進路指導

【進路指導】
勝負の場を適切に設定することはとても大切です。得たいと思った地位に就けない、成果が得られないことがあります。例えば、大学の医学部の推薦入学に落ちた女子高生のお話。これまで、毎年必ずその高校(地域の域内トップの公立高校)の推薦があれば、間違いなく毎年通っていたのに、その子の年だけは、その子だけは、「女性」だったことで撥ねられた、と思われます。もちろん、思われます、であり確証はありません。まだあります。国立大学の教育学部で教職課程を修了して、音楽教師になるため、某大蛇市の教育委員会で試験を受けた女子大生の話。募集定員は1~2名。その最終面接4名まで残ったのですが、明らかに能力が低く、集団面接でも最も冴えない候補者の女性が、明らかにもっとも出来が良かった万年講師と一緒に受かっていったそうです。その候補者は、後でわかることですが、有名な大蛇市の校長の娘だったことが判明して、気落ちしたというか、もう教師になるのやめよう、という踏ん切りがついたというような哀しい話です。
このように、平等でも衡平でもない選抜や競争の場に放り込まれて、形だけの、負けるとわかっている勝負をさせられて時間を浪費してしまうという事例が後を絶ちません。筆者は、そのような不幸なことにならないように、できるだけ、そういった業界ごとに隠然と存在する、かような裏ルールを事前にお伝えして、そしてゲームのルールに沿った戦略と戦術を授けるような仕事をしたいと思っています。進路指導、なんていう薄っぺらい言葉ではなく、その人の人生に責任をもって、できるだけよく調べて、正当な努力が報われる勝負の場に送り出す、これが必要な指導であり進路相談だと思っています。このような話をさる通信制高校の指導教官にいたしましたら、ぜひ生徒と直接話してくださいということでしたので、やってみようと思います。
そもそも、いい進路、って何なのでしょう。たとえば、CA。キャビンアテンダント。昔はスチュワーデスと言われて憧れの職業でした。しかし、実際の職場環境としてはいかがなのでしょう。飛行機で移動するのは変わらないのに、やれビジネスがいいだの、ファーストがいいだの、エコノミーだと狭くて体がきついだの、いろいろうるさすぎます。のびのび旅行したいなら、飛行機なんかつかわず、泳いでいけばいいだけのことです。ファーストクラスで体験できる極上の体験、っていったって、いつもファーストクラスで乗務(勤務)しているキャビンアテンダントの方にお聞きすれば自明なものです。曰く、機能と特典の観点から比較すれば、確かに違いはありますが、旅客機移動において何が重要かは個人差が大きい故、価値観の違いを考慮に入れると、これだ!という要素は長時間飛行の「快適さ」のみです。まず40〜60分の搭乗時間中、比較的早く着席できますが、最も早く機内に入るのは、実は身体の不自由な乗客です。さらに、乗務員のほうが先に機内に入れます(笑)。着席した後、出発前のドリンクサービスがありますが、お酒等嗜まれない乗客には意味がありません。安全ビデオが始まると,モニターサイズの差が顕著ですが、超大型スクリーン搭載のノートパソコン持参の乗客には無関係です。巡航高度に達すると、ファーストクラスは静粛度が少々向上するのがわかりますが、聴覚に危険を及ぼすような機材は現在使用されていません。ファーストクラスは揺れも少ないですから,サービスもエコノミーより早く始まるかもしれません。しかし、よほどの事がない限りサービスはどのキャビンでも規定通りに行われます。食事はファーストの方が地上のレストランに近いですが、しょせん同じケータリング会社が作っている料理です。松竹梅、の幕の内弁当程度の違いしかありません。お酒、特にワインはファーストが5種類、メインは2種類ですが、筆者のような下戸にはメリットはありません。デザートはファーストが3種類ですが、甘党でなければ食べません。ここから先が最も大きな違いです。ファーストは就寝時にシートがフルフラットになり、 狭いベッドで寝ているのと同じような経験ができます。また、ほとんどの機材がスイート仕様ですから、落ち着きやすいかもしれません。乗務員として、休憩時間には、通常エコノミー席は満席なので、3席で寝ると言う事はほどんどできませんが、空席の多い航空会社や路線であれば横になる事は可能です。キャビンアテンダントの人たちには、デッドヘッドと言う、乗務は無いけれども、有給の「移動」があります。この際ファースト席がないと非常に辛いのは事実です。やはり狭くてもゆっくり横になれると、仮眠しやすいですから、到着時にスッキリ目覚める事ができます。去年パリ便でデッドヘッドがあったのですが、ファーストに空席はなく、同僚と非常口席で8時間、これだったら乗務して、仮眠室で寝た方がずっとマシだとつくづく思ったそうです。
ということで、我々一般人にとって、中古車が買えるような価格帯のファーストクラス利用は、新婚旅行など特別の機会以外、またはマイレージで乗る以外まずないと思いますが、これはあくまでも金銭感覚の差以外の何物でもありません。例えばフェラーリに乗っている人は少なくとも年収が車値の三倍はないと乗れません。つまりファーストクラス利用客の100万円は、我々、あなたやわたし、そしてその周りにいる庶民の100円程度なのかも知れないのです。ビル・ゲイツさんが100ドル札を落としても、拾っている時間の方が高く付くと言う事実と同じです。ちなみに、わたしは、一円玉を見つけても堂々と拾います。航空業界の従業員は無料(空港税のみ自費)でファーストが比較的頻繁に利用できる一般会社員ですが、その観点から見ても、例えば、ステーキは松坂牛しか食べた事がない、と言うライフスタイルの人達が利用する移動手段であり、そのありがたみは薄れます。
CAになりたくて、専門学校に通い、マナーや礼儀作法を覚えて就職試験に臨む人たちもいます。どのような業務が実際に待っているか、筆者は航空機パイロットもCAさんも地上職の人たちにも、友人がいますから、このような裏の本音の話をよく聞きます。進路指導とは、そのような裏の情況も踏まえたうえで、その業界をまるごと理解したうえで、適切で必要な努力を重ねて門をたたくべきものなのです。
実際に実になる進路相談をしたいものですよね。そのためには、相談に乗る側の社会経験の幅が必要です。
唐突ですが終わります。