尋問(刑事訴訟規則第199条)
(証拠調の順序)
第百九十九条証拠調については、まず、検察官が取調を請求した証拠で事件の審判に必要と認めるすべてのものを取り調べ、これが終つた後、被告人又は弁護人が取調を請求した証拠で事件の審判に必要と認めるものを取り調べるものとする。但し、相当と認めるときは、随時必要とする証拠を取り調べることができる。
2前項の証拠調が終つた後においても、必要があるときは、更に証拠を取り調べることを妨げない。
(証人尋問の順序)
第百九十九条の二訴訟関係人がまず証人を尋問するときは、次の順序による。
一証人の尋問を請求した者の尋問(主尋問)
二相手方の尋問(反対尋問)
三証人の尋問を請求した者の再度の尋問(再主尋問)
2訴訟関係人は、裁判長の許可を受けて、更に尋問することができる。
(主尋問)
第百九十九条の三主尋問は、立証すべき事項及びこれに関連する事項について行う。
2主尋問においては、証人の供述の証明力を争うために必要な事項についても尋問することができる。
3主尋問においては、誘導尋問をしてはならない。ただし、次の場合には、誘導尋問をすることができる。
一証人の身分、経歴、交友関係等で、実質的な尋問に入るに先だつて明らかにする必要のある準備的な事項に関するとき。
二訴訟関係人に争のないことが明らかな事項に関するとき。
三証人の記憶が明らかでない事項についてその記憶を喚起するため必要があるとき。
四証人が主尋問者に対して敵意又は反感を示すとき。
五証人が証言を避けようとする事項に関するとき。
六証人が前の供述と相反するか又は実質的に異なる供述をした場合において、その供述した事項に関するとき。
七その他誘導尋問を必要とする特別の事情があるとき。
4誘導尋問をするについては、書面の朗読その他証人の供述に不当な影響を及ぼすおそれのある方法を避けるように注意しなければならない。
5裁判長は、誘導尋問を相当でないと認めるときは、これを制限することができる。
(反対尋問)
第百九十九条の四反対尋問は、主尋問に現われた事項及びこれに関連する事項並びに証人の供述の証明力を争うために必要な事項について行う。
2反対尋問は、特段の事情のない限り、主尋問終了後直ちに行わなければならない。
3反対尋問においては、必要があるときは、誘導尋問をすることができる。
4裁判長は、誘導尋問を相当でないと認めるときは、これを制限することができる。
(反対尋問の機会における新たな事項の尋問)
第百九十九条の五証人の尋問を請求した者の相手方は、裁判長の許可を受けたときは、反対尋問の機会に、自己の主張を支持する新たな事項についても尋問することができる。
2前項の規定による尋問は、同項の事項についての主尋問とみなす。
(供述の証明力を争うために必要な事項の尋問)
第百九十九条の六証人の供述の証明力を争うために必要な事項の尋問は、証人の観察、記憶又は表現の正確性等証言の信用性に関する事項及び証人の利害関係、偏見、予断等証人の信用性に関する事項について行う。ただし、みだりに証人の名誉を害する事項に及んではならない。
(再主尋問)
第百九十九条の七再主尋問は、反対尋問に現われた事項及びこれに関連する事項について行う。
2再主尋問については、主尋問の例による。
3第百九十九条の五の規定は、再主尋問の場合に準用する。
(補充尋問)
第百九十九条の八裁判長又は陪席の裁判官がまず証人を尋問した後にする訴訟関係人の尋問については、証人の尋問を請求した者、相手方の区別に従い、前六条の規定を準用する。
(職権による証人の補充尋問)
第百九十九条の九裁判所が職権で証人を取り調べる場合において、裁判長又は陪席の裁判官が尋問した後、訴訟関係人が尋問するときは、反対尋問の例による。
(書面又は物の提示)
第百九十九条の十訴訟関係人は、書面又は物に関しその成立、同一性その他これに準ずる事項について証人を尋問する場合において必要があるときは、その書面又は物を示すことができる。
2前項の書面又は物が証拠調を終つたものでないときは、あらかじめ、相手方にこれを閲覧する機会を与えなければならない。ただし、相手方に異議がないときは、この限りでない。
(記憶喚起のための書面等の提示)
第百九十九条の十一訴訟関係人は、証人の記憶が明らかでない事項についてその記憶を喚起するため必要があるときは、裁判長の許可を受けて、書面(供述を録取した書面を除く。)又は物を示して尋問することができる。
2前項の規定による尋問については、書面の内容が証人の供述に不当な影響を及ぼすことのないように注意しなければならない。
3第一項の場合には、前条第二項の規定を準用する。
(図面等の利用)
第百九十九条の十二訴訟関係人は、証人の供述を明確にするため必要があるときは、裁判長の許可を受けて、図面、写真、模型、装置等を利用して尋問することができる。
2前項の場合には、第百九十九条の十第二項の規定を準用する。
(証人尋問の方法)
第百九十九条の十三訴訟関係人は、証人を尋問するに当たつては、できる限り個別的かつ具体的で簡潔な尋問によらなければならない。
2訴訟関係人は、次に掲げる尋問をしてはならない。ただし、第二号から第四号までの尋問については、正当な理由がある場合は、この限りでない。
一威嚇的又は侮辱的な尋問
二すでにした尋問と重複する尋問
三意見を求め又は議論にわたる尋問
四証人が直接経験しなかつた事実についての尋問
(関連性の明示)
第百九十九条の十四訴訟関係人は、立証すべき事項又は主尋問若しくは反対尋問に現れた事項に関連する事項について尋問する場合には、その関連性が明らかになるような尋問をすることその他の方法により、裁判所にその関連性を明らかにしなければならない。
2証人の観察、記憶若しくは表現の正確性その他の証言の信用性に関連する事項又は証人の利害関係、偏見、予断その他の証人の信用性に関連する事項について尋問する場合も、前項と同様とする。
(陪席裁判官の尋問)