リモートワークではなくどこでもワークとでも呼んだほうがわかりやすいと思う話(2021/05/11)

persons feet on water

▼新型コロナウイルス感染症対策も相まって、リモートワークが推奨され推進されてきていますが、これは衝撃です。これまでの出社や勤務といった概念が崩壊します。そして、これまでは、企業秘密が漏れないようにということを盾にかたくなに物理的事務所外環境での業務を禁止してきた企業が、情報漏洩のリスクは別に締め切った執務環境に限っていようがどうしようが、やっぱり起こる時は起こることが分かってきたともいえます。そもそもリモートワーク前の時代(~2019年)についても、別に長期出張や外出、取引先等への訪問ということで業務を外部で行うことはあったわけであり、それが、営業や打ち合わせ、顧客との折衝といった業務に限らず、全業務的に居場所を問わなくなっただけなのがリモートワークだと思っています。そして、リモートワークが当たり前になるとリモートワークであること自体は「売り」ではなくなります。そりゃそうです。全業務をどこでもできるようになっているライバル企業があるのに、自社では、限られた場所でしか業務ができないとなれば、自然と競争劣位に置かれてしまいますから。つまり、リモートワークをやっていないことが単純にマイナスになるわけです。もちろん、現場(店舗)や、営業系組織などには「やっぱりみんなで集まって仕事したいよね」という人も多いです。人それぞれ、いろんな正義があります。ですので、適者生存で生き抜いていけばいいと思います。なお、リモートワークといって、勝手に家でやれとぶん投げてしまうのも良くありません。通常、自宅より、企業や組織のオフィスのほうが、執務環境としては断然優れています。そこで、オフィスとか自宅とかに限らず、「ワーキングスペース」として一体何が必要か、それを探し当てたいと考えています。

▼新しいオフィスについての考え方、というか方向性を書いてみましたが、やはり、こちら側から声を大きく出しても周りに迷惑がかからない、防音Wifi完備の小空間が必要なのは論を待たないと思っています。こちらからの、声に出しての発信が誰かにスムーズに届くというのは、文字情報でやりとりするチャット上での協議よりはるかにエモーショナルで、なんとなく仕事がはかどった気がするという余計な効用もあります(笑)(以下、(笑)はおっさんくさいと判断するので単にwで代用します)。

▼先日の記事で、創業者が離婚した株は買わないという変わった投資方針を開陳しました。これによりますと、令和3年世界最強のオンライン小売業のAmazon(ベゾス夫妻の離婚)も、令和3年世界最強のビジネスOSプラットフォームのWindows(ゲイツ夫妻の離婚)も買えないわけですが、一体、数十兆円を保有している配偶者から、わざわざ別れようとする一方配偶者(妻の場合が多いようですが断定すると男女平等原則、SDGsに反するのでこのような書き方になりますw)がいるのか理解に苦しむところですが、そこは訴訟社会のアメリカ合衆国のこと、きっと、この「離婚」というプロジェクトに一生懸命取り組んで利益を上げる弁護士とかファイナンシャルアドバイザーとか、投資銀行とか税理士とかといった、いろんな存在がいるのでしょうw。いろんな正義があるもので、それぞれの正義同士のせめぎ合いが、この世を生きにくくしているわけですが、一見相反する二項対立構造を、うまいこと両立させる術を編みだすよう努めたのが、いま大河ドラマ「晴天の霹靂」ではない「晴天を衝け」で描かれている幕末明治の大企業家、渋沢栄一その人ではなかったかと考えます。

▼尊皇攘夷運動で次々と有能な人間が討死または病死していき、幕末の東の事実上の棟梁としての力を急速に失っていく御三家水戸藩(と御三卿の一橋家)ですが、最後の将軍徳川慶喜の幕閣から出た最後の希望が渋沢栄一でした。西の雄藩、たとえば薩摩長州から見た明治維新とはまた別の明治維新と富国強兵、殖産興業は、実は経済オンチであった九州や中国地方の下級武士らではなく、商品経済に数百年揉まれてきた江戸にほど近い、彼ら水戸藩あがりの渋沢栄一のような商工業者が担ったといって良いと考えます。この点、一旦滅ぼされたように見える太古の王族、物部氏が武士(もののふ)と姿を変えてしっかりと日本のその後の歴史に関与したということに似てとても面白いと思います。筆者は水戸にはわずかしか行ったことがありませんが、尊皇攘夷を極限まで突き詰める一途な一面と、生き残るために経世済民(経済)に一気にシフトした渋沢栄一のような傑物を生んだその土壌に触れると、これだけでもうお腹いっぱいになって仕合わせ一杯な気分になるのです。

▼ということで、離婚するような我慢の足りない創業者が経世済民(経済)を語れるとは思えず、清濁併せ呑み、金の亡者と言われようが、ひたすら国の発展、経済発展と国家の安寧(感染症対策や貧民対策)を両立させた渋沢栄一に学んでみたいと思うわけです。渋沢栄一由来の株式会社は、日本にはたくさんあります。そうした、経世済民(経済)に明るい思想が通っている会社にも注目してみたいと思います。現在の、経済を回すべきか感染症対策を強化すべきかの神学論争に似た話を渋沢栄一に聞かせたら面白いかもしれない、と書きながら今日の雑談は以上です。

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