Freee炎上
やっぱりマネーフォワード使ってて良かったー
クラウド会計ソフトでトップシェアを誇るベンチャー・freee(フリー)に、不信が募っている。2カ月もの間、システム上のミスが放置状態で、オンライン(e-Tax)で可能とされていた一部機能が使用できない状態になっていたのだ。2022年12月上旬には、ツイッターで不具合を指摘した投稿にリアクションが相次ぎ、ユーザーや税理士の不満が噴出する炎上状態に陥った。
freeeは、「スモールビジネスを、世界の主役に。」をミッションに掲げ、中小企業や個人事業主を主な対象として、経理や税務申告、人事労務など企業の間接業務をクラウド上で処理するアプリを提供している。グループ全体の有料ユーザー数は30万を超えるといいい、2019年には東証マザーズ市場に上場、現在もグロース市場に上場している。
twitterに投稿されたfreeeのお詫びメール
今回問題となったのは、法人税の申告書作成をクラウドで処理できる機能「freee申告」。法人税の確定申告に必要となる大量の書類を、freeeで処理した決算書から転記して簡単に作成できるというものだ。
法人税の申告では、税務で収益として扱われる「益金」から、同じく費用として扱われる「損金」を差し引いて、法人税の課税対象となる「所得」を計算する。益金や損金は、決算書上の収益や損失とは微妙に異なり、これらを計算するために、国税庁が定めた書式の「別表」を数多く作成しなければならない。freee申告を使えば、データから別表を作成して提出まで行えることがウリだ。別表の種類によっては、電子申告専用のデータ形式での提出が義務付けられており、PDFなどのイメージデータで提出しても受理されないことになっている。
ところがfreee申告上では、22年9月20日から11月29日まで、「別表十(七)」について、専用データでの電子申告が義務付けられているにもかかわらず、イメージデータ(PDF)でもエラーとならず「提出できる」状態になっていた。この期間にイメージデータで提出していた場合、税務署側で受理されていない可能性があったという。
freeeは取材に「e-Taxの指定とは異なる提出方法を誤って案内していた。9月20日の受付開始を認知することができていなかったため、以前の手続き方法に基づいて案内していた」とした上で、「11月28日に外部からの問い合わせにより本件を認識し、サービス画面上に案内の不備をお知らせするとともに、システム設定変更を直ちに実施し、11月29日午後4時に対応を完了した」という。
問題の「別表十(七)」は、「特定の基金に対する負担金等の損金算入に関する明細書」という名目。例えば、中小企業が保険として加入する「経営セーフティ共済」の掛金をこの別表に記載することで、掛金が損金として扱われて企業は節税できる。freee申告で提出しても受理されていないのなら、節税できないことになる。
freee社によると、該当するユーザー数は181事業所で、「11月29日にメールにてお知らせし、税務署に申告書類が受理されているかの確認をお願いした」「複数の対象ユーザーに確認したが、申告書が受理されていないケースは今のところ稀で、受理されない場合にも郵送等による再提出をすることで受け付けるとされているようだ」「本来、正確を期すべきサービスで、ユーザーに手間を掛けてしまい申し訳ない」としている。
炎上の背景には、freee申告というサービス自体に不満が募っていたことがあるようだ。freeeユーザーは、企業自身が申告書を作成するのだが、間違っている場合があるという。その後に税務調査があれば、税理士に対応を依頼することになり、作成作業のやり直しも発生しかねず、税理士の評判はよろしくない。
独自の社内ワードが印字されているミネラルウォーター
freeeは22年8月、本社オフィスを五反田から大崎のビルに移転して業容を拡大した。内装にはfreeeの社名ロゴを施し、オフィス内には会計の歴史に関わる物品の展示ブースを設け、Tシャツなどの自社グッズも販売。社外にも配布しているミネラルウォーターには、「マジ価値2原則」「ジブンゴーストバスター」など、独自の社内ワードが印字されている。2023年6月期第1四半期には、この移転関連費用として1億1800万円の特別損失を計上した。