全国の中学生のみなさんには高専(高等専門学校)への進学をぜひ考えてほしい(2019/04/24)
おはようございます。
2019年4月のビルメン王提供の、特に中学3年生になったみなさんへの学習進路に関するブログ配信記事です。
中学3年生にもなりますと、中高一貫校に進んでいる人以外の大多数の(公立)中学生は、自分の進路についていろいろと悩んで行くことになると思います。
そして、一般に考えられる高校への進学を考える時に、ひとつ、一般の「高等学校(いわゆる高校)」という選択肢以外にもいろいろあるということを知っておいて欲しいので、以前も書きましたが高専(高等専門学校)のことを改めて書いておこうと思います。
いわゆる中学生への家庭訪問においても、話題は中学卒業後の「進路」のことが主になるかと思いますが、普通、一般の教員である担任の先生が、一般の高校以外の進路について真剣に相談に乗ってくれるというのは非常に期待薄です。
それは、日本の教員というシステムが、新卒から教員一本であるという場合が非常に多く、教職自身が、実は教職以外の社会人経験がほぼないことに原因があると筆者は考えております。
教職ですから、中学を卒業したら、同じような教職が運営している高校(高等学校)に行くのが一番「普通」というわけです。
なかなか、イタリアに行ってバイオリン職人になるという「進路」が受け入れられることはないわけです。
あれは「耳をすませば」という漫画やアニメの話かと思われ、そのように「突飛」に思われるからこそアニメーションフィルムにもなるわけです。
しかしながら、筆者としては、バイオリン職人に限らず、多種多様な進路が、それぞれの子供達が一番望む形で開かれればいいなと思っているわけです。
そして、一概に高校といっても、いわゆる全日制の高校だけではなく、以前から再三にわたって言及しているネットで授業を行う定時制高校(N高校など)でもいいし、そもそも、高校いかなくても「高認」という高校卒業同等資格を得て大学入試等に挑戦できるという道もあるよという「道」を示しておくのも必要だと思うのです。
そして、こちらも繰り返しますが、いわゆる全日制(3年間の)高校(高等学校)に行く以外にも、5年制の「高等専門学校(いわゆる高専)」があります。
高専は、高校でもなく、大学でもない、中学卒業時から5年制の教育期間を持つ高等専門学校です。
法律的には、後期中等教育段階を包含する5年制(商船に関する学科については5年6か月)の高等教育機関と位置付けられている日本の学校教育法上の「学校」であり、学校教育法には、特に「深く専門の学芸を教授し、職業に必要な能力を育成する」ことを目的として掲げられている由緒と歴史のある日本が世界に誇る教育機関制度です。
ですので、設置主体も、「国」である場合が圧倒的に多く、2019年4月現在で筆者が調べた限りにおいては、全国に高等専門学校は57校あり、設置者別の内訳は、国立51校、公立3校、私立3校となっております。
圧倒的に、「国立高専」が多いのです。
ちなみに、全国の、2019年4月の現在の「国立大学」の数は86です。
これを見ても、国が、高専にかける予算配分と重点教育の姿勢は明確です。
以下、重要なことですから繰り返し言っておきます。
高専は、自宅からの通学が困難な学生に対しては、食事付きで寮費が実に(一例で)月学37,000円で済むという、超絶コストパフォーマンスの良い教育機関であり、修業年限5年の間の「後期」と呼ばれる3年間において、エネルギー、応用化学、環境生命、メカニクス、情報システムや建築土木といった専門知識を思い切り吸収できる充実したカリキュラムが組まれています。
そして、こうした高専卒の学生の就職率は極めて高く、一例をあげると地元企業から大手の有名企業、世界的なグローバル企業まで求人が殺到し、求人倍率は25倍以上と、高専のOBOGは世界中の企業等から非常に高い評価を受けているのです。
研究開発や基礎研究に不可欠な研究知識や粘り強い態度や振る舞いを身につけた、20歳の前途ある若者たちを放っておく企業はないと言ってよく、日本どころか世界の大型小型メーカーや研究開発企業において、「高専卒業生を採用すること」は、必須の企業経営戦略上の人事採用政策となっているのです。
このように、高専卒業生の人気ぶりから、高専に入るための学力試験の関門レベルも上がってきておりまして、全日制普通科高校との「併願」は事実上できないながら、各地区の高専の入試レベル(偏差値)は上昇しており、地域によっては、その地域一番の公立進学校を軽く上回る入試難易度となっている高専も出てきました。
ここで併願が事実上禁止となっていることを補足しますと、全日制普通高校の入試より一般に早く行われる高専の入学試験に合格した場合、公立高校入試前に「入学誓約書」を出すことが必要であり、そうすると公立高校にたとえ合格したとしても高専に入学しなければならない、事実上併願できないという意味です。
高専の定員は少なく、入学辞退が続出すると運営に支障をきたすというのが理由だと思います。
そういうわけでして、なかなか一般の高校入試には出てこない隠れたルートである、高専についてのご紹介でした。
高専出身者を積極的に採用しているという上場企業の役員からの話もありますように、将来自らがどのような技能や知見で身を立てていくのか、決めてしまわないまでもそんなことを考えることは、中学生にとってとても大切なことであろうと思うのです。
投資や企業経営の世界でも、「人の行く裏に道あり花の山」という、株式投資の格言といえば、何をおいてもまず出てくる言葉があります。
人間、自らの判断と言いながら、とかく集団心理で動きがちなのです。
しかしながら、それでは当然のように多数のどんぐりの背比べとなり、大きな成功は得られにくくなるのです。
高専卒の優秀な知人友人を多く知っていますが、自らは大学入試という名の専門性とはあまり関係なく広い知識素養をはかるという名目のもと単なる有職故実クイズとなっている嫌いもあるのではないかと考えてしまう、大部分の世界標準とは外れてしまっているのかもしれないローカルトリビア(あくまで私見)を経験したせいか、そこからの意識解放がなかなか進んでいない筆者からの「感想」は以上です。
(平成31年4月24日 水曜日)
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