新疆ウイグル等における深刻な人権状況に対する決議案(国会決議)
中国という主語のない人権状況という意味不明な言葉に彩られた決議文案
本日は、令和4(2022)年2月1日火曜日です。
今日の衆議院本会議で採決される予定の「新疆ウイグル等における深刻な人権状況に対する決議案」に、当社の支持する無所属当選議員会派(5名)である「有志の会」は会派として賛成しますが、一人、福島伸享議員は会派とは別に反対することにしたとのことです。以下、福島議員からの公開書簡を引用しながら、筆者において適宜加筆して説明します。
臨時国会でもこの決議案の採決に向けた調整がなされ、私(福島)は有志の会の国会対策担当として自民党の石川昭政議員とやり取りを進めてまいりました。昨年時は内容面では全く不十分だけど、日本政府のオリンピック対応の決定前に立法府としての意思を示さなければならないということで、無条件で「賛成」の判断をいたしました。他党も同様でしたが、肝心の自民党だけ茂木幹事長の「内容はいいが、タイミングだ」という判断で、採決されませんでした。この国会に入って、再び同じ文言で採決したいと自民党が言ってまいりました。あれから2ヶ月も立っているのであれば、中国を名指しせず、香港やウイグルで起きている深刻な人権侵害を「人権状況」などと冷たく突き放す文言は修正するよう与党内で調整すべきです。しかも、決議の日本語自体下手糞な悪文で、外国語に翻訳するのも困難です。
(筆者注)だいたい、中国という主語のない非難決議文って、何なんでしょう。まさに空につばを吐くとはこのことです(注おわり)。
それに加えて、なぜ昨年末ではタイミングが悪くて今ならいいのか、まったくその理由は明らかではありません。もう既にあれだけ報道された昨年末の採決が流れたことで、中国は「日本の国会の決議は本気じゃない」と見切っていることでしょう。オリンピック前のこのタイミングに政府に「包括的な施策の実施」を求める決議を国会が出しながら、政府は北京オリンピックへの対応を何ら変えず、連日日本のテレビでオリンピック中継が流れて盛り上がれば、国会の権威は国際的にも著しく堕ちてしまうことでしょう。
(筆者注)むしろ、このタイミングでてきとうな文書を投下したところで、世界の笑いものになるだけだということです。やるなら、徹底的に。やらないなら、力を溜めて静観。いつかやるぞと抜かずの宝刀を示すのが、外交の常道です(注おわり)。
同僚議員からは「これは歌舞伎なんだから大人の対応をしよう」と言われ、自民党と協議にあたった者としてそうしようかとも思いました。しかし、私の友人には、ウイグルから茨大に留学してきて家族と音信不通となり、中国に戻ることもできずやむを得ず日本国籍を取得した友人がいます。先日も書いたように、命がけで民主社会を守るために行動した多くの香港の若者たちに、浪人中何もできなかった忸怩たる思いもあります。中国で命を懸けて自由を求めて戦い、実際に多くの方々が命を落としている中で、国会の生ぬるい空気の中で「大人の対応」をするつもりには、なれませんでした。
(筆者注)歌舞伎とはいいえて妙ですね。こんな決議をしたところで、中国共産党の体制はびくともしないと思いますが、筆者は昭和後半に生まれ、あの壊れないと思っていたベルリンの壁が崩壊し、ソビエト連邦が崩壊し15の共和国に分裂し、そして香港がイギリスから中国に返還され、さらに中国によって香港が解体されつつあるのをこの目で歴史の証人として見てきました。トランプなんていう、下衆で野卑な発言や言動をしていたもと破産者が、アメリカ合衆国大統領になって4年の任期をまがりなりにも務めたというのもこの目で見ました。なので、わたしが生きている間に、中国共産党が崩壊し、そして中華人民共和国という政体が崩壊し、新疆やウイグル、内モンゴル、満州や台湾といった民族国家が真の自治を取り戻す日が来るような気がしております(注おわり)。
国内の中国に勇ましいことを言うことを求める特定の層に応えるための、内向きの決議では意味がありません。普段は「人権が大事」と言いながら、他国の国民の人権侵害を深刻に受け止めず、大した議論も行動もせず国会対策の観点から賛成する野党も情けないと思います。何よりも、この決議の採決に至るやり取りは、やはり日本の国会の劣化と機能不全を明らかにしています。ごく少数でも「反対」の声を挙げることが、日本の民主政治を守り、国会の機能を取り戻す一歩になることを信じて、今回の対応をとることを皆さんに報告いたします。
(筆者注)非常に骨のある問題提起をありがとうございます。写真に、魚拓として、中国という主語のない決議(案)も晒しておきますね!ソビエト連邦の崩壊のように、中国共産党の崩壊が、時点を未来に置いた時の事実になりますことを願い、さらに、日本のほんの少しの主体的な実力行使による、ロシアとの平和条約の締結および、私のような一介の日本国民が択捉島国後島色丹島歯舞諸島(北方領土)への国内旅行が問題なくできるようになったらいいなと思います。
以上
福島伸享氏については、こちらをご覧ください。
追記
「新疆ウイグルにおける深刻な人権状況に対する決議」は、反対4(れいわ新選組3、有志の会1(福島伸享))、棄権1(有志の会1(緒方林太郎))残りは賛成で可決。全文は以下の通り。
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新疆ウイグル等における深刻な人権状況に対する決議
近年、国際社会から、新疆(しんきょう)ウイグル、チベット、南モンゴル、香港等における、信教の自由への侵害や、強制収監をはじめとする深刻な人権状況への懸念が示されている。人権問題は、人権が普遍的価値を有し、国際社会の正当な関心事項であることから、一国の内政問題にとどまるものではない。
この事態に対し、一方的に民主主義を否定されるなど、弾圧を受けていると訴える人々からは、国際社会に支援を求める多くの声が上がっており、また、その支援を打ち出す法律を制定する国も出てくるなど、国際社会においてもこれに応えようとする動きが広がっている。そして、日米首脳会談、G7(先進7カ国)等においても、人権状況への深刻な懸念が共有されたところである。
このような状況において、人権の尊重を掲げる我(わ)が国も、日本の人権外交を導く実質的かつ強固な政治レベルの文書を採択し、確固たる立場からの建設的なコミットメントが求められている。
本院は、深刻な人権状況に象徴される力による現状の変更を国際社会に対する脅威と認識するとともに、深刻な人権状況について、国際社会が納得するような形で説明責任を果たすよう、強く求める。
政府においても、このような認識の下に、それぞれの民族等の文化・伝統・自治を尊重しつつ、自由・民主主義・法の支配といった基本的価値観を踏まえ、まず、この深刻な人権状況の全容を把握するため、事実関係に関する情報収集を行うべきである。それとともに、国際社会と連携して深刻な人権状況を監視し、救済するための包括的な施策を実施すべきである。
以上