コテンラジオの夜明け
1年超越しに集まった歴史好き4人が改めて語り合ったことは無事これ息災であることが一番の価値であるということでした
おはようございます。
2019年12月の歳末押し迫った記事です。
昨年10月に、歴史好きで歴史に関する事象や人物を、クラウドデータベースにまとめて相互参照できるようなシステムを構築する、そしてそれをなんらか事業化したいという壮大な考えを持っている事業家「株式会社コテン」の人たちと歴史のことのみで語り尽くすという会がありました(筆者入れて総勢4名)。
「人類が、より深く人類を理解することに貢献する」という経営理念を掲げているすごく変な会社です。
そして、その場で出た、歴史を愛し、歴史を知りすぎてしまった歴史ギークたちがお届けする歴史系ネットラジオという構想に沿って、ユーチューブ動画とポッドキャストでの音声配信「コテンラジオ」を始め、配信1年と少しで、ついに、YouTubeでのチャンネル登録者数1,000人を超えた(2019年12月5日12:00現在1,100人)という「実績」を上げることになりました。
そうして、そのお祝いもかねて、第2回の例会として、実に1年超ぶりに、同じメンバー4名での夕食会を開催することができました。
夕方19時に集合して、おでんや焼き鳥を食べながら歓談するのですが、もう4人ともしゃべりたいことが多くてあっという間に時間が過ぎました。
この1年間のレビューを駆け足で聞いたのですが、本当に、やってみて良かったという感想でした。
このコテンラジオ、チャンネル登録者1,000人に到達したのは最近ですが、リスナーは海外含む世界中に展開しておりまして、コメントをくれた最高齢の男性は77歳、晩酌の焼酎を飲みながらこのラジオを聞くのが楽しい、世の中のことがわかるという嬉しいコメントでした。
そのほか、日本の歴史も世界の歴史も含めた「世界観」や伝えたいことが、特に海外の日本人リスナーに響くようで、日本語でここまでグローバルな視点をもったコンテンツはなかなかない、という評判でした。
その上で、4人の共通認識となったのは、今の配信ペースを乱さない、つまり、無理して加速するのではなく、むしろ力をセーブしながら無事これ名馬で過ごす、すなわち、ドラクエで言えば「ガンガンいこうぜ」ではなくて「いのちをだいじに」いこう、ということでありました。
このコンテンツを、週に12回配信(すみません、週1回ではなく週2回配信が正解でありますので訂正します)するために、準備する膨大な書籍とその激しい読み込みは、要するに、毎週1回、歴史学の大学院入試(口頭試問)を強制受講しているようなものなのです。
専門的な書籍(要するに原典か、原典に近いもの)を、通常の書店ルートではないところから買い求めて、それを読み込んで、複層的な視点から、ある人物や特定の時代(フランス革命など)を読み解いていき、これだと思ったことが、収録時に自然に口をついて出るまで資料の読み込みと自らの中での思索、議論(壁打ちと言われる語り合い)を続けておく、そして収録時には体調をできるだけ整えて、一気にコンテンツとして収録してお届けする、という繰り返しなのです。
ここで、「(視聴者に)受けるだろうか」「(視聴者に)求められているものを配信しなければ」という邪念が入ると短期的には良さそうですが長期的には必ず失敗します。
膨大なインプットができなくなりますし、そうすると、単なる(歴史)座談会となってしまい、コンテンツの力が失われてしまうと思うのです。
過去、勉強したことを使いまわして配信コンテンツに変えるのは実際至極簡単です。
あの、経営書としては不朽の名著だと筆者が個人的に思っている「ビジョナリー・カンパニー」という企業研究本がありますが、やはり、「ビジョナリー・カンパニー」の方が、「ビジョナリー・カンパニー2」、「ビジョナリー・カンパニー3」よりも、今読んでも優れていると思います。
「ぼくらの7日間戦争」というベストセラー小説があり、かつての宮沢りえさんも出演した映画化もされた名作がありますが、やはり、二作目三作目・・となっていくに従い、どうしてもマンネリ感が出てきてしまうのです。
そうして、いつもレアな本物を味わいたい、という視聴者は次第に、というか急速に離れていってしまいます。
あのスタジオジブリが、一作一作を膨大な準備とプロットとスタッフをかけて、一作入魂で作品化し、絶対にとなりのトトロ2とか、その後の風の谷のナウシカ、といった作品を作らないのは、このことをよくわかっているからなのだと思うのです。
つまり、一つ一つの作品が、それぞれ収録としてたとえ駄作だなと思ったとしても、それはそれとして、期限とスケジュールを守って、定期的に、コツコツと、自分自身の無意識の習慣にして毎週一定のペースで配信、更新を続ける、これがブログやユーチューブチャンネルの維持とファン獲得にも結局近い、ということではないかと思います。
こう考えると、最も大切にしなければならないリソースは、メンバーの「時間」と「(熱意含む)健康」であります。
この、代替することが絶対にできないリソースを、しっかりとちびちび大事に使うこと、これこそが、長く現場の一線に立ち続ける秘訣なのだと思います。
先日、アフガニスタンで文字通り「聖人」であった医師の中村哲さんが銃殺されてしまうという悲しいニュースがありました。
国民栄誉賞に値する活躍を長期にわたりなされているのに、それが国内にあまり知られていない、この悲劇をもってこの方の存在や活躍を知った人も多いかと思います。
聖人レベルでも他人に殺される人もいる、それでも自分で自分を殺す人の方がずっと多い、このような世の中のことを考えると、もっと自分が自分を大事にした方が世の中全体が平和にもなるし幸せににもなるはずである、コンテンツを作っている人がコンテンツを作ることで自分の人生を狭く短く縮めてはならない、といったことをこの総会で「合意」した上で、早速隗より始めよ、でこの総会(飲み会)自体もお互いの時間を大切にしようということで、2時間を過ぎたところでさっと散会することになりました。
次は、「半年後」を目処に集まって振り返りをしたいと思います。
それまで、この4人とその周りの人たちが無事これ息災でありますことを祈ります。
こちらからは以上です。
(2019年12月5日 木曜日)
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