産業構造の話
おいしいところはみんな無視されている
受験産業で教えている人達が、実社会で働いたことがないので、自分が消費者として体験した範囲でしか進路指導できず、若者をB2Cの低付加価値産業に誘導してしまっている側面があります。日本も、ドイツやスイスのように、高付加価値なB2B産業に産業の軸足をうつさないといけないのですが。若者をB2Cに誘導し続けると、観光立国のスペイン、イタリア、ギリシャみたいな産業構造になってしまいます。観光資源と、スポーツと娯楽しかない、最悪な産業構造ですね。
ゆるふわ大学の末路としては、オホーツク海に面した北海道紋別市における道都大学の事例が大いに参考になります。
受験産業だけじゃなく、マスコミも同罪ですが。新聞記者、出版社、テレビ局に勤める人達が、やはり自分達の消費者としての体験から世論を誘導するので、若者が低付加価値なB2C産業に誘導される現象が起こっています。
特に、首都圏の郊外のニュータウンや都心のタワマンなどで、この現象が顕著です。生まれてから社会に出るまで、小綺麗な住宅地、ショッピングセンター、学校でしか生活していないので、消費者としての体験しかありません。必然的に、B2C産業にしか興味がわかないのです。
一方、離島や限界集落などの地方出身者や新興国からの留学生は、農業、建設土木、工場などで働く人達に囲まれて暮らすので、若い頃から必要的に、高付加価値なB2B産業に興味を持ちやすくなります。確かに、農業、食品産業は低付加価値ですが、建設土木、製造業は高付加価値で、このふたつに技術的に密接な関係があるインフラとIT産業は超高付加価値なわけです。
なので、日本の高付加価値なB2B産業のうち、建設土木、製造業、インフラなどをみると、驚くほど地方出身者だらけですね。IT系も、キラキラWeb系を除けば、地方工業高校、地方高専、地方工学部→一流大学院ロンダリング組だらけです。
都市部の中産階級の若者たちは、自ら高付加価値のB2B産業から撤退して、地方エリート、新興国エリートに、一番美味しいところを無血開城している状態です。マスコミは報道しないので、全く話題にならないですが。