教育産業が抱える構造的な課題について

教育産業が抱える構造的な問題点について考えてみます。

学習塾にしろ予備校にしろ英会話教室にしろ編み物教室にしろ、その他の月額制を主とする教育産業については、構造的なビジネスモデル上の課題があります。

それは、一旦教えることになったその学習内容やノウハウそのものを、受講者側が自学によって短期間に効率的に身につけてしまっては儲からないという問題です。

つまり、生徒という養分からいかに長い間太い養分供給を受け続けるかが重要であり、予備校であれば、実は志望校に受からずに、それでも実力は上がっているという実感を与え続けて通学し続けてもらう、何なら専用寮に入ってもらってより多額の受講料と泊まり込みの寮費をいただく方がよいわけです。

言い方をもう少しモデレートしたものにしますと、ゆっくりと着実に成長してもらって、長期間当該サービスにとどまってもらう、というのが最高の顧客ということになります。

つまり、かつての学生時代の筆者のように、予備校の夏期講習の1科目だけを受講し、あとは使い放題の自習室でひたすら自学に励み、わからないところがあれば教務室の講師のところに他教科だろうが何だろうが勉強のやり方からノウハウを聞きに行って盗み、毎日最後の21:50の終刻までひたすら自学を続けて、何ならその予備校が出している模試や講師用の解答集ももらってしまう、というような生徒では儲けにならないのです。

また、このことは、受験産業以外の、例えば定期的に化粧をしたり、サプリを飲んでもらうとか、床屋や美容院といったサービスにも通じるところがあります。

自分で髪を切ってしまって内製化されては店の売り上げにならないので、長く通ってもらうようにさまざまな工夫をしますし、サプリについても、一気に体質が改善するより、じわっと漢方療法のようにいくのがよしとされる傾向にあるのです。

以上