東芝さん、島耕作さんに来て貰ったら?
金融業のグローバル化が滞る間に国内大企業は銀行を頼らず外へ出て行き、外資の投資銀行とやり合うようになった。グローバルな投資銀行のネットワークを構築仕切れていない国内金融に産業界の未来図を描く役割を期待する声は少ない。
「東芝への融資?今の状況でうちの審査に通るかね」。メガバンク首脳は人ごとのように話す。同社の再建案は投資ファンドが主体で議論が進む。銀行団にも1兆円を超す融資要請があるが、国策企業の未来に関心は薄い。
銀行の王国――。米政治学者のケント・カルダー氏は戦後の日本の高度経済成長の姿をそう評した。鉄、造船、自動車と主要産業の再編を仕掛けたのは国ではなく「戦略的発想」を持った銀行だったからだ。日本興業銀行の中山素平頭取(当時)は日産自動車とプリンス自動車工業の合併、八幡製鉄と富士製鉄の合併などに深く関与し、財界の「鞍馬天狗」の異名をとった。
現在の国内金融に産業の再編図を描く力は乏しい。株価が1株当たり純資産の何倍まで買われているのかを示すPBR(株価純資産倍率)は3メガバンクすべてが0.5倍に沈み、市場の評価は低い。不良債権比率は1%を切るほどの健全さを保つが成長力を失い、同時に影響力も減衰した。
東芝さんにおかれましては、かの会社が生んだ有名人、島耕作さんに来て貰えばいいのではないでしょうか。