日本独自に発展した重層的な統治機構のあり方を勝手に議論してみます
おはようございます。
2017年2月のビルメン王@shinya_ueda提供の地方自治制度に関するブログ配信記事です。
日本の統治構造は、中央集権といいながら平安時代以降の封建制度が多分に残っているものだと常々感じています。
封建制度とは同じ土地に利害を持つ機構がたくさんあるというもので、流通制度にしても許認可制度にしても、国なのか県なのか市町村なのかよくわからない重層構造であるというところにその名残が残っているのです。
そもそも現行の日本国憲法には、地方自治という一章がわざわざ設けられていて、地方自治は基本的人権に類する重要な権利であると謳っており、都道府県レベルの地方自治と市町村レベルの地方自治という二重地方自治は憲法の予定する理想の姿とすらなっています。
実際、日本国憲法第九十三条には、「地方公共団体には、法律の定めるところにより、その議事機関として議会を設置する」「地方公共団体の長、その議会の議員及び法律の定めるその他の吏員は、その地方公共団体の住民が、直接これを選挙する」
とわざわざ記載されています。
国も合わせれば三重行政です。
したがってその機構を運営する公務員機構、議員機構もどんどん肥大化します。
「大蛇市」という架空の政令指定都市で考えてみる
例えば、架空の政令指定都市である大蛇市というのを例にしますと、まずいちばん身近な存在として大蛇市議会議員、というのがいます。
これは、だいたい選挙のときに1万票の有権者の有効票をもらえれば立派に当選できます。
それで300万人の大蛇市の代表というわけですね。
しかし大きなことは市議会だけでは決められません。
大蛇府議会議員、というのもいまして、これはだいたい選挙のときに3万票の有権者の有効票をもらえれば当選できるたぐいのものです。
それで900万人の大蛇府の代表というわけですね。
国会議員は10万票必要(衆議院議員の場合)
しかし、国家レベルの事業になると、国の認可事業でありそもそも予算をつけるかどうかが国会審議にかかりますから、とりあえず衆議院議員を出すことになると、大蛇府はたくさんの選挙区がありますが、とりあえず第何区というレベルで10万票の票が必要となります。
こうして市議会、府議会(県議会)、国会(衆議院)という格付けにそって、議員誕生は概ね票の数で決まるのですが、同じ区域にこうした3重の権力構造があることが実務をややこしくしているのです。
筆者としては、コスト削減のためとりあえず、まずは中抜きとして府議会と市議会は統合してしまってもいいのではないかというのが議論がなされている大蛇都構想の要点だと思います。
そうなれば府知事と市長を同じ地方政党のトップとナンバーツーである代表と幹事長でたらい回しにするようなことも必要なくなり、政令指定都市という都道府県と同格なのだが責任範囲は市内に止まるといった中途半端な制度維持の必要もなくなります。
政令指定都市になるための運動というのも変ですし、そもそも国民レベルでどの市が政令市かなどというのは当事者しか興味のないことでしょう。
政令指定都市に生まれ、同じ県の別の政令指定都市に住まう筆者からは以上です。
(平成29年2月20日 月曜日)
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