本質的なサービスに差がない業界の悲しい忖度
戦略的おべっか
本質的なサービスに差がない業界における営業は、どうしても些末なものになりがちです。
例えば、コカ・コーラの協賛イベントに加わったスタッフ一同が、買い込んできたおーいお茶を飲んでいて、大炎上したとか(正解はもちろん、綾鷹やいろはすの水など)、トヨタの工場見学に、日産車で乗り付けるといった所業です。
車体メーカーの本社の打ち合わせに、どうしてもそのメーカーの社用車が故障して使えないので、直前の社屋から見えない駐車場に止めて走って行くとか、そういう上下関係がいつしか幅を利かすようになる世界は嫌なものです。
とりわけ、広告業界については、この忖度も最高レベルのものを垣間見ることができます。
キャノンさんにプレゼンしたときのこと、そのプレゼンに行くときに取りまとめの電通さんが「おまえ、ちゃんとキヤノンのコピー機でコピーしたんだろうな?」とチェックし合っていて、下請け社員の私が驚いて「そんなことがわかっちゃうものなんですか?」と聞いたら「僕らにはわかりませんが、得意先にはわかるかもしれませんので」と言っていたそうです。
現にあとでキャノンの人に聞いたら「自分たちにはわかる」と言うわけです。
コピー機何万台も作ってみている会社ですから、リコーでコピーしたのかキャノンでコピーしたのか、その業界の人たちにはわかるらしいのです。
ですから、電通さんがやっていたことは全く無駄じゃないんです。
他の広告代理店だったら、コピーをどこのコピー機でとるかなんて考えてもいないと思うんです。
こうしたしょうもない有職故実が幅を利かせていた昭和のオフラインの時代から、オンライン主流の令和の時代が脱皮して、風通しの良い社会になることを大いに期待しつつ、筆を置かせていただきます。
そもそも、自社ではない製品や商品が市場に溢れているのであれば、それはそのまま自社の成長伸びしろであり、むしろ関係者の殆どが自社製品をつけている状況を不思議がらない、そんなメーカーやサービス事業者こそ、謹んで滅べと思います。
そういうことで、当社は、かようなつまらない労力を強いる、日本の自動車メーカーやコピー機メーカーの株を買うことは、一生ないと思いました。
以上