(2021/02/16)仮想空間上の「土地」が暗号通貨で売買される時代に

イーサリアム上に構築される、育成・繁殖ゲーム「アクシーインフィニティ(Axie Infinity)」の運営組織が、2021年2月8日、コミュニティメンバーがゲーム上の「土地(空間)」を888.25ETH(約1億6580万円)で落札したと発表しました。

こうした取引は、NFT(ノンファンジブル・トークン)と呼ばれますが、この取引事例としては過去最大価格となった模様です。

これまではF1デルタタイム「Formula 1 Grand Prix de Monaco 2020 1A」の約2300万円ほどが最高値でした。

アクシーインフィニティは「アクシー」と呼ばれるキャラクターを育てたり、繁殖させたりしてバトルその他の活動をネット仮想空間上で楽しむゲームです。

アクシーはNFTでトークン化されておりポケモンとクリプトキティーズを合わせたゲームと評されます。

素人にはなんのことかさっぱりわからないかもしれませんが(筆者もそうです)、要するに仮想空間上のキャラクターを、唯一無二のデジタルデータとして「所有」「育成」することができる「世界」でありまして、さらに、まもなくユーザーが仮想の土地で資源を探索したり、装飾やバトル、資源を収穫できる「Project K(別名アクシーランド)」と呼ばれるシステムがアップデートされる予定となっております。

そして、今回の「土地」売却もこれに合わせて行われたものとなります。

壮大な先行投資というわけです。

今回、ジェネシスブロックの土地9箇所を購入したFlying Falcon氏(もちろんペンネームでしょう)は「私たちは歴史的な瞬間を目撃している。明確に定義され、取り消し不可能な財産権を持つ独自のシステムを持つデジタル国家の台頭だ」とコメントしました。

「アクシーの土地には、エンターテインメントとしての価値、社会的価値、そして将来の資源の流れという形での経済的価値がある。最初の土地区画は、アクシーインフィニティの中で最も希少で最高の位置にある区画だ」とのことです。

1億5千万円あれば、東京の広尾あたりにマンションでも買うのが「普通」の人の考えることなのでしょうが、クリエイターというかイノベーターの考えることは違いますね。

この仮想空間上の「土地」を購入したユーザーは、この所有する自分の「土地」を他者に貸し出して利回りを得たり、コンサートといったゲーム内イベントを開催して、その運営収入を得たりすることで、キャッシュフローを得ることができ、地価を高めることができます。

アクシーインフィニティの共同創業者であるジホ・ツァーリン氏はデクリプトに対し、ブロックチェーンゲームは今後、現実世界と同じようにアイデンティティを持ったり、土地や財産権、統治、競争、娯楽などを交換し関わることが選べるようになる、と話しているます。

つまり、独自の経済と政府システムを備えた複雑な「社会」が出現するということです。

こうした動きの中から、いわゆる暗号通貨システムであるブロックチェーン技術を使ったゲームの世界ではメタバース(仮想空間)を中心としていくという機運が高まっています。

大手ゲーム会社のスクエア・エニックスが投資するサンドボックスやディセントラランド、クリプトボクセルズといったゲームも人気を博しており、仮想空間の土地が高値で取引されている模様です。

どんな存在も、存在するだけで「価値」が出て「資産」となりうる、そのような壮大な仮想空間に我々は行きているのかもしれません。

今日の記事は以上です。