筆者史上最低映画「空母いぶき」の感想

映画空母いぶき公式サイトより

原作空母いぶきとは別物

映画空母いぶきの 日本興行収入は11.6億円、 観客動員数は 日本で73.0万人 です。

映画としての興行収入としては、まあまあの結果だったと言えるでしょう。

しかしながら、この映画、空母の名前を変えれば、誰が見ても原作を思い出さない別物の内容です。

こんなにひどい原作相違の映画、筆者はかつて見たことはありません。

原作は必要だったのでしょうか?もはや完全オリジナルとして脚本してほしかった作品です。

原作者かわぐちかいじさんのお気持ちは知る由もありませんが、沈黙の艦隊、ジパング、太陽の黙示録、そして空母いぶきをこよなく愛している筆者としては、特に、沈黙の艦隊から続くリアリティ大好きな仲間からの最悪の前評判をきちんと踏まえて、できることならば、一生かかわらずこの映画を無視し続ければよかったと思うくらいの読後感でした。

かつて筆者史上トップオブ最低だった映画パールハーバーを上回るクソ映画がここに

といっても、ネットフリックスの月額見放題プランで見つけてしまったので、昼休みの時間を利用して、カップラーメンを食べながらの、4~5倍速でざっと見ただけなのですが、誰から見ても絶対的な「敵」として認識できる架空の太平洋上の群島テロリスト国家を登場させるところから、ものすごく無理があります。

そんな狭隘な、人口も極小の島嶼国家が、戦闘機ミグを数十機配備できる国力を持つことはできず、設定が破綻しています。

かの問題作「バトルロワイヤル」の「日本は狂った」の世界観の方が、むしろリアリティがあるなと感じてしまう程度の前提に、どんな話を盛り込んでも何も入ってきません。

原作、漫画空母いぶき、のポイントは、3,000年以上競争関係にあり、そして敵意はあっても敵対はしていないはずの中華人民共和国、中国共産党、人民解放軍から日本の固有の領土である尖閣諸島が攻め込まれるという、信じたくない現実から始まる、その設定が、まさに「わかっていながら見て見ぬふりをしていた事態」であることから強烈なリアリティを持ち、ちょっとしたトリガーさえあれば簡単に局所的な戦闘を超えた本当の戦争が始まってしまうという恐怖があるのですが、全くの肩透かしです。

内容は、特にありません。アニメや漫画の架空の、異次元転生ものの世界観の方がもっとずっとスッキリしています。

たくさんの日本の売りたい、売れてる役者をむりやり使うために、変なサイドストーリーを大量に入れ込み、テーマもサイドストーリーも何もないまま話が終わりました。

かつて筆者史上トップオブ最低だった映画パールハーバー(ディズニー制作)を上回るクソ映画、ここに降臨。

この映画を作るためにカネを出したスポンサーの気持ち悪さと、金さえ貰えれば仕事として何でも受けてしまう役者やスタッフ、一切現実の自衛隊が協力していない陳腐な撮影、この映画に集った人々全体が気持ち悪く、筆者のわりと長いこれまでの人生の中で、最悪の映画となっただけでなく、今後の映画鑑賞に対する態度にも多大な損害を与えた最も恐ろしい映画となってしまいましたことをここに謹んで告白いたします。

以上

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