老害創業者が後継者を使い捨て(日本電産)

ユニクロ、ソフトバンク。そして日本電産。

後継者が決まらず、内定しても就任しても、老害創業者がわずか数年、または1年で用済みと放り出し、創業者が社長に復帰。

まるで老害デジャブです。老害三段活用。同じ映画のワンシーンを繰り返し見ているようです。

後継者放逐、創業者の出戻り、そして社名変更の3連劣化のフルコンボ、発動。

日本電産はニデックに社名変更

日本電産の経営トップに永守重信氏が返り咲きです。

日産から引き抜いた、関氏を1年足らずで社長兼COOに降格。

京都が生んだ、世界に通用する経営者、永守重信氏。

しかし、その永守さんの日本電産は2022年4月21日、関潤社長(60)が兼務する最高経営責任者(CEO)を、永守重信会長(77)が引き継ぐという先祖返りの人事を発表しました。同日開催の取締役会で決定です。

そして、この降格人事を糊塗するためか、社名も日本電産からニデックと変更するようです。なんだニデックって?と思いますので、当面はニデック(旧日本電産)と表記されるのでしょう。

ちなみに、関氏は引き続き社長を務め、最高執行責任者(COO)に就任したということですが、明らかに降格人事です。

日本電産は、昨年6月に創業者の永守氏から関氏にCEOを引き継いだばかりなのに、1年足らずで永守氏が経営トップに返り咲くという異例の格好となった、と書きたいところですが、この日本電産のお仲間創業者軍団のユニクロさんやソフトバンクさんも全く同じことをやってきているので、別段驚きません。

ちなみに、日本電産が2022年4月21日に発表した2022年3月期連結決算(国際会計基準)は、本業のもうけを示す営業利益が前期比7・2%増の1714億円、と絶好調です。

新型コロナウイルス禍の巣ごもり需要や、デジタル化の進展を背景に、主力の家電・商業・産業用モーター、半導体検査装置などが伸び、収益のいずれも過去最高を更新しています。業績不振の責任ではありません。

このように、社長降格と社名変更と同時に発表された日本電産の2022年3月期決算は売上高、営業利益、当期純利益共に過去最高を更新し、コロナ禍にあっても売上高営業利益率は9%を維持しています。こんな好業績でも関潤氏がCEOからCOOに降格となり、永守氏がCEOに復帰する背景には、経営方針を巡る二人の対立があるようです。

永守氏は関氏を退任させようと考えていましたが、一部の機関投資家が後継者問題を重視するようになったため、株価を重視する永守氏が方針を変えて関氏は降格して残留となったと見ます。

裸一貫で起業し、日本電産を世界的な企業に育て上げた創業者の永守氏は類まれな経営手腕を持っていることは論を待ちませんが、すでに永守氏は77歳。

永守氏一人がひっぱっていく経営体制では同社が掲げる2030年の売上高10兆円の目標は達成できないでしょう。

上場企業なのですから、日本電産(ニデック)の株式を持つ機関投資家が後継者問題を重視するのは無理もないことです。

早く「永守商店」から脱しないと、さらなる飛躍は見込めないどころか、急速に衰退する未来が現実になるでしょうね。

後継者ってどうやったら決まるのか

後継者が決まらず(というか決められず)こけた会社はあまたとありまして。

創業者と同じタイプの人がいい後継者とは限らない。二番煎じ扱いとなるから。

でもってよくあるのが,創業者がなくなると,神様のようにたたえる風習。創業者がダメと言い残していても,これがよく起きるんですね。神様がいないと指示ができないトップというのは必ずいます。日光東照宮かよ、ってところです。

後継者は、創業者が「決める」んじゃなくて「定める」「あとは任せる」ってことが大事なのです。

「定める」ということは、その会社の行く末を定めて、不可逆的に創業者は口を出さないことです。

これは、とても難しいことです。

はっきり申し上げますと、別に事業や経営に失敗してもいいからまずは会社を誰かに任せないといけません。

十分会社に体力はあり、別に創業者の永守さんが退いても誰も逃げ出したと文句を言う人もいないのですから。

この、有能だと目した人を後継者に据えてみたけどやっぱり使い捨てで自分が復帰、というのは何度も見せられてきて、後継者候補を選んではお払い箱にしてきた繰り返しはしょせん使い捨てかよ、と残念です。

自分の思うようにならない人間には結局任せられない、だったら死ぬまでしがみついていればよいです。

永守氏に限らず偉大な創業者だけども、それゆえ後事を他人に託せない人間は何人もいるようです。

京都なら、企業規模は違うが、吉田カバンの創業者などもそうでしたね。

居座る創業者の独走で調子が悪くなるか、創業者が世を去った後の跡目争いが混乱して分裂していくことになる。

さて、日本電産はどうでしょうか。見ものです。

さてもさても、日産は踏んだり蹴ったりでしたね。社長候補を抜かれてそして使い捨てという。

最後に、日本電産という長く浸透した社名を簡単に変えてしまうのも、百害あって一利なしだと断言しておきます。

以上

栄光の「松下電器」の社名を捨てたダメな会社の話

松下電器グループ(1985年)中核会社は松下電器産業 パナソニックのリストラ ▼おはようございます。企業のイメージ戦略に関する(昭和後半生まれ45歳の)筆者があくまで個…