019年4月30日 火曜日)

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2016年10月に「シェアオフィス」というトレンドについて熱く語ってみるという記事です