国際ロータリー記念公演
お金は社会からの借り物
製氷機世界シェアNo.1。
ホシザキ 坂本会長の講演から人生の要諦を学ぶ
日時:10月28日(土) 15:00~16:30
会場:福岡縣護国神社 参集殿
参加費:無料
定員:200名
恩返しする心を父親から学ぶ
父は旧制中学を卒業しましたが、実家が農家だったので進学できない状況でした。しかし、ある篤志家が現れ、その人の支援で神戸工業高等学校に進むことができたんです。それが(父が創業した)今のホシザキ株式会社につながっています。
父は社会奉仕に力を入れていました。会社と自分の資産を合わせて、特に地域社会のためにいろいろやっていました。父は公益財団法人ホシザキグリーン財団という環境保全団体を作りましたが、これは島根県で設立した財団です。工場がある島根県では、今も地域に貢献しています。父はその後、故郷に奨学会を作り、延べ120人を支援しました。
そんな父の影響を受けて、今度は私が社会へのお返しをする番だと思い、ロータリーに限らず、いろんなボランティアに関係するようになりました。国内では特に奨学金制度を作り、米山記念奨学会を支援しています。今では寄付を目的とした二つの団体をつくり、年間220人の奨学生をお世話するほどになりました。一つは、私たち夫婦のホシザキ株を全部入れてつくった「坂本ドネイション・ファウンデーション」で、株の4分の1を米山記念奨学会に寄付しました。もう一つは昨年8月に設立した「一般財団法人 ホシザキ新星財団」で、半分は奨学金に、残りの半分はほかの奉仕活動に充てています。
財産は「社会からの借りもの」
私は戦中・戦後を経験した人間なので、金銭面では食べていければ十分、余分なものはいらないと考えています。お金やモノへの執着はありません。でも、会社は世界一にしたい、業界でナンバーワンになりたい、という願望はあります。おかげさまで実際にそうなりつつあります。
ホシザキも発展し、上場もできました。そんな中、昔から「財産は社会からの借りもの」と感じていた私は、子どもや妻には相続させずに、すべて社会にお返しする、という考えでいます。
支援の機会を与えられて
以前、米山記念奨学会にホシザキ株を寄付しようと思いましたが、現金以外は受け取れないという定款がありました。そこで、5年かけて野村証券の助けを借りて仕組みを考え、一昨年、日本で初めて優先株を寄付する仕組みをつくりました。当時の時価1500億円くらいの株を寄付し、その配当で米山記念奨学金をうるおしていただいています。
なぜこれほど米山記念奨学金を支援するかというと、日本は少子高齢化と借金大国で、今後国としてますます貧しくなると思っており、国際的な力も衰えてくると考えています。そういうときに、日本をよく知っている人、支援してくれる人を育てていかないと、将来日本は国際的にも存在感がなくなると考えているからです。
ロータリー財団はあまり身近に感じていなかったのですが、私の昔からの友人で、心から尊敬、信頼するロータリアンである小澤さんからロータリー財団への寄付を勧められて、1回目の寄付をしました。その時の寄付は、海外での奉仕活動のために使うという条件で行いました。そしてまた昨年、その友人からアフリカでの平和センター設立への支援を勧められたので、喜んで話に乗りました。
マケレレ大学についてよく知っていたわけではありませんし、特にアフリカだから支援した、ということでもありません。良いことをする機会を与えてもらい、ただお役に立てれば幸い、喜んでいただければよいという気持ちしか、正直ありませんでした。アーチ・クランフが作った財団への最初の寄付も、目的は何であれ、「よいことのために」と寄せられたものではなかったでしょうか。
日本の寄付文化を育てたい
日本人は寄付する力があり、寄付する気はあるけれど、目立つことをすると売名行為にとられたり、変な見方をされるのを嫌います。実際に、寄付をした人をそういう目で見る傾向があります。「陰徳」が美徳とされ、私も以前は寄付しても名前は絶対出さないと心がけていました。しかし今は、むしろ堂々と寄付しています。日本でも「寄付する文化」を築きたいという思いで、寄付を売名行為だと言われても気にせずに、名前を出すことに躊躇しなくなったのです。だから、皆さんも恐れずにどんどん寄付しましょう、と仲間には呼びかけています。