中国主導によるAIIB(アジアインフラ投資銀行)設立の趣意説明等

日本銀行の珍しいチケット(券)です

おはようございます。

2015年6月の中国に関する配信記事です。

中国主導で設立する国際金融機関、アジアインフラ投資銀行(Asian Infrastructure Investment Bank, AIIB)の創設メンバー国が、実に57か国、北京の人民大会堂で設立協定署名式を開きました。

各国の国内承認手続きを経て、年末に発足する予定です。

創設メンバーは57カ国で、アジアなどの発展途上国のほか、英国、ドイツ、フランス、イタリアなどの先進国も名を連ねました。

設立後はアジアなどの社会基盤(インフラ)整備に資金提供するとのことで、わざわざインフラという文字を入れました。

そもそも、米国主導の世界銀行(World Bank, WB)や、歴代総裁を日本が出しているアジア開発銀行(Asian Development Bank, ADB)など同じような銀行がすでにいろいろある中で、わざわざ新しい銀行を設立しようとする中国の思惑はどこにあるのでしょうか。

中国高官は、上記の署名式で「AIIBは中国がアジアと世界の経済発展のために国際的な責任を引き受ける重要な取り組みだ」述べたそうですが、これは対外的な公的な理由の一つに過ぎないと筆者は見ます。

中国の成長のための銀行ではないのかという疑念

これまでの中国経済の「成長」は、大規模な都市開発住宅開発、高速道路網建設、高速鉄道建設、ガス、水道の整備といった膨大なインフラストラクチャー整備要請による投資によるもので実現されてきました。

これは、国家が公認してどんどん公共投資しなさい、というかつて日本でも行われた国土開発型高度経済成長モデルです。軽く日本の10倍の人口とそれ以上の国土を持つ中国では、この効果は絶大でした。

しかし、いつか国土開発のバブル状況も終わりを迎えます。

主要都市は開発されつくし、今後人口や需要が追い付かないところを無理に「開発」してしまっては有効需要は見込めず初期費用もランニングコストも回収できないゴーストタウンになるだけなのは目に見えています。

そこで、中国は、このように自国内で需要が追い付かなくなった公共投資開発の会社(中国有数の鉄鋼会社や建設会社、鉄道会社や不動産会社や配管会社など)の破綻を防ぐため、需要を世界の発展国の大型プロジェクトに求めたのです。

しかし、こうしたプロジェクトに、中国の企業が「平手」で勝負に出ても、世界銀行やアジア開発銀行が融資するような案件に参画するだけの技術力も実績も現時点では不足していることは否めません。

要は対外に打って出ても受注できる案件がないのです。

そこで、金融面から中国主導のAIIBを設立し、そのひも付きでこのような中国国内の企業に仕事を分けようということなのだと思います。

ただし、お抱えの自国企業群に仕事を回すことがあまりにも強引であり、銀行としての中立性や公共性の担保、そして案件成否の審査能力など、基本的な思想に隔たりがあることから、日本や米国は参加を見送ったということなのでしょう。

中国の膨らむ公共投資需要を世界(特に参加を表明した欧米主要国)が引き受けるという一方的な構造になるのではなく、できれば先の声明のように、アジアの世界の経済発展のために中国も一肌脱ぐということになってもらいたいと思います。

かつては世界銀行も日本銀行も東日本銀行も西日本銀行も南日本銀行も北日本銀行も東京銀行も九州銀行も福岡銀行も、同じように個人で預金できると思っていました金融素人の筆者からは以上です。

(平成27年6月30日 火曜日 最終更新:平成28年6月30日 金曜日)

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