鉄筋コンクリート
鉄筋コンクリートというのは、コンクリートに鉄を埋め込んだ構造のことです。
コンクリートのもつ圧縮強度の強さと、鉄の持つ引張強度の強さが上手く融合して、堅牢な構造体になるわけです。
では、例えばこの鉄をアルミニウムにしたらどうでしょう。もっと強度の高いチタンにしたら、チタン筋コンクリートの強度は更に上がるのでしょうか。
そうはなりません。というのも、そういった金属とコンクリートでは、熱膨張率に差があるからです。
日本の真夏を考えてみましょう。ビルの真夏の屋上などは、さんさんと直射日光が降り注ぐわけですから、塗装が白くてもたぶん温度は60度を超えるでしょう。そして夜になれば、30度くらいまで下がるわけです。
その30度の温度差による熱膨張率は、金属とコンクリートの間に大きな熱膨張率の違いがあった場合、破壊的な影響をもたらします。片側は少ししか膨張しないのに、片側は大きく膨張する。それが毎日繰り返されるわけですから、金属とコンクリートはいずれ剥離して、離れ離れになってしまいます。そうなってしまえば、お互いの物性の欠点を補い合う効果は見込めません。
しかし、人類にとって非常に幸運なことに、地球上で最も広範に利用される金属であるところの「鉄」と、「コンクリート」の間には、無視できる程度の熱膨張率の違いしかないのです。
なので「鉄筋コンクリート」は、コンクリートも内部の鉄も、温められれば全く同一の素材のように同じ程度に膨張し、冷まされれば同じように収縮します。
この物性の一致は、人間の建築業界にとっては奇跡のマリアージュなのです。