人の悪口を言わない

悪口を言わない人の日常

元同僚に他人の悪口を絶対言わない人が一人いました。

どんな席でも、どんな相手にでも、人の悪口を言うところを聞いたことがありませんでした。仕事で冴えているところはありませんでしたが、次第に「あの人は絶対に人を悪く言わない」と、陰で認知されるまでになりました。

彼自身は、仕事のヘマで陰口を叩かれることもある人でしたが、不思議といわゆる「人が寄ってくる」タイプの人でした。月に一度、決まったお店で小さな飲み会を主催しており、わたしも何度か声をかけてもらって参加しましたが、いろんな業界の、知ってる人は知っている的な顔ぶれに、行ってみてびっくり。

たまたま彼とわたしは同じ職場でしたが、それは彼にとってたくさんある世界の中の一つに過ぎないんだとわかった瞬間でした。道理で陰口を叩かれたり、多少イライラしても平然としていたわけです。

今はもう別の道に別れましたが、彼を知る共通の知人と会うと、必ず、あの人は今どうしてる? と話題に上がります。

なかなかできることではないですが、悪口を言わないと認知されると、信用されます。他者を肯定すると、自分も肯定されます。肯定するだけの世界は、別の見え方をしてくることもわかりました。同時にたくさんの世界を持つことが大事だということもわかりました。

以来、わたしも彼を見習って人の悪口を言うのをやめようと思いました。でも凡人なので、「できるだけ」という保険をかけてます。

それと、悪口はできるだけ本人の前でいうようにしています。手間も省けて効率的です。

これこそ、多様性なのではないかと思います。