商店街の衰退について

消費者の利益と他の諸価値という二つの視点を対比させて、考えを800字で述べる

商店街が衰退しているのは、消費者の利益を考えた上では仕方がない面があります。
周知のとおり、商店街に代わり、乗用車の普及と幹線道路網の整備によって、大型ショッピングモール(GMS)が続々と郊外のロードサイドに出店し、地元の商店街は置き去りにされたわけです。
その上、最近ではネットショッピングの普及により、すでに買い物自体に出かけなくても、スマホの指ワンタップであっという間に買い物が終了します。
後は指定された宅配業者が置き配という仕組みで早ければ当日に届けてくれるのです。
消費者の買い物の利益という面では隔絶の差があり、商店街で売られている小売品の中でも、とりわけ書店はほぼ全て絶滅したと言って過言ではありません。
しかし、既存の商店街が買い物のついでに有していた他のコミュニティ機能というべき諸価値については、この消費者の利益を追求する郊外型大型店やネットショッピングでは代替できません。
ここに、わざわざ外に出て、都心の商店街とかつて呼ばれた場所において、何らかのリアルな「体験」を行う場として旧来の商店街を再構成するという動きが盛んになってきています。
具体的には、体験型のサービスとして、①飲食もしくは宿泊、②お芝居等のイベント、③パブリックビューイング、④学習、教育、運動の場、といったコミュニティ機能が挙げられます。
従来の小売一辺倒の商店街から変容させて持続させようという動きが出てきているのです。
以上、従来型の消費の場としての商店街の衰退は避けられないものであるものの、これまで一体として取り上げられてこなかったコミュニティ機能を独立させて、他の諸価値を包含するものとして商店街を定義し直すことで、その衰退にある程度の歯止めをかけることができるのではないかと考えます。(747文字)