ウクライナ情勢解説(私見)

ロシアがウクライナの内部の州でありながら、ロシア系が多くて半独立の状態にあるドネツクとルガンスクを、国として独立したことを一方的に承認した。

アメリカはこれに対して制裁を科したが、「両地域への投資を禁じる」という緩いものに止まった。

とりあえず、ここまでは筋書きのある舞台づくりです。前説みたいなものです。

ここで、日本のメディアは全て頼りにならないので、米国や欧州の記事を原文で読むのがいいです。

そして、ウォールストリート・ジャーナルが面白い記事を出しています。中国は本心ではロシア側につきたくないという内容だ。

理由は、やっぱりお金かよ、というところでして、アメリカの経済制裁に巻き込まれたら中国は経済的な大きな打撃を被るから。

中国がロシアに目配せしても、実は何のメリットもない。

だから、プーチン大統領は北京五輪前におこなわれた中ロ首脳会談で、「台湾併合には口を出しません」と約束して、楔を打ち込んでおいた。

そんな中国とロシアのタコ踊りの前で、台湾は攻められ北朝鮮には好き放題にされている、そんな損な役回りに陥っている我が国日本。

鬼滅の刃とか呪術廻戦の映画が~とか言っている場合ではないわけです。

ですが、そんな風雲急を告げる国際情勢の中で、ひたすら太平の世の中を貪り化政文化に浸っていたのが我が国ですし、一度軍事大国化したら、刀剣乱舞もびっくりの戦国時代を経て、世界一の鉄砲保有国になったりするのが日本という国のトレンドなので、世界はそんな我々を、できればそっとしておきたい、というのが世界のエリートたちによる、掛け値なしの日本評となります。

さて、ひたすら基本はお人好しの日本、これまで、ウクライナのためにひたすら損をしています。

2014年のクリミア併合のときは、G7で「ウクライナの経済復興を支援しよう」ということで、安倍首相は1500億円もの経済支援を約束しました。

これで、激おこしたプーチン大統領は、それまで順調にいっているように見せていた北方領土交渉も一方的に打ち切りにしました。

さて、ウクライナとロシア、昔はソ連で一緒だったので、これはどこまでいっても実は国内問題です。

竹島を韓国が領有権を主張している、程度のちまい話です。

もともとこの対立は、ウクライナがパイプラインのガスを抜いていたというところから始まっています。

ロシアはウクライナ経由でパイプラインを西側諸国に引いて、その売却代金を受け取るとともに、原油やガスを通常よりかなり安い値段でウクライナに売ることで、実質的な援助としていた、いわば持ちつ持たれつです。

ところが、ウクライナに裏切られたと思ったプーチン大統領が、ウクライナを迂回してパイプラインを引き始めた。だから、ウクライナは原発を大量に作り始めました。

つまり、発端はエネルギー戦争である。そして、ウクライナの原発はソ連の技術で作られています。

繰り返すがソ連の技術であり、ロシアではないのです。

チェルノブイリ原発事故は、ウクライナで起こっています。その原発は、ソ連が作ってウクライナで稼働させたのです。

さて中国です。

中国としては、自国の少数民族が暴れているので隣の国が勝手に国認定した上で攻めてくるって、自国のことを考えたら恐ろしくてたまりません。

当社は当社の意見として、ソ連崩壊と同じような課程をたどり、中華人民共和国という人工国家も、中国共産党の崩壊と一緒に近く起こると考えておりますが、その動きが起こったときに今の中華人民共和国の支配領域にどれだけの国家が乱立するか知りませんが(楽しみにしていますが)、そのようなことを人民が夢想することを極度に恐れています。

すでにウクライナ問題の深層に中ロ対立があることは明白で、それに加えて、先のWSJが言及するように、中国はアメリカの本格的な経済制裁=ドル決済からはじかれることを本気で恐れているのです。

アメリカの経済制裁を喰らえば、人口減に悩む中国経済はすでに危ういです。

ですので、今の段階では、本当はロシアという民族国家とは絶対に組みたくないのです。

もちろん、ロシアだって本音は中国(中華人民共和国)となんか組みたくないです。70年間でやらかしまくった旧ソ連そのままの独裁体制を彷彿とさせる中国などと、仲良くしたいなどとは思わない。

ですが、外から見たら、このロシアと中国、国際社会ではただの成金で乱暴者の赤ジャイアンと、貧乏で喧嘩だけ強い青ジャイアンに過ぎず、クラスから孤立して仕方なく組んでいるふりをしている状態なのです。

そこで、今日本が、「私たちがウクライナを放っておいたら、中国に誤ったメッセージを送って、台湾がの風前の灯火」みたいに言う人が多くなっているのですが、これはお人好しもすぎるというやつで、そんなこと、もともと中国の圧力で香港は圧殺されたし台湾も風前の灯火なのは別にウクライナがどうこうということとは関係のないことです。

ウクライナのクリミアを強奪する国と、それと同程度の中国に対して、いまさらとやかく言うこともないのです。

そして、その日本にとって、非常に厄介な中国と北朝鮮という国に対して、陰日向から歴史的にずっと軍事的経済的支援をしてきた国は、実はロシアではなくて(原発技術を保有する)ウクライナなのです。

こうしたことをすべてわかった上で、これを前提に、日本は自分の国益を守るために動かなければならないのです。

ウクライナは核の国です。

この点、お忘れなきよう。

以上