トイレ面にも強固に付着する光触媒コーティング剤(酸化チタン)を塗布してみようというビルメン業界のお話です(2020/02/08)
トイレのコーティングには酸化チタン剤
おはようございます。
2020年2月の久しぶりのビルメン関連ブログ記事です。
今職を探しておられる方、ビルメン業界に興味はありませんか。
実は、筆者は、このブログを書き始めた頃に所属していたビルメン業界からは少し離れた業界にいるのですが、もともと社会の縁の下の力持ちであるビルメン管理のお仕事とは何かということを広く知ってもらいたいと考えこうしたブログ記事を書き始めましたので、タイトル含めてこれは続けたいと思っています。
ですので、ビルメン関係や業界の状況、新商品や新サービスのニュースなどがありましたら、積極的に配信していきたいと考えています。
さて、以前、2017年6月頃、自宅トイレにガラス材コーティング材を塗布する「工事」を行いましたという紹介をさせていただきました(写真はその当時に撮影した施工直後のトイレの状態です)が、おかげさまで、あれから2年半ほど経過しているところですが、防汚作用は続いているようです。
この、ガラス製撥水性コーティグ材を塗ってみました、という話の次に来るのは、トイレの手入れや掃除が楽になるということとは別の、匂いが早く解消されるという「光触媒」の話です。
光触媒作用とは、日本人が発見に大いに寄与した原理でして、1972年、本多健一と藤嶋昭の2人の日本人研究者によって、酸化チタンTiO2と白金の電極の間で水の電気化学的光分解が発生していることを発見したことが大きくこの業界を前進させました。
太陽や蛍光灯などの光が光触媒物質に当たると、その表面で強力な酸化力(分解力)が生まれ、接触してくる有機化合物や細菌などの有害物質を「分解して」水などの無害なものにする作用を生ずる、というものです。
光触媒は次のような原理で働いています。
酸化チタンを原料とする光触媒物質に光(紫外線)が当たると、その表面からマイナスの電荷を帯びた電子が飛び出し、電子が抜けた穴はホール(正孔)と呼ばれてプラスの電荷を帯びることになります。
このホールが、空気中の水蒸気などにあるOH-(水酸化物イオン)などから電子を奪ってもとに戻ろうとします。
そうして、電子を奪われたOH-は非常に不安定な状態のOHラジカルと呼ばれる物体になります。
そうして発生したOHラジカルは、これまた近くのほこりや泥、汚れ、においのもととなる微粒子といった有機化合物から電子を奪い取り、自分自身がOH-に戻って安定になろうとします。
これが強力な酸化力となり、このように足りなくなった電子を奪われた有機物化合物は有機物としての結合を分断され、結果として、より安定して無害の二酸化炭素や水となり環境に戻されるというわけです。
本当はもっと難しい数式や図式を用いて説明したいところですが、とりあえず今のところでは光が当たればその周りの有機物が分解される、その汚れや匂いの成分(有機化合物)が、分解されて水と二酸化炭素になって無害になる、と覚えておけば十分です。
その光触媒作用を発生させる、酸化チタン(TiO2)の結晶体の粒子を、最近ではナノ化(直径2〜3nm(ナノメートル))まで極限まで小さくする技術が確立されました。
こうすると、例えば直径が従来の二酸化チタンの100分の1になりますと、表面積は、ざっと10,000倍になります(100×100、もしくは100の二乗)から、露出する表面積は飛躍的に増加し、光触媒効果をより理論通りの性能近くまで最大限引き出すことに成功しているようなのです。
さらに、分子がナノ化(極小化)していることから、従来のチタン素材を施工面に付着させるには、ベタベタした糊(のり、バインダー)に混ぜ込んで、そして吹き付けるなりして固着させなければならなかったわけですが、逆に糊に埋もれたチタン粒子については、光触媒効果はほとんど期待できず、さらに糊(バインダー)が劣化して剥がれてしまった場合、残念なことにシールの糊面にくっついているゴミのように、酸化チタン素材そのものも一緒に剥がれ落ちてしまうという問題があった点を克服しており、極小のチタン粒子同士が、分子間結合という弱い力で実は強力に量子物理的に施工面に直接結着し、容易には剥がれにくいという特性を得たのです。
つまり、貼り付ける糊すら不要なくらい、粒子が「軽い」ということです。
一旦施工面に吹き付けてしまえば、一緒に吹き付けた水谷アルコールなどが蒸発した結果、酸化チタンという光触媒素材のみを直接施工面に載せることに成功したわけです。
これにより、糊に埋もれた部分もなく、さらにチタン素材自体が極小化していることから、弱い光でも容易に光触媒作用を起こし、強力な酸化力(分解力)を発揮するというわけです。
大学の研究室の実験でも、カバーガラスを周囲状況下で1日間逆さまに吊るしても、表面からの粒子の剥離はほぼ起こっておらず、この極小化された(ナノ化)されたTiO2(酸化チタン)粒子が非常に平らなガラス平面上にも強固に自ら固着していることを示し、一旦付着した以上ガラスからほとんど除去できないことを示しているようです。
さて、このような原理をもとに、光触媒物質である酸化チタンを吹き付けた名刺大のビジネスカード素材を売っている知り合いの会社の人から、サンプル品をいただけることになりましたので、早速使ってみようと思います。
トイレに使おうか、生ごみ入れに使おうか悩みましたが、とりあえずクレジットカードのようなカードを一枚、単純に車のボンネットの中に置いてようと思います。
いちおう、弱い光でもOKらしいですが、最も光が当たりそうな、フロントガラスの下にとりあえず置いたみようと思います。
芳香剤でにおいをごまかすのではなく、水蒸気と二酸化炭素にしてしまう、という光触媒の作用を体感できれば、またレポートしたいと思います。
その場合、しばらく車の中に放置して、次はトイレの窓際にでも置いておこうと思います。
ちなみに、中年真っ盛りの加齢臭が気になる年頃の筆者からは以上です。