ソフトバンクの後継者探しは難航中

ソフトバンクグループ(SBG)は2022年1月28日、海外事業を統括するマルセロ・クラウレ副社長兼最高執行責任者(COO)(51)が退社したと発表しました。詳しい理由は明らかにしていませんが、明らかにしたくない大人の事情があったのでしょう。欧米メディアは、報酬や権限で孫正義会長兼社長と対立したとの見方を報じています。

欧米メディアによると、クラウレ氏は孫氏に対し、報酬の増額や自らが率いる中南米向け投資ファンドの独立を求めたが、折り合いがつかなかったという。また、数十億ドルもの報酬の増額を求めたともありますが、真実のほどはわかりません。とにかく、SBGの有価証券報告書での、クラウレ氏の2020年度の報酬額は17億9500万円でした。

クラウレ氏は南米ボリビア出身。米国で起業した携帯電話販売会社を2014年にSBGに売却して、グループの一員になりました。同じ年にSBGが経営再建を進めていた当時傘下の米携帯大手スプリント(現TモバイルUS)の最高経営責任者(CEO)に就任し、業績を改善させた手腕が評価され、2018年からSBGの副社長兼COOを務めていた人物です。

これで、SBGでは、クラウレ氏を含む3人の副社長が、孫氏の後継者候補としていた時期がありましたが、ゴールドマン・サックス証券幹部などを歴任した佐護勝紀氏(54)が、昨年3月に去り、今回のクラウレ氏の退社により、副社長は主力事業の新興企業向け投資ファンドを担当するラジーブ・ミスラ氏(60)だけになりました。

現在64歳の孫氏。後継者探しを「最重要テーマ」として掲げてきました。かつて、2014年に米グーグル幹部だったニケシュ・アローラ氏の招聘(しょうへい)し、後継者と公言したものの、このアローラ氏はわずか2年後の2016年に退任しました。こうした事情から、孫氏は昨年、国内メディアのインタビューで「70歳でも80歳でも衰えなければ続けたい」と述べ、当面は経営のかじ取りを担う意欲も示しています。

後継者に指名するかもよ、って言って、候補者同士のライバル意識を掻き立て、懸命に仕事させて業績を伸ばすけど、いつになっても誰も後継者に指名されないので、皆、業を煮やして去る。そして、孫さんはいつまでも君臨する。実は、株主にとっては、それが一番いいのです。そのうち、孫正義の振る舞いをする人工知能に経営させるという夢のプランが実現するかもしれません。パルパティーンかよ。

そもそも、有能な人間を外部から招聘している時点で、その人たちは、SBGという企業自体にはそれ程愛着はないわけです。結局経営手腕なり先見の明があるようなおめがねにかなうレベルの人物ほど、もらった金を元に独立したいのが本音なんじゃないでしょうか。雇われはつまんないものです。

また、SBGのみかん箱時代を知っているような、企業で育った生え抜き人材は、企業に愛着があっても強烈な創業者の能力には遠く及ばないのも同じです。

そういうわけで、だいたいこのパターンなので後継者を選ぶというのはとても難しいのです。

さらに、孫さんが欲しがっている人材は、今のソフトバンクを圧倒的に凌駕する将来の発展を成し遂げる稀有な人材です。でもそんな人は、いたとしても、ソフトバンクの社長というポストには興味を惹かれません。

孫さんの思うソフトバンクのCEO(最高経営責任者)の価値と、世界の超・優秀人材が見るソフトバンクCEOの価値との間には、大きな大きな断絶というかミスマッチというか、その、違いがあるのです。

ということで、孫さんが業務遂行出来なくなるまで、さらに死んでも決まらないのではないかと思います。

鎌倉殿の13人のように、血で血を洗う、権力闘争の始まりを、予感させます。

同じ話は、山口県のファーストリテイリングという衣料品会社などにも言えるでしょう。

適度にナンバー2としてお追従を言ってうまいこと報酬を得て、何か理由をつけててきとうなところで降りるのが得策と考えております、非・優秀人材の筆者からのコメントは以上です。