Wework上場

かつては時価総額5兆円のユニコーン

かつて時価総額5兆円ともてはやされた、ユニコーン企業の代表格であったWeWorkが、そのころの喧騒とは打って変わってひっそりと、ニューヨークで上場したようです。

上場といっても、すでに上場している空箱企業に買収されるという形での裏口入学的上場ですから、あまり話題にしてほしくもないのでしょう。

ソフトバンクグループ(SBG)が出資する米共有オフィス「ウィーワーク」は2021年10月21日、「特別買収目的会社(SPAC)」と合併する形でニューヨーク証券取引所に上場しました。

このときの時価総額は、1兆円未満ということですが、ソフトバンクグループとしてはとにかく突っ込んだ投資金を少しでも回収しないといけないので、上場という出口が用意されたのは良かったのではないか、一歩前進というところでしょう。

この上場によって市場の信認を得て、経営再建を加速したい考えです。

SPACは未上場企業を買収・合併することを事業目的とする会社です。

ウィーワークはベンチャーキャピタル傘下のSPACと2021年10月20日付で合併しました。

そして、その翌日の「上場」初日、前日のSPACの終値と比べ13%高の11.78ドルで取引を終えたというわけです。

ウィーワークは当初、2019年に上場を目指したが、企業統治や収益性に疑念を持たれ、延期に追い込まれた経緯があります。

確かに、海外テック企業の日本法人設立を取材する機会があるのですが、住所が東京の有名なビルになっているとWeWorkという場合が多いです。

でも、毎日そこに出社するのではなく、基本はリモートワークという感じです。

一方でWeWorkはサードプレイス需要も取り込もうとしています。オフィスには出社できないが、かといって自宅では仕事の効率が良くないというワーカーに、WeWorkはちょうどよいのでしょう。

適度な通勤感。おしゃれな感じ。コラボレーションできそうな雰囲気。

しかしながら、所詮店頭貸の不動産賃貸業ですから、いきなり付加価値が増大することはないでしょう。

そして、上場のやり方がNY市場で去年から利用が急増したSPAC制度。

上場したい会社が既に上場済みの「空箱」会社に買収されることで、上場時の手続きの簡素化、迅速化が図れる仕組みです。

制度自体は昔からあったのですが、ご想像の通り、詐欺的行為に利用されるケースもしばしばあり、活況になっては下火になり、また活況になっては…を繰り返しています。

ちなみに、昨年6月にこの制度を使って上場した水素燃料電池トラック開発の「二コラ」の株価は幾つかの虚偽疑惑もあって株価が急落。現在は最高値の1/3程度になっています。

上場審査がまともに通らない会社が、このような裏口入学的手法を使って無理して上場しても、所詮自社の体力や精神力が上場企業のものとして耐えられない場合、アメリカの手練の投資家には見向きもされず、そのうちまた買収されるなどで強制退場させられないか、興味をもって見ていこうと思います。

まだ制度の無い日本でもJPXなどが研究会を開いたそうですが、日本で利用するとなるとちょっと見方、利用の在り方を工夫しないといけないと思います。

もちろんSPACは上場プロセスの簡素化がうまく作用すれば上場も簡単になり有望な企業を助けるに時間がかからない、と言うメリットはあります。

しかしながら、ではなんのための未公開企業のIPOプロセスなのか、「世間的に信用ある投資家」が参画して買収しちゃえば、その未公開企業の信用は混じり合ってなんとなく保証されてしまうのか、担保されるのか、それはおかしいだろ、という話にもなるわけです。

被買収企業と買収企業の規模の差が、極めて大きい場合は無視して構わないレベルだと思いますが、これが逆転している場合さらには、被買収企業の規模の方が極めて大きい場合、これは裏口上場のそしりを免れるのは難しいでしょう。

このような制度の穴を利用した方法ではなく、正々堂々と市場に対峙できる、そのような投資家を目指したいと思います。

零細であっても、さもしいふるまいはしない。

そのような投資家像を追求してまいります。

以上

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