みずほシステム障害2021調査報告が出ました(2021/06/17)
みずほシステム障害2021とは
みずほシステム障害の第三者報告書の威力がすごいです。特に体質ないし企業風土の部分が明快です。声を上げることがリスクになるという大企業の文化はよくわかりますが、ここまで公式に明文化され、世界中に晒されることはなかなかないものと思います。
みずほフィナンシャルグループとみずほ銀行が2021年6月15日、みずほ銀行で大規模なシステムトラブルとしては過去通算3度目となる、今回のシステム障害に関する調査報告書を発表しました。当時の第一勧業銀行、富士銀行、日本興業銀行が世紀の統合を経て2002年に誕生したみずほ銀行において、2021年2月28日、3月3日、3月7日、3月12日に4回のシステム障害が発生し、3月17日付けで設置されたシステム障害特別調査委員会が調査を行っていた。
今回障害が発生したシステム「MINORI」は、みずほ銀行およびみずほ信託銀行における勘定系基幹システムで、2011年に発生した大規模なシステム障害を受け、勘定系システムの完全一元化を実現するために開発され、2019年7月に旧システムからの移行を完了していると報告されていました。
にもかかわらず、今回、MINORIに発生したシステム障害により、顧客が取引などを行おうとしたみずほ銀行のATM内に預金通帳やキャッシュカードが取り込まれて戻らない(取り返せない)という事象が数千件発生し、大きな顧客不利益が生じたわけです。通帳をATMに飲み込まれてしまった顧客にとっては本当に災難でした。
報告書では、この、みずほシステム障害2021が発生した障害の要因について、MINORIの構造、仕組み自体に欠陥があったのではなく、これを運用する人為的側面にあったと指摘しています。そのものズバリ、「取消情報管理テーブルの INDEX FILE のメモリ容量超過リスクに関する(銀行側の人員や経営層の)認識不足」「組織全般に通帳・カードの取込みが顧客に与える不便や不利益に対する(銀行側の人員や経営層の)想像力や感度の不足」が挙げられています。カッコ内は筆者の鈴木が謹んで補足しました。
自分の通帳やキャッシュカードが、まさか自分の銀行のATMに喰われるなんて、白鯨のモビーディックもジョーズのスピルバーグもびっくりのホラーですよね。
統合から20年も経つのに、相変わらずの内部闘争と顧客目線の欠如から、すでに3メガバンクの4番手として、周回遅れの先頭からさらに抜かれつつあるような状況にあるのを、わかっているのでしょうか。
さらに、システムの復旧が遅延した主要な原因として、「ATM 処理区画閉塞の確認が大幅に遅れたこと」「復旧作業の過程で、システムエラー発生により自動的に作動する『取引サービス禁止機能』の作動条件を緩和する措置を講じ、それが結果として、重大エラーを多発させて、ATM 処理区画の閉塞を加速させたこと」「エラーの起点となった定期性預金システムの切離しによる他の領域への影響遮断措置が遅れたこと」などと報告されており、やるべきことを確認せず、やってしまっては取り返しのつかないことはよく確認せずにやってしまい、結果として被害を拡大させたという状況が活写されています。
顧客対応部門においても、システム復旧を待つという受動的な姿勢が見受けられ、顧客が現に受けている不便、不利益を迅速に解消するような組織的な動きに欠けていたと指摘されています。
みずほ大規模システム障害オリジン2002であります鈴木にとってもまあまあ衝撃でした。
これで、みずほの代名詞ともいえる大規模システム障害は、
・みずほ大規模システム障害2002「統合」(零号機)
・みずほ大規模システム障害2010「義援金」(壱号機)
・みずほ大規模システム障害2021「通帳取込」(弐号機)
という、10年サイクル、11年ぶり3回目ということになりました。
4回目以降が記事にならないことを祈ります。
実は、2000-2003零号機に乗っておりました、鈴木からの反省記事は以上です。