2022年4月1日から日本でも満18歳で成人となります(2021/03/22)
▼現行の民法第4条では、「年齢二十歳をもって、成年とする」と定められています。言い換えれば、20歳に満たない人が未成年ということです。この点は、民法を引用しなくても常識として知っている人が多いのではないでしょうか。続く民法第5条によると、未成年者は原則として法定代理人の同意がなければ法律行為を行うことができません。ここでの法定代理人とは、未成年者の親権者や未成年後見人などの選任された成人を指しています。ここでいう法律行為とは、契約の締結や訴訟などが挙げられます。未成年者は、成年者と比べて経験や知識、判断能力が不足しているとみなされ、法律行為を単独で行うとトラブル詐術に引っかかるリスクが高いと考えられており、そのため、未成年者保護の観点から、法定代理人の支援が必要だという建前です。仮に未成年者が同意を得ずに法律行為を行った場合、法定代理人は取引を無効にできるようになっています。例えば、未成年者だけで携帯電話利用の契約を結ぶことはできません。必ずしも法定代理人が店舗へ同行する必要はないのですが、法定代理人が記入した同意書や法定代理人の本人確認書類のように、契約の締結が許可されていることを示す書類を、未成年者が自分で持参しなければなりません。一人暮らしをするための賃貸借契約や、クレジットカードの作成なども同様です。しかしながら、全ての法律行為にこれをあてはめると非常に厳しいことになるため、「一般的なスーパーやコンビニなどの買い物」などの支払う代金がお小遣い(正確には「法定代理人から処分を許された財産」)の範囲内であるものについては、未成年者本人だけでもできるという許容規定があります。一方、法定代理人たる父母に無断でお小遣いの範囲では支払えないような高額商品・サービスを子供が購入するのは、許容範囲を逸脱するとみなされます。
▼さて、こんな不都合な未成年者の期間を国際的な標準である18歳に引き下げようという試みが最終段階を迎え、2018年6月に、現行の民法を一部変更するための法律が成立しました。2022年4月1日より、民法第4条で定められた成年年齢が20歳から18歳へ引き下げられます。18歳以上であれば、成人として法定代理人の同意を得ずに契約締結をはじめとした法律行為を行えるようになります。選挙権も問題なく付与されます。具体的な法律的効果を、大学時代の民法Ⅰの試験結果が20点(もちろん不可で単位未了)であった筆者が説明しますと、
<法律の要点>
1 成年年齢の引下げ(民法第4条)
①一人で有効な契約をすることができる年齢 いずれも 20 歳から18 歳に引き下げ、「成年」と規定する他の法律も18 歳に変更
②親権に服することながなくなる年齢
2 女性の婚姻開始年齢の引上げ(民法第 731条)
(現行法)男性 18 歳
女性 16 歳 女性の婚姻開始年齢を18 歳に引き上げ
婚姻開始年齢は男女とも18 歳に統一
ということになっております。結婚可能年齢について、女性も男性も18歳で統一されます。ただ、喫煙や飲酒などが可能になる年齢は、現在と変わらず特別に20歳のまま留め置かれます。また、成年年齢が引き下げられたからといって、養育費の支払期間が短縮されるわけではない点にも注意が必要です。養育費は、あくまでも「子の経済的な自立を期待することができない場合に支払われるもの」であり、 経済的に自立していなければ、成年になっていても養育費は支払うものだからです。ですから、子供が経済的に自立するように教育するのが、保護者親権者なかんずく父母としての最低限の務めとなりましょう。今回の民法改正は、2022年4月1日から施行されます。つまり、2002年4月1日までに生まれた人は、20歳の誕生日に成年に達します。2002年4月2日から2004年4月1日までに生まれた人たちは、2022年4月1日に一斉に成年に達することになります。そして2004年4月2日以降に生まれた人たちは、18歳の誕生日に成年に達します。という3種類の類型が生じることになります。
▼永遠の16歳(実年齢マイナス30歳)の筆者からは以上です。