保険金審査のAI自動化

人手に頼っていた保険金の審査や支払いを、人工知能(AI)が代わって行うことで、審査の手間が2週間から30分に短縮される、そんな時代が来ようとしています。

損害保険ジャパンは2022年度中にAI(人工知能)審査を導入し、保険金請求の受け付けから支払いをデジタルでオンライン上で完結できるようにするとのことです。

これにより、2週間かかっていた支払い手続きを最短30分に短縮することができるそうです。

AI対応は海外でサービスが始まったばかりですが、日本でも中核である審査・支払業務でデジタル化が進みます。

損保ジャパンはまず、年間50万件程度ある日常のけがを補償する傷害保険を対象に22年度中にAI審査を導入するとのことです。

そして、次には自動車保険や火災保険などにも広げる方針です。

保険金を請求する契約者は対話アプリ「LINE(ライン)」のチャット機能を使うので、新しく入る契約者にもすんなり受け入れられそうです。

事故やけがの状況を80文字程度で入力すると、AIが自動で質問を出します。

たとえば契約者が「腕を痛めた」と入力すると、AIは「肘か手首か」「打撲か捻挫か」などと尋ねて手続きに進むという流れです。

そして、今後開発する損害保険の新商品はAIが応答する仕組みを最初から取り入れる方針です。

現在、保険料の支払い審査とその事務は、約1万人いる担当者が電話などで応対しています。

人間が、商品内容や契約内容を改めて精査して保険金支払いの可否を判断するため、支払いを終えるのに2週間ほどかかっています。

AI審査で支払いできないと判断した場合は、契約者の希望に応じて担当者が電話で応対しますが、ほとんどの保険金の支払いは、定型的業務といえ、格段のスピードアップとコスト削減が図られそうです。

東京海上日動火災保険もデジタル対応を進めています。

2022年2月からマイカーなどにかける車両保険の一部で保険金の審査、支払いを無人化する方針で、2023年度までに傷害保険や火災保険の一部でも全工程を自動化する計画です。

海外ではデジタル保険の米レモネードが、事故受け付けから保険金支払いまでを30分程度で済ませるサービスの提供で先行しています。

海外も含めて多くの保険金支払いの業務は人手を介しており、この削減余地は、損害保険業界の隠れた伸びしろとして、これから大いに認知され、順調に淘汰されることになるでしょう。

以上