(2020/02/05)メルペイがNTTドコモを引き入れるという発表を受けて新しい段階に入った日本のQRコード決済業界を三国志風に論じた続編となります

劉備玄徳(三国志演義より)

おはようございます。

2020年2月、日本のQRコード決済史に画期的な一歩が記されました。

ちなみに、この記事は、2019年11月にLINEとヤフーが統合するという観測が出た(その後正式発表)際に上梓した、同様の日本QRコード決済の業界を三国志風に論じたものでありまして、読者の一定の支持がございました。

実は、このブログ記事を含む、筆者のホームページをリニューアルする際に、WordPressに移行したわけですが、このWordPressのプラグインに、実に便利な派生機能として、「既存の記事を新規記事の下書きとして複製する」というツールがあるのです。

これで、過去の記事を丸ごとコピーして適宜参照しながら、そして必要なリライトを付して新しい記事や続編を書くということが、非常にストレス少なくシームレスにできるようになったというわけです。

いちいち、カットアンドペーストして、書式を一旦全部クリアして、というような手間をかける必要がありません。

全く便利な世の中になったものです。

WordPress、ホームページやブログには超おすすめです。

さて、本題からずっと逸れてしまいましたので元に戻させていただき、日本のQRコード決済の2020年2月の今をお送りします。

その前に、これまでの日本のQRコード決済業界を概観します。

2020年2月の今を振り返ること1年ちょっと前くらいから、日本市場では、キャッシュレス社会の到来ということで、フェリカ端末といった「機器設置費用」に当たる設備投資費用がそんなにかからず中小販売業者や中小零細食品店や外食産業のお店においても、QRコードという「紙」や「小さい看板」「シール」を置いておくだけで客のほうからスキャンカメラアプリでかざして金額を入力する、「スキャン入力」というキャッシュレス決済が本格化し、何とかペイというQRコード決済仕様が乱立し、何パーセント実質還元といったセールを打ちながら戦国時代の様相を呈しておりました。

そうして、その決定的な物量広告作戦、販売促進活動費用を最もかけた資金力随一のソフトバンク(SOFTBANK:やわらか銀行)グループのPayPayが、おそらく(筆者の想像では)日本のQRコード決済全体の6割弱を握る状況に至り、いわば中国古代の三国志になぞらえれば、事実上の0代目(初号機の前の零号機)皇帝曹操により打ち立てられた、魏志倭人伝でも有名な「魏」の国のような存在になってきた模様です。

その次に、孤高のポジションで追撃する、3割のポジションを持っていると思われるいわば「呉」の立場にあるのは、韓国資本で日本でのSNS市場に食い込み続けてきているLINEグループでありましたが、このLINEグループは、PayPay率いるソフトバンクと一緒の共通持株会社の傘下に入るということで、すでに統合されたという理解です。

そして最後に、三国志演義において非常に重要なファクターである、「蜀漢」でありますが、実は歴史上に存在した、後漢の正当なる血統後継者を「自称」する劉備玄徳が四川省成都(現在においても中華人民共和国第二位の人口三千万以上の大歳)で打ち立てた正式国名「漢」、通称「蜀」という国ですが、これは、稀代の軍略家であり戦略家であるところの諸葛亮孔明が、「治める天下は複数あってよい」という、多神教かよ、ともいうべきコペルニクス的転回の発想により、魏の曹丕(曹操の子)が帝位を漢王朝から簒奪して魏の皇帝を称したところの対抗策として、劉備をして後漢の正当な後継者として(国の実力はとりあえず度外視して)皇帝の地位に就かせることで対抗しようとしたものです。

カルビーのポテトチップスに対抗して、湖池屋もポテトチップスを出す、このようなものでしょうか(湖池屋の関係のみなさま恐縮ですが、市場占有率において、よい対比かと思いまして、かつ湖池屋の素晴らしい広告戦略だとも思っておりますので例えに出させていただきました。筆者注)。

しかしながら、その力関係の優劣ではすでに蜀漢もとい、メルペイがひっくり返すには、敵の勢力は10倍近くに迫っており、難しいと思われていたところ、メルカリにもついに外来異民族の支援、というか外圧導入による起死回生の一撃をかましてきたのです。

NTTドコモとの提携です。

ドコモとメルカリが提携を正式発表しメルカリ・メルペイ利用でdポイント付与する、20%還元も実施すると発表したのです。

提携、とありますが、事実上はNTTドコモによるメルペイ買収による、QRコード決済市場への殴り込み、といった方が正しいでしょう。

業界3位であったメルカリ(メルペイ)としては、そもそもこうやって強者が統合してしまい相手が市場の9割近くのシェアを握るとなると生きていけなくなるのは自明でありましたので、諸葛亮孔明並みの軍師や戦略家の策に従い、早い段階でソフトバンクのPayPayと全面戦争を仕掛けておくべきでしたが、ここに来てようやく、独立国家としてのプライドもかなぐり捨てて、NTTドコモのQRコード部門として、もう一度PayPay陣営と雌雄を決しようとしたのでしょう。

時代の流れというものは非常に残酷なものであり、節目節目のチャンスは一回しかめぐってこないし、状況は刻一刻と変わっていきますし、そして後でああやっておけばよかったと後悔しても遅いです。

一瞬一瞬が勝負であります。

NTTドコモとしても、この消費者のラストワン決済場面、本当の意味でのキャッシュポイントをみすみすソフトバンク陣営に全部持っていかれてはたまったものではないでしょうから、ここでひと勝負かけてきた感じです。

もちろん、そんなに日本国内市場での予選にかける時間などが残されているわけではございませんで、総人口1億人強の日本市場で、細かく争っていても、世界人口75億人の過半を握る(中国を除く)GAFAM(グーグルアマゾンフェイスブックアップルマイクロソフト)と呼ばれる世界の巨大プラットフォーマーとの国際競争に出ていかなければならないのです。

その、もともと顧客のサービス要求レベルが異常なまでに高くて、サービス一斉展開においてはどうも旗色が悪い百家騒乱の日本市場、漢書地理志にいう、「夫れ楽浪海中に倭人有り。分れて百余国と為る。歳時を以て来り献見すと云ふ。」といった状況から一応の統一政権ができるまで数百年がかかったことを考えれば、経済の世界でも世界の強豪たちに力を合わせて伍していく体制を作るのは難しいのかもしれません。

ただ、明治維新以来、わずか50年そこらで、世界最高レベルの長距離航続航空機を、数百機、数千キロの航海を経て当時最新鋭の大型航空母艦6隻に載せて、無線封鎖の中択捉島単冠湾(えとろふとうひとかっぷわん)からハワイオアフ島沖まで持ってきて、一斉に真珠湾攻撃を仕掛ける、というところまで国力を踏み上げてきた国でありますから、これからの経済戦争舞台においても、また何かやってくれないかと大いに期待しているところでもあるのです。

雑談が過ぎていますが、今のところは、呉を併呑した魏が、日本のQRコード界隈を統一戦としていたところで、強大な、まさに当時で言えば北の北方民族「匈奴(きょうど)」のような強力な異民族、異業界の巨人の参入をメルペイが決断して引き入れた、というようなところかと思われます。

以上、ソフトバンクもLINEもメルカリもNTTドコモも、すべて上場企業であり、その公開資料等を用いて筆者の責任で勝手な論を展開しました。

今後の日本のQRコード三国志の結末に、目が離せません。

いちおう、「公益社団法人日本証券アナリスト協会検定会員」、及び「国際公認投資アナリスト(CIIA)」というれっきとした投資アナリストの「資格」を保有しております、歴史好きハイブリッド薄口経済評論家であります筆者からの素人解説は以上です。

(2020年2月4日 水曜日)

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