会社や組織と適切な距離を取る人たちの生き残り戦略が合理的な理由

出世に興味のない人たち

出世に興味がないとアンケートに答えたりする人が多くなって来ています。

こうした人たちは、上昇思考の欠如から、ゆくゆくシニア層になってからの会社にとってのお荷物、リストラ対象に真っ先になるのでしょうか。

答えは否、そうではないと思います。

令和の今、かつての大企業などでリストラなどの対象になっている、お荷物になりがちな中高年社員というもののステレオタイプは、実は課長島耕作のように、人並みの出世を目指し、自身の専門性やプレイヤーとしてのスキルは磨かず、ひたすらジェネラリストとして管理職の階段を上がることに力を入れて来た人たちです。これは事実ですからきちんと申し上げておきます。

会社が成長している時は組織ピラミッドも拡大しますから中間管理職の供給は重要な人事課題であり、会社は総合職新卒社員にはそのように方向づけて来ました。

しかし、日本全体の人口成長、経済成長が止まるとともに、さらに、情報通信基盤の整備が進むと中間管理職の需要は一気に減少します。

事業のフェーズが変わり、次の時代を支える新規事業の立ち上げなどが重要課題になってくると、必要な人材は尖った専門性を持ったスペシャリストだったり、社外に多くのネットワークなどを持っていて、今までとは違う視点を持ち込める人にとって変わられ、これまでのゼネラリスト型中間管理職は、一気に用済みのお荷物となっている、それだけのことです。

こうした人たちは得てして管理職の階段を上がることには関心が低いことが多いです。

ゼネラリストではなくエリート

またヨーロッパなどでは、経営陣になるような出世コースには採用の時から別コースで少数の超優秀なエリートを採用し、一般の社員はジョブ:仕事の固まり単位で契約して、多くの社員が一生同じ仕事をします。

超優秀なので、そもそも待遇も地位も責任もハードワークの程度も段違いであり、期待されるハードルが高いため、普通の人は敬遠します。高待遇ですが人生そのものをすり減らす危険性と隣り合わせです。

結果、無用などんぐりの背比べ的な出世競争がないので平気で2ヶ月近い夏休みも取りますし、同じ仕事だと給与はあまり変わらず年長者の方が習熟度が高いので、リストラの際には若い人から首が切られます。

今、多くの日本企業がジョブ型雇用ということを言い出しており、以前のようになんでもかんでも管理職の出世ラダー(出世階段、出世ハシゴ)を登らせるような人材マネジメントの見直しが進められています。

出世には関心はないけれど、自分が好きで得意なことがある人、出世には関心はなく契約した仕事はしっかりやるけれど個人生活優先の生き方をする人。

人は本来人それぞれ。

今後はこういう人たちが増えていくと思われますが、過剰供給になってしまった中間管理職のように、自分だけでは機能しない組織上の役割ではないので、実は会社にとって、お荷物にはなりにくいと思われます。

以上