カーボンニュートラル推進としては離島や限界集落こそ自家用車を手放す必要があるのかもしれない(2021/02/10)

日本の少子化に悩む離島や限界集落の皆さんに、若い市議会議員の取り組みを紹介したいと思います。

日本の西の端、五島列島の市議会議員の中で、今回当選した一番若い議員さんが、いままで使っていた愛車の軽ワゴンを手放す決断をしたという話です。

選挙をともに戦った軽自動車で、のべ10万キロ以上走ってきたということですが、車検代と名義変更の費用の10万円ほどで、車体はほぼタダで譲るとのことです。

さて、なぜこのたび車を手放すことになったのか、という理由ですが、大きく4点に分けて説明されています。

一つは、まずはカーボンニュートラルの推進を政治家が先頭に立って行うという姿勢を明確にすることです。

この議員が活動している長崎県五島市は、2050年までにカーボンゼロシティを目指すという方針を掲げています。

(五島市のホームページより、カーボンゼロへの方針)

https://www.city.goto.nagasaki.jp/…/20210208095104.html

環境問題に対する方向性は皆が同意しているものの、どうしても、一歩を踏み出す前の掛け声倒れ、に終わることが多いです。

そして、たいていの政治家の掛け声は、自身の行動変容を伴わない、呼びかけに止まるものがほとんどです。

まず、政策目的を目指すのであれば、選挙で選ばれた政治家こそが、まず自らの行動で示すべきだと感じます。

そして、手っ取り早い方法としては、2050年に先駆けて、自家用車(車・バイク)によるCO2排出を0にすることです。

もちろん、車を使う機会はあるでしょうから、そこは公共交通機関であるバスやタクシー、加えてレンタカーやカーシェアを使うことで対応できるでしょう。

理由のその2としては、健康増進です。

この点、公共交通機関が充実しているいわゆる都市圏に住んでいれば車は不要ですが、限界集落や離島の社会は超・車社会です。

大人1人1台は自動車を持っているという社会です。

そして、外部のものとして島に来たものが感じるのは、ほんの僅かな移動でも車を利用するという、よくない風景です。

歩く習慣の乏しさが、介護需要の高まる要因の一つだというのは間違いないことだと思います。

健康寿命の増進のためにも、「歩くことの習慣化」を促す、その先駆けに、選良たる市会議員が率先してあたる、というのは間違ったアプローチではないでしょう。

そして、その3として、リモート活動の推進です。

島で自家用車を持って管理するということは、都会比較で負担の大きい、保険代、車検代、ガソリン代(本土よりさらに割高)など、維持費やコストの面としても馬鹿にならない負担です。

しかしながら、コロナ下で社会のデジタル化、リモート化は急速は進み、物理的な移動への必要性は相対的に下がりつつあります。

「自家用車がなくても生活が出来る」暮らしの実現に向けて、歩みを始めるいい機会ではないでしょうか。

もちろん、緊急搬送などの必要性についてはしっかりとサポートを得られる上で、人ではなくモノの方を動かす、という社会のパラダイムシフトを進めるのはカーボン低減のためにも良さそうです。


そして、最後の4つ目であり最大の効用は、人としての心が整理され、かつ気づきが得られ、他者とのコミュニケーションが生まれる、ということです。

普段から歩くようにしていると、それこそ選挙活動期間と同じように他人の目線と同じ高さで接すると、バリアフリー化の遅れや信号・電線・側溝など、様々な「街の課題」「コミュニティの不足」が見えてきます。

車で走っていると見落としてしまうさまざまな気付きが、歩くことによって得られます。

そして何よりも、「歩いている市民や地域の人々との、個々では意図しないけれども総体としては必然的に生じる、偶発的な市民の方との出会いや語らい」が生まれます。

これは、社会勉強や、民草の目線に立つべき政治家が絶対に外してはならない視線であり、断然車で移動するより徒歩をオススメするという意味です。

このように、カーボンニュートラルにつとめ、持続可能な社会の実現に向けた環境面、個人の健康面・生活面で、政治家が自らを青空に晒す「改革」を続けていく必要があると感じます。

結果、「車に依存しない離島の社会」に向けた一歩を踏み出すため、車の所有を止めてみる、ということです。

掛け声よりも小さな具体的な一歩の取り組み、同じ離島の長崎県対馬市からも応援しています。

今日の記事は以上です。